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目覚めと遭遇

遅れました

 ―――懐かしい夢を見た。まだ何も知らず全てのことが楽しいと無邪気に思っていた頃の夢だった。自分のすぐ傍には物心ついた頃からいつも一緒にいる娘が寝転がっている、もう一人のいつも一緒にいる子は今は近くにいなかった。彼女が何かを言っているのか口元が動いている、しかし何を言っているのか分からない・・いや、思い出せない、何かとても大切なことを言っていたような気がしてならない。今度会った時聞いてみよう・・・・。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




「・・・う、あ、うう、うん?(何か聞こえる・・)」

 意識を失った凍馬は誰かの話し声を聞き取り、意識が浮上し始める。

「・・なんでそうなるんだよ、もう少し現実性のあることをな」

「お前は頭が固すぎだ、こんなファンタジーな世界なんだぞ?もっと柔軟せ、あ、待て。みんな起き始めてるぞ」

 その声が大河と会長のものであることに気づいたのとほぼ同時に凍馬の意識が覚醒する、目を覚ましてまず目に入ってきたのは汚れ一つない純白の壁だった。先ほどまで教室にいたはず、そして教室の天井はこんなに白く、キレイではなかった、思わず凍馬は呟いてしまう。

「・・・知らない天井だ・・」

「何言ってるんだ、お前」

「ああ、大河か。お前は大丈夫か、クラスの他の奴らは?てかここどこ?」

「・・はぁ、何で意識失った後すぐボケるんだよ・・・。周りを見てみろ、俺ら以外にもいっぱいいるぞ」

 ため息とともに大河は凍馬に周りを見るように促す、言われるがまま座った状態で辺りを見回すと知らない人の方が多いが自分のクラスメイトやそれ以外にも何人かの知り合いの先輩・後輩たちが起き上がってきているのが見えた。隣を見ると焦点の定まってない目で加古が同じように辺りを見回している。

「・・・うーん、頭ボーっとする。・・・てかここどこ?さっきまで教室にいたのに・・もしかして夢の中?」

「ネコ、お前はまともな反応してくれて俺は嬉しいよ。ほか二名がバカなことしか言わないから」

「とりあえずここはどこなの?」

 起きた加古は不安そうな顔で友人たちに尋ねる、周囲をみると状況を把握し始めたのか同じように不安が表面化しつつあった。と、その時そんな空気を引き裂くように大声が響き渡った。

「せ・ん・ぱ・い~~~~~~~!!!」

 その大声と同時に大河に向かって一つの影が跳びかかった。

「っ!!!」

本来なら反応できないタイミング、しかし本能的な危機故か大河はその人物を受け流すことに成功する。大河に抱きつけず跳びかかった勢いが落ちていき・・・そのまま大河の後ろに座っていた凍馬と衝突した。

「「ぎゃああああああああ!!!???」」

 凍馬とその人物はもつれ合うように倒れこみ二人揃って悲鳴を上げる。

「・・・あ、危なかった・・」

「おい、今のは!」

「ちょ、凍馬大丈夫!?」

「いった~い、なんで大河先輩避けちゃうんですか!こんなにかわいい後輩のハグなのに!!」

 そう言ってそこにいた跳びかかってきた人物・・・後輩の凛桐朔(りんどうさく)()が不満そうにしていた。彼女は凍馬たちの後輩でツインテールが特徴の10人が見れば7人可愛いといった感じ可愛らしい顔をした女の子である。ちなみに凍馬は朔良の下で寝っ転がっている。

「お前のしてきたことハグじゃなくてタックルだ、あと自惚れも大概にしろ」

「うわー、ひどい。会長慰めて~」

「おー、よしよしかわいそうに。大河気持ちは分からんでもないが女子は繊細なんだもう少し言い方を考えろ。いつもの私への辛辣な態度もな・・」

「顔以外一番女子っぽくないやつが言ってもな(笑)」

「ヨシ、コロス」

 そう言って三人で言い争いをしているのを眺めながら加古は凍馬を起こしていた。

「おーい、起きろや寝坊助」

「・・・クッソ痛え・・。あいつらはいつも通り三人で痴話喧嘩か」

「いつも通りよ、・・ホント特にあの二人あんなに仲がいいのに付き合ってないって嘘みたい」

 凍馬四人は一緒に行動することが多いがそれ以上に大河とさとりは一緒にいることが多い、休日などでもしょっちゅう二人で歩いているのを見かける。クラスメイトたちには曖昧に返していて付き合っているのではと勘繰られているが凍馬たちには言い寄られないように互いに利用してると話してくれた。実際さとりの容姿は一部分を除けば素晴らしく去年の文化祭の美人コンテストでは一昨年の優勝者を抑え圧倒的な投票差で優勝した、大河はそこまでではないものの十分イケメンである。そのため高校入りたての頃は二人とも毎日のように告白されておりうんざりした様子だった。

「・・でも普通は恋人代わりなんてしないよねえ」

「だよなあ、・・あれ、待てよ。朔良がいるってことはさ・・」

「・・・・くらー、朔良―。置いてかないでよ~・・ってあれ?」

「やっぱり!も「ハッハー―!!全世界約十五万人のファンよ待たせたな!!」・・え?」

 聞こえてきた知人の声に凍馬が反応しようとすると突然上から大声が聞こえてきた、思わず見上げるとそこには目をつぶった一人の少女?らしきものが宙に浮いていた。髪は長く艶やかな銀髪、人とは思えないほど整った少女の顔、ただその存在には女性らしき凹凸が見られず服も男の子が好みそうなシャツにジーパンといった感じの格好のため少年のようにも見える。その場にいたほとんどの人がその存在に見惚れ言葉を失い静まり返る中その存在はゆっくりと目を開けた

「さあ、全員起きて頭もはっきりしたようだね。じゃあルール説明・・の前に軽く自己紹介をしておこう」

 その存在は開いた“オッドアイ”の目を輝かせるように陽気な声でしゃべり、いったん言葉を切ってにやりと笑い言葉を続けた。

「私は全知全能、世界の遍くものをつくり、君たちをここに呼び出した存在。まあ、いわゆる・・神様だ」


(神)<私が来た!!

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