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27話 嫌な知らせ
嫌な知らせは、不快な光景で現れる。
見えるのは我だけでなく、お手伝いさんも、独りごとのように
「気持ち悪い家だねぇ。あんなのが出てくるなんて」
と言っていた。
祖母が他界する数日前から、夕方になると妙なものが現れた。
庭で5、6人の老若混ざった、白っぽい着物の女が四つんばいで歩き、うずくまり爪で地面を無心に掘っていた。
広い庭のそこ、ここに、女の白い着物の背中が、まあるくあった。
気味が悪く離れていても、こちらには全く気を払わない。
そういえば。と思い出す。
1年前に祖父が他界したが、その時も現れた。
なら、祖母ももう長くない。と分かった。
それから5日も経たずに他界した。
もし、今後、血縁の死を知らせる、あの白い着物の女達の中に、祖母がいたら悲しい。
不思議と、それ以降の家を継いだ長兄や次兄の死があっても、それが現れることはなかった。




