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あやし百話  作者: くろたえ


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50話 山寺の和尚さんが

私立の高校で、一年の時は金銭面で余裕があったので、部活の合宿に行くことが出来たが、2年からはバイトを優先し、部活を辞めてしまった。


自分には珍しい高校生らしい思い出だった。


高校時代の部活動で参加した、合気道の夏季合宿は、北関東の山の中のお寺だった。


我等の習っている合気道は、小さな流派で演武ばかりでなく、柔道のように試合もする。


高校で、その流派を教えているは少なく、その数少ない学校が山寺の近くにあり、合同合宿と交流戦をしに行ったのだ。


古く大きな寺で、最初は皆、気味悪がったが他校も合わさっての大人数なので、掃除も炊き出しも、お祭り騒ぎで騒ぐ楽しむ。



肝試しをしたりとお寺を楽しんだ中で、同期の部員の体験である。


夜は本尊の置かれている隣の部屋に、布団を敷き詰め皆で寝ていた。


その子がトイレで目が覚めた。

1人で行くのが怖いと思ったが、隣の本堂で衣擦れの音がして、人がいたようなので少し安心してトイレに行った。


帰りに、こんな深夜にお坊さんは大変だな~と襖を少し開けて覗いた。


するとキンキラキンの袈裟を着た若いお坊さんが、部屋の真ん中2m程の円を描いて、回っていたそうだ。


その子の言葉によると、オルゴールの人形のように、キュリキュリ回っていたらしい。


それが、なんとなく今も残っているのは、お寺なので、それなりに不思議な体験をした人が何人も出た。


肝試しで、人影を見たとか。

着物を着た女性がお墓に消えたとか。


それらを住職に報告しても、


「そうか、でも大丈夫だよ」


と笑っていたのだが。


その子の若いお坊さんの話を聞いた時は、何も言わず難しい顔をした。

余裕のない住職の顔に、深刻さを感じた。



その夜、袈裟を確認できれば、地位や年代が特定できるかも知れない。と思い立ち、襖の横に陣取り、布団を敷き見張っていたが、見事に熟睡して何も分からず。


翌日の夜も、寝まいと頑張るも、朝に先輩に起こされる始末。


そうして、その日は帰りの日。



合宿は早朝から掃除に部活動(間に親善試合を毎日)にご飯作りに、夜は怖い話や、他人の恋の話。


そんなことがギュッと詰まった5日間だったので、疲れて起きてられなかったのだ。


当時は、自分で見ることが出来ればと、寝ないで居る事を頑張ったが、後に思い返せば、彼女から記憶の鮮明なうちに、袈裟や法衣の色などを聞けばよかったと思い至った。

その頃は誰かに頼むことが出来なかったようで、自分だけで確認しようとしたのだろう。

そして失敗した。

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