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極楽浄土  作者: 羽羅塩
4/8

萌 四

二日前から風邪ぎみの羽羅塩です。


 「見つけれなかった。頑張ったんだけどなー。後ろのほうは見えないから」

 葵は30分ほど探して諦めたようだ。

 「仕方ないよ。あれだけ沢山あったら」

 僕は落ち込む葵を暫く慰めていたが、そろそろ彼女もまた調子に乗りそうだ。

 「これからどうする。どこに行こうか」

 僕はこれと言って行きたい場所もないので葵に聞いてみる。

 「うーんどうしようかなぁ……あっそうだ、鳥居がいっぱいあるところ。何ていったけ」

 「多分伏見稲荷のことだね。ちょっと調べてみるよ」

 そう言って僕は苦手なケータイで調べる。

 「それほど遠くないみたいだね。20分だってさ」

 「それじゃ行こう」

 葵はそう言って、また僕より先に進んでいく。

  僕は念を押して「今度は寝過ごさないでくれよ」

 「もう寝ないよ。寝なかったらいいんでしょ。というか健吾がちゃんと起こしてくれなかったのも悪いんじゃない」

 葵は少し怒っているようだが何故僕が悪いと言われなければいけないのだろうか。普通の人であれば少し揺すれば起きるものだろうし、あの短時間で眠ることもできないはずだから僕が彼女を起こすことができなかったのも致し方ない。だけどそんな普通の人と違う葵の彼氏になったのだから彼女の面倒も見なければいけないのかもしれない。とは言え、彼女を起こすたびに周りの人に恥を晒すのは気がひける。

 「僕も悪かったよ。次からはちゃんと起こせるように努力するよ」

 ここで反論しても仕方がないので僕は謝ることにした。

 「わかればよろしい。私の彼氏なんだからちゃんとしてよね」

 ちゃんとしてと言われてもどうしろというのだ。彼氏というものは思っていたよりも大変だ。付き合う前はインターネットで女性の扱い方などというものを調べてみたがそのようなものは、まるきりあてにならない。漫画やアニメであるようなよく出来たことももちろんないことは分かっているのだがそれを少し期待してしまう自分がいることもまた事実である。彼氏は一体どのように振る舞えば良いのか。彼女は自由が良いみたいなことを言っていたが僕にはその自由が分からない。否、彼女のことが分からないのだ。しかし彼氏というものは面白い。葵に告白をされたときは、いくらか迷いはしたが付き合って良かった。こうして楽しんでいるだけで僕は満足だ。彼女の気持ちも同じだろうか。もっと何かを期待しているかもしれない。何方かと言えば彼女が僕をリードしているが何だか僕と彼女の関係は付き合う以前と変わらない気もする。そうだな彼女に何かプレゼントをしようか。そうすれば僕と彼女の関係は深まるだろう。だが彼女は何を欲しいのか僕が知る由も無い。もっと彼女のことを知る必要があるだろう。

 「何ぼーっとしてるの。健吾は私といて楽しくないの?」

急に問い詰められたので僕は驚いた。

 「そんな訳ないよ。葵といる時は凄く楽しいよ。ちょっと考え事をしてただけだよ」

 僕は思わず必死になって否定した。

 「考え事って何なの。教えてよ」

 そう言って葵は薄ら笑いを浮かべている。もしや彼女は僕の考えていることが分かっているのではないかと思ったが、それは考え過ぎだろうか。だがこの際、彼女に欲しいものを聞いても良いのではないか。

 「えーっと葵は何か欲しいものあるかな?」

 「ふふふふふ。私はマフラーが欲しいのだ」

 何だこの変な返答。こんな自慢気に言われても仕方無いがやはり葵は僕の考えていることが分かっているのだろうか。

 僕は笑いを堪えて言う。「それじゃ今日プレゼントするよ」

 しかし葵のことだからもっと高価な物を欲しがると思ったがマフラーとは無難な物だ。確かにプレゼントには最適だ。成る程、葵はプレゼントには、このようなアクセサリーなどが良いのだと僕に伝えているのではないか。だけど葵の好みも分からないから結局は彼女に聞くことになるではないか。そうなれば僕にはサプライズは、できないということか。否、葵がいうように僕も自由にすればいいのだ。プレゼントも彼女の意見を尊重するが最後は僕が決めるのである。それがいい、葵にはマフラーを選ばさせないようにしよう。

 そう心に決めた僕はなんだか葵に勝ったような気分だった。

 それから駅についた僕と葵は電車に乗って伏見稲荷へと向かった。





意外と話が進まないですね笑

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