31話 お社 願いの報告は必須
お社には、挨拶や報告と感謝だけにしています。
でも、結構いるんですよね。
思いっきり願掛けをする人。
ちゃんと、叶ったら、願解きや、お礼をしているのでしょうか。
中学生の頃だ。
友人が2日間遅刻した。
それまでは遅刻とは縁がなく、電車を使っているので、朝は決まった時間に来ている子だった。
「最近、遅いじゃん。どーしたの?寝坊するの?」
「ううん。なんかね。考えごとしながら歩いていると、別の場所に行こうとしちゃって慌てて引き返すの」
「別の場所って?」
「駅と反対側」
「なんで?」
「知らない。だから最近、夜は早目に寝て頭が、ボンヤリしないようにしているんだけど意識がそれちゃうと、やっぱり別の方向にむかって歩いているの」
そんな会話だった。
もちろん意味なんて分かりもしない。
その数日後だ。
彼女は1時間目を丸々遅刻した。
「分かったの。行こうとしていた場所が。神社だったの」
「何かしたの?」
「知らない。だって、反対側だし、そんなに行かないトコだもの」
真っ青で泣きそうになっている。
家族に相談したのか聞くと、「まだ」と答える。
相談した方がいいよと、言うと頷いた。
翌日、1時間目を遅刻してきて報告してくれた。
母親に相談したら、しばらく考え込んでから、すぐに電話をかけた。
その神社だったと。
怖がる彼女に母親が教えてくれた。
彼女が赤ちゃんのころに、病気をして1年も、もたないといわれた。
母親は神社に、彼女の成長を願いお百度参りをした。
翌日、母親が学校に電話を入れ遅刻を伝える。
そして二人で願解きをした。
遅刻はなくなった。
その後すぐ彼女に月のものが始まった。
月のモノが始まった日に、こっそりと、両親がお赤飯を炊いてくれたと言っていました。
そして、お母さんが、この歳まで病気も怪我もなかった事に、泣いて感謝していたそうです。
ならばなぜ忘れてしまったのか。
人とは母親であっても子供の、つらい過去を簡単に忘れられるのだろうか。
お社の神か何かは、知りたかったんだろう。
お百度参りをした、あの女はどうなったのだろうか。
あの女の、願った子供はどうなったのだろうかと。




