9話 祖母から聞いた話 子供の形
祖父は権力者で沢山の人が訪れていた。祖母は学はなかったが、人格者で近隣の女性が人生相談に、よく訪れていた。
家で我に話しかけるのは祖母だけだった。
そして、たまに話してくれる内容の中には不思議な話もあった。
祖母の話しである。
戦争が終わってからの食糧事情はとても酷かった。
祖父母の家は豪農だったので、かなり恵まれていて都会から高価な着物などを持った人が、食べ物を分けて欲しいとしきりに訪れていた。
祖母も実家や姉妹に分けようとするが、取り締まりに没収されたりしていたので、お手玉や、かい巻きの襟や縁に米などを入れて運んだそうだ。
皆が寝静まった後に夜なべして作っていた。
その夜も1人で作業をしていた。
先が不安で、家族への心配などで心が潰れそうだった。
泣いていたとき部屋の奥から声がした。
「手が止まっているな」
声は大人だったが現れたのは6、7歳くらいの子供だった。
少年は祖母の向かいに正座し、祖母が縫った袋に米を入れた。
二人は黙々と作業を続け、かなりな量になっていた。
これで、向こうの二家族がしばらく持つ。
と嬉しくなり礼を言おうとしたら、
子供は消えていた。
かなりな時間を使ったはずなのに、外はまだ暗い。
少し寝れると床に入った。
朝に目が覚めると、十分な休息をとった後のように体が軽かった。
座敷童子は東北の神様だけど、ここにも居たのかもしれないね。
ちょうど、お前ぐらいの子供の姿だったよ。
小学校に入ってすぐの頃に話してくれた。
祖母はいつも怖い顔をしていたが、親族が集まる時などは、我に「顔を見せるな」など、怒鳴られることもあったが、それが我を守るためだと判っていた。
厳しいが、優しい人だったと思う。
我という存在を愛せないまでも、憐れんでいてくれたと思っている。