コミカライズ48話 公開予告SS
本日18時ころ、コミック―アース・スターさんで公開予定です
ある日の夕暮れ。
もう少しで就寝という時間、私が眠る前の軽い運動で体をほぐしている中……アルナーは鞣し終えた動物の革に、大きな針をぐいぐい差しての刺繍をしていた。
革細工用の長椅子に腰掛け、両足で大きな……身長の半分程の大きさの木製の器具、革バサミなるものをはさみこんで……その革バサミでもってしっかりと皮を挟んで固定して、刺繍をするのがアルナーのやり方であるらしい。
刺繍の目的はその革に模様を描くことで……数日前から進めているその作業は、そろそろ終盤であるらしく……アルナーの顔は嬉しそうと言うか、楽しそうと言うか、ほころんだものとなっていた。
「おー、しっかり絵になってる!」
「このまえ、みたのと、ぜんぜんちがう!」
と、そんな声を上げるのはアルナーの左右……長椅子の左右に座ったセナイとアイハンで、邪魔にならない程度の距離を取りながら革を覗き込んでいる。
「へぇー……革刺繍って綺麗な出来上がりになるんですねぇ」
「メァメァー」
「メァン」
更にセナイの頭の上に乗ったエイマや、足元で見上げているフランシスとフランソワまでが声を上げ……六つ子達は眠いのか、フランシス達の側にはいるが静かなままだ。
そんな風に皆が声を上げる刺繍とはどんなものなのだろうかと気になり、静かにアルナーの背後へと移動して覗き込んでみると……かなりの良い出来の絵画のような刺繍が視界に入り込む。
別の革を貼り付けているのか浮き上がった絵のようになっているのは……恐らくドラゴンだろうか……大きく翼があり火を吹き出している。
それに相対するのは馬に乗った人が指揮する軍で……鬼人族っぽい姿や洞人族っぽい姿、そして犬人族の姿がある。
……どうやらこれは私達とフレイムドラゴンとの戦いを絵図にしたものらしい。
これと似た絵画は竜殺しの英雄譚の絵として見たことはあるが……竜殺しの軍がこんなに多種多様なのは、なんとも特徴的だなぁ。
「……こうやって絵にして飾っておけば、皆あの出来事を忘れないだろう?
2代先、3代先にフレイムドラゴンがやってきた時、どうやって戦えば良いかの参考になるかもしれない。
だからこうやって革刺繍にして保存しておくんだ……革刺繍ならしっかり手入れしたら何代も保つからな」
絵図を覗き込む私達に、そう説明してくれるアルナー。
アルナーによるとこういった革刺繍を持っている鬼人族は多いんだそうで……そのほとんどが言い伝えのための、後世のためのものであるらしい。
「なら大切にしないとだな」
と、私がそう言うとアルナーはこちらを向いてニッコリと微笑み……それからすぐに革へと視線を戻し、作業を再開させるのだった。
お読み頂きありがとうございました。
今回はVSフレイムドラゴンのあれこです!






