53/101
56話 (社会の) 窓
幽霊が日常的に見える人は、それに物質があるのか、無いのか、判らないそうだ。
霊感の強い友人の話。
コレには彼も首をかしげている。
ある日、電車に乗っていた。
彼は座席に向かって立っていた。
ふと目をやると、斜め3人くらい離れて座っている男性の股間に肌色が見えた。
(あ、コイツ露出狂だ!!!)
と焦ったが、周囲は無反応。
座っている男性も普通の顔で携帯をいじっていた。
良く見ると、その男の股間から生えていたのは赤ん坊の足だった。
ぷくぷくの乳幼児らしき足だったそうだ。
可愛い小さな爪もちゃんとあった。
電車とかでなければ、普通に人形の足を挿んでのイタズラだと思うのだろうけど・・・
見える人は、逆に分からないようだ。
「いや、もちろん、座っている男のイタズラなのかも知れないけれどな」
と言いつつも、股間の肌色は目立って、リスキーだろう。
しかし霊体だとしても、股間に子供の足が生えているのは、何の意味があるのだろう。
聞いても、友人は「解らない」と首を振るだけだった。




