コミカライズ14巻発売記念SS『草』
本日発売です!!
竈場でアルナーに協力してもらって料理を用意してもらい……私用の場も用意してもらい、そこで二皿の料理を食べ比べて、それからうぅんと唸り腕を組む。
味が違う、凄く違う。
同じ種類の家畜の同じ部位の肉を全く同じ調理法で料理してもらったのに、明確に味が違う。
「これは驚いたな」
同じ料理の味見をしてくれたアルナーもそう言ってくれて、どうやら私と同じ感想を抱いているようだ。
片方はメーアバダル草原で育ったガチョウの肉、もう片方は隣領で育ったガチョウの肉。
他にも黒ギーの肉でも試したが同じ結果で……明らかにメーアバダル産の肉の方が美味しい。
臭みがなく爽やかなで後味も悪くなく、肉も柔らかい。
鮮度とかそういう問題ではないと思う、解体自体はこちらでやったからなぁ……不思議なこともあるものだ。
と、そんなことを考えていると犬人族のユンボがやってきて、何をしているのかと覗き込んでくる。
「ああ、ユンボか。
いや、少し前にアルナーが隣領で食べた料理を再現してくれただろう? それを食べてどうにも味が違うような気がしてなぁ……特に肉の味が違う気がして、どうにも気になっていたんだ。
そんな話をアルナーとしたらアルナーが何が原因でそうなったか気になると言い出してな、ここ数日色々と試していたんだが、どうやら肉の味の違いが原因だったらしいんだ。
……しかしうちの家畜は全部隣領からもらったり買ったりしたものばかりだ、つまりは同じ肉だ。
なのに何故味が違うのかと思ってなぁ」
私がそう説明するとユンボも食べたがったので、アルナーがユンボの分の料理も用意してくれる。
スパイスたっぷりの肉スープと、肉とチーズを混ぜ込んだもの、肉と野菜の鍋……などなど。
するとユンボも同じ感想を抱いたようで、私とユンボで並んで腕を組んで「うーむ?」と頭を悩ませる。
……と、そこに散歩でもしていたのかフランシスがやってくる。
「メァメァメァアメァメァ~?」
同じ質問、それを受けて説明するとフランシスは、とことこっと駆けていって草を食んで戻ってきて……これが原因だと示してくれる。
「メァメァ~メァメァ!」
「草……? いや、草原の草は料理に入れてないが……んん?
ああ、そう言うことか? つまり食べている草で肉の味が変わると?」
「メァ~メァメァ~メァ」
「……ここの草原の草は、他の地域で言うハーブと言われる草と同じ?
え? ハーブなのか? この草が全部? 私が食べた時はまずいばかりだったが……」
「メァ! メァメァメァ~メァ!」
「……た、食べ方が悪いのが原因か、ちゃんと調理したらここの草でもちゃんと美味しいのか……。
ここの? 草原の草全部がハーブ?? なんとまぁ」
と、そう言ってから私は立ち上がって、周囲をぐるりと見渡す。
ハーブ、香草、他の地域なら珍重される品で、市場などで売られる代物が見渡す限りに生えている。
なんとまぁ……言葉もないとはこのことだ。
なんてことを考えているとユンボがぽんぽんと手を打ち鳴らしてきて……そして目の前の皿を指さしてくる。
まずは食事を済ませろと、そう言いたいらしい。
それを受けて私は大人しく席に戻り……ユンボと並んでの豪華な食事を、これでもかと堪能するのだった。
お読みいただきありがとうごいざいました。
本日発売の14巻をよろしくお願いしまっす!!!






