コミカライズ56話 公開予告SS
更新遅れてしまいました! 56話、コミックアース・スターさんにてもう公開してます!!!
洞人族にとっての酒は酔うためのもの……でもあるのだけど、食事に近いものでもあるらしい。
果実酒、穀物酒、馬乳酒など様々な酒を組み合わせることで、食事なしでも生きていけるとかで……酒に滋養があるというよりは、酒の力を滋養に変える不思議な力が洞人族に宿っているんだそうだ。
そんな洞人族の仕事というと力仕事か火仕事で、どちらも汗をかく仕事になり……汗をかいた分だけ酒を飲むことで、かなりの長時間働くことが出来るらしい。
逆に酒がないとあっという間に息切れしてしまうとかで……そうなると本当に食事と同じような存在になるんだろうなぁ。
だけども酒を飲めば普通に酔うし楽しい気分になるし、酔い潰れたり二日酔いになったりもするそうで……そこが少しややこしいところでもある。
まぁー……洞人族が酔い潰れるには、他の種族の10倍とか20倍の量の酒がいるそうだから、そんなことは稀なのだろうけども……。
そんな洞人族だから酒のことが当たり前に大好きで、酒嫌いの洞人族など存在しないそうで……彼らに報酬として銀貨や金貨を渡すと、そのほとんどが酒の購入代金になってしまう。
日々の生活に必要な物や道具は自分達で作れば良い、食事はこちらが用意している、手に入りにくい素材とかも、必要なものだからと用意してやっていて……そうなると金の使い道がないのは確かなのだけど、それにしたってほとんど全てというのは凄まじい。
エリー達に頼んで樽ごと買ってもらうこともあれば、ゴルディアの酒場で飲むこともあり……エリーとゴルディアは洞人族達のための酒を用意するために、結構な苦労をしているようだ。
「高価なワインなんて買ってらんねぇくらいだ、酒の味はかなり分かるみたいだが、酔えればそれで良いって連中もいて……高級品を用意するのが馬鹿らしくなる。
最近では隣領で大量生産されている砂糖酒を買うようにしているな……酒精が高いもんだから、連中も大喜びよ」
酒場の様子を見に行ったある日のこと、ゴルディアからそんなことを言われて私は「なるほどなぁ」と返す。
酒を飲まない私からすると、高い安いとか、原料の違いとかはよく分からないのだが……色々と違いがあるようだ。
「もういっそ、やっすい蒸留酒だけ飲ませれば良いのよ。
香りも味も飛んでいるようなやつ……たまにあるでしょ?」
在庫の確認を終えたらしいエリーが酒場の地下から顔を出しながらそう言ってきて……ゴルディアは首を左右に振って言葉を返す。
「ただの安酒、不味酒を売るような酒場に誰が寄り付くってんだ。
ここに寄り付かず、そこらで適当に飲まれる方が厄介で、そうなると何をしでかすか分からねぇしなぁ……ちゃんとここに引き止めて、目が届くようにしておかねぇとな。
それなりに満足してもらえる美味い酒を出し続ける酒場ってのは、皆のためにも治安のためにも必要なもんなんだぞ。
東南の方の町では、酒場での食事が無料なんてとこあるらしくてな……客寄せのため、酒をたくさん飲ませるために始めたことらしいが、今じゃその酒場のおかげで飢えるものが減って、犯罪に走るもんも減って、治安がよくなり人が集まって、経済までが回り始めているらしい。
……流石にそこまでするつもりはねぇが、酒場としての役目はしっかり務めねぇとな」
そう言ってゴルディアが鼻息をふんすと吐き出すと私とエリーは、ゴルディアにしては結構色々と考えているのだなぁと感心してしまう。
すると、そんな私達の内心に気付いたらしいゴルディアは、
「てめぇら……一体いつまでそんな認識でいるんだ。
これでも立派な大人でギルドの長で……あの頃とは別モンなんだぞ」
と、そんなことを言ってくるが……やはり私達にとってゴルディアはゴルディアのままで、私とエリーは同時に何を言っているんだこいつはと、そんな顔をしてから……ぎゃーぎゃーと声を上げるゴルディアの話に付き合うべく、カウンターの椅子に腰をかけるのだった。
お読みいただきありがとうございました。
明日はコミカライズ11巻発売日!
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