地震がありました
小雨が気にされた
とある朝の電車内
鳴り響いたのは
警告の音
「大丈夫?」
家人へ
まだ始まっていない
災害への
安否確認
もちろん
返事は
すぐには
来るはずもない
揺れは
あまり分からなかった
走っている車内は
もともと揺れている
止まる電車
ネットのニュース
震度と震源地に目を見開いて
もう一度確認
どうやら家人に
ケガの類はないらしい
その代わり
すべての部屋について
足の踏み場もないとのこと
帰ろうか
その提案に
何の意味もないことを
数分後に知ることになる
全線
運転見合わせ
外に出られたのは
一時間以上
後のこと
復旧しない
電車をあきらめて
徒歩で歩いて
家よりも近い職場
まるで
休日出勤のよう
赤札の数の多さよ
帰ってもええで
電車が動いたら
帰りますわ
身の入らない
午前の仕事
お弁当食べ食べ
ぼんやり
ニュースを見やる
被害が
少なかったら
いいね
でも
たったの一人でも
誰かにとっては
かけがえのない
一人きりだから
本当は
よくないね
元気になってね
そんなわがまま
言えるわけがない
その苦しい気持ちを
少しだけ分けてください
そうして
やがて小さくなるまで
ずっと待っているだけ
でもね
例えば
大きい地震
お笑いのネタにしてしまうのも
いいんじゃないかな
と少し思う
配慮は必要だろうけど
すごく揺れたね
怖かった記憶って
笑いに変えられると
平気になることもあるらしい
そんなことを考えていると
呼ばれる職場
今日はもう帰ってください
電車が止まって帰れない人はいますか
その人は
帰宅困難者
になります
会社に泊まってください
大丈夫
お水とカンパンなら
ありますから
いや
どこに大丈夫な要素が
あるんですか
バスを乗り継いでも
帰りたい心持ち
同じ方面に帰る人と
タクシーの相乗りの相談
結局
タクシーを拾うために
向かった駅のそばで
運転復旧のお知らせ
通勤ラッシュと変わらない
混雑を乗り越えて
無事に家まで
到着
おうちはすっかり
片付いておりました
感謝感謝
でも油断は禁物
また
大きく揺れるかもしれない
準備のために
お買い物に走ったのも
お水の類が
全部売り切れていたのも
後年
いい思い出になるでしょう
少し心配してくれた……?
ありがとう
でもね
無事で
元気でいます