コミカライズ10巻 発売記念SS
10巻記念にお祝いが届いたようです。
ある日のこと、作業を終えたユンボが自分のユルトで昼寝をしていると、何故だか外が騒がしくなり……せっかくの昼寝が台無しになってしまう。
普段であればこの時間は、村の誰もが仕事で忙しくこの辺りに用事はなく、とても静かなものなのだが……一体何があったのやら。
目をこすりながら体を起こしたユンボが、文句の一つでも言ってやろうかとユルトから這い出ると……大きな壁がユンボの前に立ちはだかる。
太陽の光を遮り周囲一体を覆う影を作り出しているそれを見て、ユンボが大きく首を傾げていると、慌てた様子の獣人達がユンボの下へと駆け寄ってくる。
いつもユンボの作業を手伝ってくれている多種多様な獣人達、そんな彼らにユンボがどうしたの? という視線を送ると獣人達は困り果てているというか困惑したような様子で壁のことを指差す。
彼らの説明によるとそれはどうやら壁ではないらしい、多くの木箱が積み上げられているものらしく……その木箱の中にはユンボ宛の荷物が入っているらしい。
荷物? 一体どんな荷物なの? なんでここに?
それは抱いて当然の疑問で……そんなユンボの疑問に獣人達はゆっくりと答えていく。
曰くこれはコミックが人気なことへのお祝いであるらしい。
コミックを楽しんでくれている人々からのお祝いで……隣領だけでなく様々な地域から届けられているらしい。
具体的にどこから? と、質問してみるとまず多いのは隣領で次に多いのは獣人国からで、そして王都などからも届けられているらしい。
獣人国からというのは、恐らくペイジン達の影響なのだろう。
自分達も登場しているからと、結構な数のコミックを仕入れていったペイジン達……それを獣人国で販売したりしているのかもしれない。
王都は……エルダン達の影響だろう。
確か以前に、王都にも持っていっていると、そんな話を聞いた覚えがある。
そうやってコミックが広がった結果が目の前の壁であるらしく……その多さを見てユンボは喜んだら良いのか怯んだら良いのか、なんとも言えない気分となる。
そうしてユンボが呆然としてしまっていると、そこに木箱を抱えたアルナーがやってくる。
「ああ、ユンボ……起きたか。
この荷物……どうする? 目録を見てまさかと思って中身を確認してみたのだが、どうやら目録に間違いはないようだ。
……流石にこの量となると処理に困ってしまうな」
と、そう言って中身を検めたらしい木箱をユンボの目の前に置くアルナー、その木箱の上には目録とかかれた紙束が置いてあり……それを見てユンボは恐る恐る手にとっての確認をする。
送り主ごとに違う文体で書かれたその目録はかなりの種類があって、確認に一手間かかってしまうものだったが……それでもすぐに確認を終えることが出来る。
何なら途中から目を通す必要すらない有様で……どの目録もだいたい同じことが書かれていたのだ。
犬人族が好む干し肉を出来るだけ用意しました。
と、そんなことを。
どうやら目の前の壁すべてが干し肉であるらしい、ユンボへの報酬のつもりであるらしい。
ある程度保存が効くとは言え、干し肉にも美味しく食べられる期限というものがあり……果たしてこの量すべてを、それまでに食べ切ることが出来るのだろうか……?
そんなことを考えてユンボが戦慄していると、仕事仲間の獣人達が、
いや、俺は肉食べないし。
私は木の実の方が……。
肉は好きだけど干し肉はちょっと……。
なんてことを言ってこの場から立ち去ろうとし始める。
それを受けてユンボは凄まじい勢いで駆け出し、仕事仲間達に抱きつき、食べるなり配るなりして消費を手伝って! と、懇願するのだった。






