コミカライズ2巻 発売記念SS『メーアな二人』
本日12月12日、コミカライズ2巻発売日です!!
ある日の昼下がり、集会所で――――
マヤ婆さん達に手伝って貰いながら、簡素な作りのローブのような服に、刈り取りたての簡単に洗っただけのメーア毛を縫い付けていく。
ふんわりとした、ふかふかとしたメーアの毛らしい姿をそのままに、ローブ全体がもふもふとした姿になるように。
そうやって二着のメーア毛ローブを仕上げていると、そこにエリーがやってきて……集会所の隅で針を摘む私を見るなり物凄い表情となって声を上げてくる。
「お父様が針仕事!?
な、何事なの!? 一体何があったの、一体何があったらそうなるの!?
普段ならアルナーちゃんが……ってあら、アルナーちゃんここにも居ないの? 用事があって探していたのだけど……何処へ行っちゃったのかしら」
慌ただしく忙しなくそう言ってくるエリーに、慎重に針を通しながら、針の方に意識の大半を向けながら声を返す。
「……アルナーなら草原だ。
逃亡し、草原の何処かに姿を隠したユンボを探し出すまで帰ってこないそうだ」
「え。
ちょ、ちょっと、本当に何事なのよ。
何があったらそんなことになるのよ」
私の言葉に困惑した様子でそんな言葉を返してくるエリーに対し、私は近くに置かれていた何枚かの紙を持ち上げて、これを見れば分かると態度で示す。
その紙には何と言ったら良いのやら……露出度の高いメーアのような格好をしたアルナーと、セナイとアイハンの絵が描かれていて……それを描いた主犯であるユンボは、量産されたそれがエルダンから送られてくるなり、身の危険を感じたのか姿を隠し、そうしてアルナーはユンボを探し出そうと躍起になっているという訳だ。
「あらー……これは何というか、そうなるのもやむ無しって感じよねぇ。
アルナーちゃんだけじゃなくて、セナイちゃんとアイハンちゃんまで……。
……で、そんな状況の中、お父様は一体何をしていらっしゃるの?」
紙を手に取りじっと見つめながらそう言ってくるエリーに、私は慎重に丁寧に針を通しながら声を返す。
「それを見たアルナーが激怒する中、セナイとアイハンは自分達の姿がそうやって絵になったことを、メーアの姿となったことを思いの外喜んでな……絵の中だけでなく実際にメーアの格好をしてみたいと言い出したんだ。
流石にその絵のような格好はさせられないが、木でメーアの角を模した髪飾りを作ってやって、こんな感じのメーア毛を貼り付けたローブを作ってやるくらいなら構わないかと思ってな。
……髪飾りはもう完成しているから、後はこのローブを仕上げるだけなんだ」
と、私がそう言う中で、近くに座っていたマヤ婆さん達は、メーア毛で作った手袋や、靴下を掲げてみせる。
それらはセナイとアイハンに合わせたサイズとなっていて……それを見たエリーは「しょうがないわねぇ」と、そんなことを言いながら腰を下ろし、私の作業を手伝い始める。
こういった作業になれているエリーの手際は大したもので、あっという間にローブが出来上がっていって……それだけでなく着やすいように、エリーから見て可愛くなるようにと様々な工夫が施されていくのだった。
そうして夕刻。
アルナーが両手足を縛り上げたユンボを担いで帰って来た頃、出来上がったローブで身を包んだセナイとアイハンがなんとも元気に楽しそうに、メーア達と一体となって駆け巡っていく。
「メァ~メァ~!」
「めぁーめぁー!」
角をつけて、ローブを身に纏い、手袋と靴下、蹄を模した靴を履いたセナイとアイハンは、まさしく二本の足で立つメーアといった様子で……その姿を見た村の皆は思わずその表情を綻ばせるのだった。






