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あやし百話  作者: くろたえ


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64話 進まぬ行進

山から来たものは、山に帰るのだろうか。


確かな事は解らないが、霊というのは、時間のないアイスキューブの様な世界に閉じ込められているのではないかと思う。


終わりのない行進。進めど目的地には辿り着けず。

母親は山が好きでよく歩いているらしい。


一緒に生活することは少なかった人だけど、私と似たところもあるようだ。


高校時代、学校からはバイトに直行で、その後家に寝に帰っていた。


母親は職場で暮らしていたが(姉も母親と一緒に行った)、日中に荷物を取りに来たりしていたが、基本的には顔は合わせなかった。


なので家には家人は誰も居ず、一人暮らし状態だった。


いつものようにバイトを終え帰ると、真っ暗な家に沢山の人の気配がした。


電気を点けると誰も居ない、いつもの家。


しかしその夜は、軍隊の行進の気配に悩まされる。


電気を消した部屋で、スローモーションのようにゆっくりとした動きの行進する上半身。

前傾姿勢で下半身はなんとなく見えない。

横2列で縦に4人で8人か、向こう側の後ろに1人いるかもしれない9人くらいの行軍。


そんな二晩が続く。

寝付けないので溜まり場や友人宅や公園に寝床を求め、5日ほどして戻るとスッキリ気配が消えていた。


家に戻り家事をする。


ふと見ると、気づかなかったが母親の登山用のリュックが置いてあった。

洗濯物でもないかと開けてると、そこから使った後の八甲田山の登山地図が出てきた。


ああ。八甲田山かぁ。


行進された夜の光景を思い出す。



動きがゆっくりだったのは、吹雪いて進めなかったからかしら?


映画で「八甲田山」を見たが、彼らはPコートっぽいものを着ていたが、我が夜中に見たのはベルトを締めた上着で、中にセーターを重ね着しているのか、着ぶくれしている印象はあったが、コートは来ていなかった。


そんな軽装で、彼らは今も止まった時間で雪の中を行軍しているのだろうか。

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