コミカライズ43話 公開予告SS
本日18時頃、コミックアース・スターさんにて公開予定です!
「むっはっは、所詮は昔話、そこまで仔細にこだわる必要はないと思うがのう」
ある日の昼下がり、煙が上がる工房の一画で取材に来たユンボに対し、ナルバントがそんな声を上げる。
「それでも話を聞きたい? 約定とは具体的にどれくらい昔か?
さてのう……眠りこけていた間、どれだけ時が過ぎたかなんてオラ達には分からんからのう」
紙束とペンを片手にユンボがそう食い下がるが、木材を積み重ねて作った椅子の上でナルバントはとぼけた表情をし、とぼけた声を上げる。
「そこはほれ、お主の作品なんじゃから想像で描いてしまえば良いんじゃないかのう。
それを咎める者もすでになし……好きにやって良いと思うのう」
そう言われてユンボは、ではこうなのではないか、ああなのではないかと自分の想像……推察をぶつけるが、ナルバントはどこまでもとぼけ続ける。
「むっはっは、どうしても知りたいなら後は自分で調べるしかないのう。
何も全てを知っているのはオラだけではないからのう……それこそ取材、自分の足で調べるしかないのう」
それを受けてユンボは、一体誰が知っているのか、自分の足と言うがどこに行けば良いのかと問うが、ナルバントは答えない。
そのあまりの態度にユンボは思わず声を荒らげてしまいそうになる……が、そこでナルバントは懐から縦長の木箱を取り出し、ユンボへと手渡してくる。
ユンボは首を傾げながらもそれを受け取り、ナルバントに促されるままに蓋を開け……その中に新しいペンが入っていることに気付くと、その目を煌めかせる。
「お主の意見を聞いての改良版だのう。
形も手に合わせてやったし、ペン先もインクの吸いを良くしてやったし、これ以上のもんは無いんじゃないかのう。
他でも手に入らないここだけの逸品、上手く使いこなしてみせい」
そう言われてユンボは早速とばかりに腰に下げていたインク壺にペン先を沈め、それから手元の紙に簡単な絵を描き始める。
するとスラスラと描くことが出来て……そうなったらもう夢中で、全ての紙を使い尽くす勢いで思うがままに描き続ける。
そうしてユンボが当初の目的を忘れてしまうと、ナルバントは今がチャンスとばかりに動き出し、休憩を切り上げて工房での作業を再開させる。
ユンボの絵とナルバントの作業はそのまま日が沈むまで続けられることになり……ユンボは結局、3日後の昼食の時まで当初の目的を忘れ去ってしまうのだった。
お読みいただきありがとうございました。
42話がニコニコ静画やピクシブコミックでも更新されていますよ!






