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あやし百話  作者: くろたえ


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46話 息づく部屋

好きなもので集めた部屋は、本当に荒んだ我の心を癒してくれていた。


思いは募り、降り積もり、部屋のモノたちは心が生まれたのかも知れない。


社会人になって、すぐの部屋。


相変わらず貧乏だったけど、選んで自分の収入で買って集めた物で出来た部屋なのが嬉しかった。


ある日、友人が泊まりに来る事になった。

その頃、夜の仕事をしていた。帰りは遅くなるので、何度か来ている友人に鍵を1階の集合ポストに入れておくから、先に部屋に入っていてと伝えた。


その夜、仕事を終え部屋に向かうと、建物の入り口に人影。

近づくと友人だった。

ヤバイッ!!!鍵置き忘れたか?と走り寄る。


「どうしたの?鍵がなかった?」


訊ねると、


「部屋が怖くて居られない~」


「へ?!」


分からん。


なんでも部屋にいたら、部屋中の物の敵意をヒシヒシと感じ、そこに居る事が出来なかったと。

それで外で待っていた。

冬の最中に。


説明を受けるもやっぱり分からない。

一緒なら大丈夫だろう。と部屋に入る。


「ただいま~」


誰も居なくても、いつも「行ってきます」と「ただいま」は言ってます。


我の背後で友人が悲鳴をあげる。


「「おかえり~」って部屋中が言った~~~っ!!!」


いや、何も聞こえんし。


その後、二人で部屋で落ち着いたが、部屋の雰囲気は、先程と全く違い温かく優しかったと。





そういえば、と思い出す。


その部屋に暮らしていた頃、友人宅に泊まりに行った。


その夜、夢を見た。


自分の部屋でQUEENのボヘミアンラプソティが大音量で流れる中、フィギュアや本や絵や本棚が音楽に合わせヘッドバッキングをしているようにガタガタと動き、飛んでいた。


それはそれは、夢の様に(夢だが)楽しい光景で


「ああ、我の部屋のもの達は生きている!!!」


と歓喜した。


翌朝、幸せ余韻が残る中、昨夜の夢を友人に話すと普通に怖がられた。


「ああ、なんか分かる~。だって、くろたえの部屋って1人じゃ居れない~」


う~~ん?


我の部屋に泊まりに来る人は多かったが、落ち着く部屋と言われる。



でも、夜、1人で居たくない部屋とも言われる。



何人かに言われることがある。


「くろたえの持ち物って、付喪神になりそうだよね」


確かに、物は大事にする方である。

傘など、30年物がある。

命がないという事は、大事に使えば、無限の命を与えられるという事。

そんな思いでモノと向き合っているので、心の一つも生まれても変ではないよね。

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