コミカライズ更新告知SS『スーリオの強さ』
本日コミックアース・スターさんにて『67-1話』 『67-2話先読み』更新です!
ある日のこと。
もう何度目になるか、こちらにやってきたスーリオが、広場で皆を相手に鍛錬をしていて……それを隅で眺めているアルハルの存在に気付く。
隅に座って手帳を手に何か書き込んでいるようで……何を書いているのかと覗き込んでみると、どうやらスーリオ……獅子人族の特徴や強さを調査していたようだ。
帝国にはいないらしい獅子人族、アルハルにとってスーリオは、初めて目にする種族であり……今後の仕事で関わるかもしれないからと、しっかりとした下調べをしているのだろう。
その手帳には強さどうこうだとか、誰に勝った負けたなんてことも書かれていて……ふと気になった私は、アルハルに問いを投げかける。
「ちなみにだが、スーリオはメーアバダルの皆と比較して、どのくらいの強さなんだ?」
突然の問いかけにもアルハルはなんでもない様子で返してくる。
「んー……まぁ、上位にはなるかな、分かりやすい例を何人か挙げると……」
と、そう言って手帳をめくり始めるアルハル。
私がやってきたことも、覗き込んでいることもアルハルならば気付いていたはずで、それで何も言ってこないのなら覗き込んでも問題ない内容というはずで、そういったことに対する質問であればアルハルは、概ね丁寧に返してくれる。
「まず一番のディアスとは天地の差で負け。
次点のクラウス、イービリス相手の場合は状況次第。
そこから更に下のパトリック達なら1対1なら負けないんじゃないかな」
なるほど?
クラウスとイービリスが互角扱いなのには少し驚かされたが……アルハルがそう言うのなら間違いではないのだろうなぁ。
まぁ、イービリスは領民ではないのだが……そこら辺の細かいことは今は良いか。
「クラウスとイービリスの状況次第というのはどういう感じなんだ?」
「クラウスとやる場合、素手なら身体能力で勝るスーリオに分があるけども、しっかり装備した場合はクラウスに分があるよ。
スーリオの爪や牙は確かに鋭いが、間合いを取られると厳しいからね……クラウスは槍使いな上に、間合いの取り方に関してはディアス以上だから、どうにもならないと思うよ。
しかもクラウスの装備はドラゴン素材だろー? そうなると爪も牙も通らないからなぁ。
イービリスの場合は、戦場が陸上か水上かって話になるよな。
そもそもイービリスは水中ならディアスに勝つこともあるから、他の誰が勝てるんだって話になるけどな」
「ふーむ……なるほどなぁ。
ちなみにその中にアルハルが入るとどんな感じになるんだ?」
「……不意打ちや暗殺ならディアス以外には勝てると思う」
と、そう言ってアルハルは少しだけ不貞腐れたような態度となる。
アルハルは密偵が本業、不意打ちなどを大の得意としているのだけども……不意打ちしても良いと決めた長期の鍛錬で、その全てを私に防がれたことを未だに根に持っているようだ。
……私からすると何となくの勘でたまたま防げただけなのだけども、アルハルにとってはそれでも敗北は敗北ということらしい。
こうなったアルハルに声をかけるとより不機嫌になってしまうことを知っていた私は、それ以上は何も言わず……スーリオの鍛錬でも手伝うかと広場の中央に足を進める。
するとスーリオは全身の毛を逆立たせながらも、私の挑戦を受けるぞと構えを取り、同じく構えを取った私は、まずはどのくらい成長したか確かめてやろうと、スーリオが得意とする組み合いを挑んでやるのだった。
お読みいただきありがとうございました。
実はそれなりに強いスーリオ君






