書籍12巻 発売記念SS『大メーア神殿』
――――神殿に向かいながら アルナー
大メーア神殿が本格的に運用されるようになったある日のこと。
アルナーはフランシスとフランソワ、それと六つ子達と共に神殿へと向かっていた。
特に用がある訳でもなかったが、家事などを済ませ他に用事もなく、暇な時間が出来上がったから神殿にでも顔を出してみるかと、そのくらいの軽い気分での来訪だった。
「メァッメァッメァ~」
一方フランシスは思わずそんな歌を歌う程にご機嫌、自分達のことを神の使いとして崇める神殿に行けるのだからそれも当然で、フランソワや六つ子達も同じようにウキウキとさせながら足を進めている。
自分達を祀る神殿、それは自分達の家以上に価値のあるもので……思わず自慢げに顎が上がり、その足取りもどんどん軽いものとなっていく。
そうして神殿にたどり着くと石造りで立派な建物が一同を出迎えてくれて……中に足を進めれば厳かな空気が包みこんでくれる。
太陽光を取り込み、神殿内部を明るく照らす構造になっている上に、あちこちにロウソクが建てられていて……石造りの建物自体が珍しいメーアバダルにおいては、特別な空間となっている。
そこに何枚もの絨毯が敷かれ、飾られ、仮のものではあるけども大メーアの神像が飾られ……そしてメーア達の特別な場所も用意されている。
それは石造りの二つの台座だった。
仮神像の前、左右に置いてあるその台座は、それだけで何も置いてはなく……何故だか台座の上部までの階段が用意されている。
それはアルナーにとっては首を傾げるものだったが、フランシス達にとっては明白で、すぐさまフランシスとフランソワが階段を上り、台座の上に鎮座し、鼻を突き上げふんすと鼻息を吹き出し、自分達こそが神の使いであるぞと主張する。
「はっはっは、そうだ、それで良い。
そこはメーア達のための台座だからな」
するとどこからともなくベンがやってきてそんなことを言い……フランシスとフランソワはますますごきげんとなって、いつにない得意げな表情を披露する。
「……なるほど、メーアのための台座だったか。
確かに神の使いなら神殿に特別な居場所があるもの……なんだろうな」
と、アルナーが腕を組みながら言うとベンはニヤリと笑い、顎を撫でながら言葉を返す。
「確かにメーアのための特別な場所ではあるが……その分だけ特別な仕事も待っているぞ。
儂の説教は一刻二刻と続くこともある、その間ずっと鎮座しているというのはとても大変なことだ……それが出来るのは選ばれたフランシス達くらいのものだろうよ」
そんなベンの言葉を受けてフランシスとフランソワは硬直し、その表情を引きつらせる……が、それでも台座から逃げることはなく鎮座し続ける。
大メーア神殿という存在はメーアにとっても大事なもの……それを蔑ろにするなんてことは、群れの長夫婦には絶対に許されないことで、大変なことだと分かっていても、それでも逃げずに台座の上に座り続ける。
「おお……フランシスとフランソワはさすがだな」
と、アルナーが素直に感心しての声を上げると、フランシス達は引きつらせながらも得意げな表情と鼻息を披露し……そして六つ子達は両親のその勇姿を、いっぱいの尊敬の思いがこもった目でもってじぃっと見上げ続けるのだった。
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