表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやし百話  作者: くろたえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/101

24話 駄目だった人

厄を背負ってしまっている時は、厄払いをお勧めする。

プラシーボ効果でしかないと言われる人もいるが、それが大事なのだ。

「もう大丈夫」

そう、信じられたら、その通りになるものだ。。

 もう、随分前の事だ。


「最近、悪い事ばかり起こる」


と知人が言い出した。

知人は人当たりが良く、頭も良く人の懐に入るのが上手な人で、男女問わずモテる男だった。

ただ、悪いところは、最近はよく耳にするサイコパスというか、当時興味があり読み漁っていた犯罪心理学の本の中で扱われ、一般的な知識ではなかったが、そういう人だった。


彼の愛想の良さとは裏腹に親友はいないとか、薄情な面を出したり嘘を簡単に付くとか、そこで初めて「サイコパス」という存在を実感した。


彼の言う悪い事とは、人間関係、男女関係も、友人関係も、仕事も、車やバイクで事故に遭う事とか。


そんな事が二年ほどの間に、立て続けに起こっていた。


ただ、人間関係での拗らせは、多分、彼自身が理由だと思うので、あまり同情してなかった。

何人かで飲んでいた際、トイレでこの人の後ろを通ったら、見えない長い髪を指で梳いてしまった事がある。


ああ、女の生霊が憑いているなぁと実感したのも、この人である。


相談されたなら仕方ない。

事故が多いから、厄払いとか良いかもな。

あとは、悪縁切りか?


なんとなく、彼を見ていたら彼の姿の上に


「あし ひとつ なくす」


と黒字に赤い縁取りの言葉がひらがなで浮かんだ。


これはヤバいと、生まれ年と状況を考え、成田山新勝寺にした。


成田山に行くので、必ず聞くこと


「神田明神にはここ三年行っていますか?あと、浅草浅草寺は一年行ってなければ」


「いや。両方行ってないよ」


「では、一応下着は新しいのでお願いします」


神様同士の相性がここはありますので。そして、白い新しい下着は神様への礼節です。


それで、日を決めて早朝に待ち合わせ。バイクのお祓いをしたいとの事で、事前に予約を入れていた。


朝の御祈祷の8時に合わせて、待ち合わせる。

来た姿は、ブーツ(革)革ジャン、ジーンズ(一度も洗ってない)そして、革のチャップスだった。

革要素(生臭きもの)多いなぁとその時点で、「なんか駄目かも感」多々。

この日でバイカー姿か。


下着は時間なくて買えなかったとか言っているし。


トイレと立ち寄ったドライブインで、勝手に肉うどん二つ頼んでいるし。

(我は精進潔斎をしていたのに)


着いてからも、近くまで来ているが、場所に迷う10分。(あろうはずのない、真っ直ぐなとこ)


着いてから、階段を上がる際に、二回躓く彼。(ああ、駄目だ)


御祈祷まで、ストーブにあたる。

温まるとアンモニア臭。(そうだよね。ジーンズは洗わないって言ってたね)


スエットの軽装の坊さんが、


「今日さ、…あっ。失礼」


とそそくさと退出。

多分、私らの確認で来て、自分の用意がまだだった感じ。


時間が来て、祈祷場に案内される。初穂料を渡す。

良かったちゃんと「初穂料」と書いてある。


場所移動。山門から入る。


我「右足から入ってくださいね」


彼「あっと、左足から入ちゃった」

入り口で足がもつれ、ととんと足踏みをして、ばっちり左足から入った。

(神様に嫌われている、ね)


そして、始まるバイクの前での御祈祷。

途中で黙る坊さん。え?飛んだ?

再度、少し前から読み直す。


なんだか、全部が空回りしている感じが否めない。


バイクの安全祈願は済んだが、納得いかない我は、9時まで引き留め、朝の護摩祈祷に参列することにした。


その前に、お不動さんだから、剣印のお札を購入し渡す。


「お賽銭は外の人のお金じゃ駄目なんじゃなかったけ?」


「はい。お賽銭はそうですが、お守りなどは自分を心配する他者から貰うのが効力が大きいのですよ」


よくドラマとかであるシーンに、都会に出る息子に地元の神社のお守りを渡すの。あれ、大正解!


そして、始まる護摩御祈祷。

人が随分集まっている。

読経が佳境に入ると、前列の人が動いて、坊さんに物を渡しては、護摩壇の炎の上を通す。


「あれ、行って、上着とか渡してきた方が良いですよ」


「うん。いいや。なんか立つの億劫だし」

(お前の為なんだよ)


「じゃあ私行きますね。バックでも貸してください」


で、私の上着と、彼のバックを炎で清めてもらった。


戻った時、彼が聞いた。

私も答えてしまった。


「ここの神様って位高いの?」


「不動明王で庶民や武士が信奉した仏法守護神なので、大日さま、観音様、菩薩様と比べると低いですよ」


今も思う、言った瞬間も思った。

なんで、今、自分がご利益を頂こうとしている神様を「低い」なんて言ってしまったのか。

「やばい」「駄目だよ」とか頭で思いながらも、なぜだか言葉がずるずると口から出たのだ。


色々と、駄目駄目感が多かったが、戻ってから半年程は状態が良いと喜んでいた。


次第に、音信不通になり、人づてに車の事故に遭ったと聞く。


そして、バイクのもう一台の盗難にあったとも聞いた。


直接はしらないが、足は無くしてないようだ。


もしかしたら、バイクの二台のうちの一台が盗まれたことを「あしひとつ」だったのか?


まあ、分からないが、普通は不動明王はオラオラ神で、がっつり動いてくれる。

厄払い、悪縁切りなど、仕事キッチリな神様である。


あんなに、存在感がなく、空回り感が強く、最後は怒らせてしまった感は今までなかった。



御祈祷を受けても、それまでに自分自身でその準備をする必要だ。

そして、殊勝な心掛けも。


我は言葉足りずに、それらを伝えられず、無駄にしてしまった。


1/29は初不動である。

東京に居た頃は、時々参拝していた。


悪縁切り、厄除けには、とても良い神様であるのでお勧めしているが、お参りする際は、どうか心から頭を下げてほしい。



普通お参りは、「お礼」「報告」だと思うが、「何か変だ」と思う時は厄払いを受けるのが良いと思う。

しかし、それには、「宜しくお願いします」との謙虚な気持ちが大切である。

厄は「穢れ」=「汚れ」に通じるので、まずは身を奇麗にする。身支度を清潔なものにする。

というのが、第一なのではないだろうか。


その人は、長く知る人によると、いつもそうらしい。

女性関係から人間関係を悪くし、そして、消えて、他の場所に移り、また人間関係を壊す。


まあ、なんというか、関わってしまった自分が一番、駄目だったのだろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ