コミカライズ55話 公開予告SS
本日18時ころ、コミックアース・スターさんにて公開予定です
また今回はコミカライズの内容とはほぼ関係ないです
――――村の外れで、アルナーの肩に乗って エイマ
ある日の昼過ぎのこと。
セナイとアイハンたっての希望で、2人とディアスの模擬戦が行われることになった。
セナイとアイハンは先端を潰し布で覆った矢を番えた弓を使い、ディアスは素手で……矢が当たったらディアスの負け、全ての矢を防ぐか回避するか……セナイとアイハンを捕まえたらディアスの勝ち。
それだけを聞くとなんとも一方的かつ勝負とも言えないようなルールだったが、相手がディアス……そもそも大人と子供という差もある。
そのくらいの足枷がなければそもそも勝負にもならないはずで……アルナーやエイマを含めた見学者の誰もが納得するルールとなっていた。
「そろそろ行くよー!」
「はじめるよー!」
大勢の村人達が見守る中、セナイとアイハンがそう声を上げ……ディアスが手を上げたことで準備が終わり、矢を番えて引き絞り狙いを定め……そしてセナイとアイハンが矢を放った瞬間、模擬戦が開始となる。
途端にディアスは駆け出し、セナイ達を捕まえようと凄まじい勢いで迫る。
セナイとアイハンが放った矢は、その動きを予測していたかのようにディアスを追いかけ……ディアスは駆けながらその2本の矢を、右手と左手でもってあっさりと掴んでしまう。
それを受けてセナイとアイハンは更に矢を放ち……駆けたり跳んだりとし、ディアスから距離を取ろうとしながら次々に矢を放つ。
ただまっすぐに矢を射ってもディアスには当たらないと承知しているのか、上に放った矢を落とし、左右に放った矢を蛇行させてみたりとし、そうやって駆けるディアスに当てようとするが……ディアスはその全てを掴むなり叩き落とすなりして、防いでしまう。
「もー! なんで当たらないの!!」
「でぃあすいがいなら、あたるのに!」
そんな光景を見てか矢を放ちながらセナイとアイハンが悲鳴のような声を上げると、ディアスは笑いながら……セナイ達の下へと猛進しながら言葉を返してくる。
「セナイ達の狙いは正確だからな! 絶対に外れないと分かっていればどこから来るのかも、どう動くのかも丸わかりで、防ぐのも簡単だよ!」
馬鹿なことを言うな。
それはエイマを含めた見学者の総意だった。
矢がどう飛んでくるのか分かっていたとして、それを簡単に防げてたまるか、掴めてたまるか、何をどうしたらそうなるんだ。
言葉にはしないものの誰もがそんなことを思う中……小細工に意味がないと悟ったのだろう、セナイとアイハンは真っ直ぐに……それぞれの技術でもって可能な限りの速射でもって連続で矢を放つ。
真っ直ぐ、鋭く……今までで一番速く。
エイマの目では追いきれないような矢の束を、ディアスは腕を軽く振るうだけで振り払い……そして一気に加速し、速射だけに意識を向けて逃げることを忘れていたセナイ達を抱えて捕まえる。
「2人共よく動けるようになったなぁ。
大人顔負けだ……これは数年もしたら追い越されてしまいそうだなぁ」
抱えながらディアスはそう言って笑い……それから2人を下ろし、よくやったと2人の頭を優しく撫でる。
セナイとアイハンは嬉しそうに笑いながらそれを受け入れ……そしてエイマを含む見学者は何とも言えない苦い顔をする。
何十年たってもディアスを追い越すのは無理だろう。
なんて言葉が頭の中に浮かぶが……誰もが同じようなことを考えていることが分かっているので、誰もそれを口にはしない。
ただただ苦い顔でもってそう考えていることを示し……それから表情を切り替えた見学者達は、頑張ったセナイ達を労うために、笑みを浮かべながら2人の下へと駆け寄るのだった。
お読みいただきありがとうございました。
55話はユンボ先生のオリジナル回なので、ネタバレっぽいのはなしな方向で!






