書籍第10巻発売記念SS『セナイとアイハンの一日』
第10巻本日発売です!
セナイとアイハンの朝は早い。
日が昇る直前から起き出し、家事を始めるアルナーを手伝うために一緒に寝床を出て、着替えをし井戸水で顔を洗い、髪を婆さん達に整えてもらったなら竈場を駆け回っての手伝いをする。
ある程度手伝ったなら今度は畑に向かい、両親の若木に挨拶をし……畑の世話を婆さん達と一緒に行う。
それが終わったら朝食、ディアスの側でお腹いっぱい食べたなら小休憩……休憩が終わったならエイマの授業だ。
エイマの授業では読み書き計算、自然学などを教わることができ……授業が終わったなら自由時間となる。
自由時間に何をするかは二人の気まぐれで決まる。
酒場に向かって朝絞ったばかりのミルクを楽しむこともあれば、神殿に向かってベンディアの説法を聞くこともある。
あるいは森に向かって存分に森を楽しむか……狩りに出かけることもある。
狩り方は違うが、ディアスとアルナーは狩りの名人だ、そんな二人を真似して狩りをし、見事成功するとなんとも言えない誇らしい気分になることができて……村の皆が喜び、褒めてくれるものだから更に良い気分になることが出来る。
当然ディアスもアルナーも褒めてくれるし、フランシス達を始めとしたメーア達も、二人がいると安心だとそう言ってくれる。
「狩りかな!」
「かりだね!」
……そんな幸せで温かい思い出を反芻した二人は、今日は狩りをすることに決めて、ディアスとアルナーの許可を取った上で、弓と矢筒を背負い厩舎へと向かう。
厩舎に向かい愛馬であるシーヤとグリに跨ったなら、仕事も終わったからと同行してくれるアイセター氏族の若者達と草原に向かい……馬を駆けさせながら空を見上げる。
地上の獣を狩っても良いが、地上の獣はディアスや犬人族達に任せておけば良い獲物でもある。
自分達にしか狩れないような、空の獲物を探すべきだと二人は考えていて……そして村が見えなくなる程度に離れた所で、ちょうど良い獲物を見つける。
二人はその鳥の名前を知らない、大きく目がよく、素早く動くことが出来る鳥で……その肉は少し硬いがとても美味しいと知っている。
その目でもって二人のことを見つけてはいるが、これだけの高さにいれば安全だろうと甘く見ていて……特にこちらを警戒している様子はない。
そんな鳥を追いかける形で馬を走らせた二人は、弓を手に取り矢を番え……さっと引いて構えを取る。
それから二人同時に狙いを定めて……まずセナイが矢を放つ。
弓にも矢にも魔力を込める、更に森人だけに扱える魔法でもって獲物へと流れる空気の道を作り出し……その道の中を通らせる形で矢が高く高く飛び上がっていく。
それを見て鳥は大慌てで旋回しセナイの矢を避け……直後アイハンの放った矢が鳥に迫ってくる。
その勢いは凄まじいが、それでも鳥はどうにか身を捩って回避し……すぐさま翼を振るい、危険なセナイ達から離れようと高度を上げていく。
上げて上げて、ここまで来たら安全だろうという所で……避けたはずの矢が弓から放たれた時以上の勢いで上から迫ってきて……鳥の体を貫く。
避けられるのは分かっていた、だから魔力でもって小細工をしておいた。
そうして落ちてきた鳥をアイセター氏族が回収してくれて……アイセター氏族から鳥を受け取った二人は、簡単な処理をその場でしてから、村へと凱旋する。
翼を広げたなら二人の身長よりも大きな獲物を、二人が満面の笑みで持ち帰ると……いつも通りのなんでもない日常を過ごしていたイルク村は、人を褒める声でもって大いに盛り上がり、賑やかになっていく。
そんな中でアルナーが、
「昼食には間に合わないが夕食に必ず出すから楽しみにしていると良い」
と、そう言ってくれて、二人は満足げにふんすと鼻息を吐き出し……それから狩りの汚れを落とすための水浴びや着替えなどを済ませてから昼食をとる。
昼食が終わったなら頑張ってくれたシーヤとグリの世話をし、厩舎の手伝いをし……疲れたら昼寝をし、そうこうしているうちに夕食の時間となり……とっても美味しい鶏肉料理を存分に堪能したなら、寝る前の身支度をし……寝床に入る。
寝床に入るとディアスかアルナーかエイマが二人が寝るまで色々な話をしてくれて……そんな話を聞いているうちに二人は、夢の世界へと入り込み……存分に夢の世界を楽しむのだった。
お読みいただきありがとうございました。
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