コミカライズ58話 公開予告SS
本日18時頃、コミックアース・スターさんにて公開予定です!
――――マーハティ領 メラーンガルの領主屋敷の書庫で ジュウハ
この日ジュウハは久しぶりの休暇をもらい、領主屋敷の書庫でゆったりとした時間を過ごしていた。
数え切れない程の本に囲まれ、それらをいつでも読むことが出来る、自分のものに出来るという文化的かつ知的な空気を胸いっぱいに吸い込むことが出来る。
木製の椅子に深々座ってそれが軋む音を堪能しながら、そんな書庫をぐるりと見渡したなら、自分の手元にある紙束へと視線を下ろす。
それは隣領……メーアバダルで作られているコミックだった。
ジュウハも驚く文化的娯楽、文字だけの本や絵本とはまた違った道を行くもの。
その存在は前々から知っていたし、自分が登場しているシーンは何度も読み返していたが……今回のものはまた別格、自分の活躍シーンが多く、思わず酒場で自慢をしたくなるような話についてのもので……それを何ページか読んだジュウハは、深く息を吸い、満足げなため息を吐き出す。
これぞ文化の匂い、自分の活躍と苦労がこんな形で世に出回ってくれるとは……こんなに嬉しいことがあるものか。
しかもこれは知識のためというよりも娯楽のため……話を楽しむための本だ。
娯楽こそ文化を育て、人を育て、幸せを広げるものであり……うんうんと頷いたジュウハは、ページをめくり読み進めていく。
そうして読み終えたならまたも満足げなため息を吐き出し……その紙束を書庫にしっかりと納めた上で立ち上がる。
このコミックは今日入荷されたもので、今頃マーハティ領中で読まれていることだろう。
そう、自分の活躍が、格好良さが今そこら中に広まっていて、話題になっているはず。
そして今日一日は休暇、何をしても良い日、酒を飲んで良い日……こんな日に酒場にいかないのは嘘になる。
と、そんなことを考えてジュウハは軽い足取りで書庫を出て領主屋敷を出て、道を下って街へと繰り出していく。
今日はどこの酒場に行こうか? 誰に会いに行こうか? なんてことを考えてますます足取り軽く、飛んでしまいそうな程軽々と足を進めていく。
すると街のあちこちから、
「よう、ジュウハの旦那! 今日は昼間っから遊ぶのかい?」
「コミック読んだよ! 中々男前じゃないか!」
「足取りで何するか分かるのはあんたくらいのもんだなぁ、今日はどこの酒場いくんだい? もちろん奢ってくれるんだろ?」
なんて声が上がる。
それらの声にジュウハは、楽しげに言葉を返していって……そうして人だかりを作ったジュウハはその人だかりごと、お気に入りの酒場へと突入していくのだった。
お読み頂きありがとうございました。
58話は黄金低地の話の続き……あの将軍達登場となります!






