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クラス転移。〜もらったチートは建築士!?〜   作者: 瀬戸浩也
横川輝明たちのクラス転移。
8/16

つまり、彼ら五人は新しい地へと足を運ぶ。

昨日は投稿できなくてすいません。

テストが終わった当日なので、書く気力がなかったです。速攻で作り上げたので内容が薄いかもしれませんが、最後まで読んでいただけたら幸いです。

 深夜、誰もが寝静まった頃。俺たち『非戦闘員』はいつもの広場の端っこで集まっていた。


「あくまで作戦は非常時のみだ。基本見つからないように移動する」

「うん、分かったよ」

「戦わないことに越したことはないしな」

「そ、そうですよね」


 俺の言葉に、全員が賛成する。

 今、俺たちがしていることは、この集団から逃げること。所謂夜逃げというやつだ。

 下田先生は、「生徒がああなったのは先生の責任だ」と言って、残ることになった。


 生きていく上で、最低限のレベルにも達したし、食料のストックも大分溜まってきた。未だに薬草ばかりだが、ダークウルフの肉も入っている。

 こっそりと出ていくには、勘付かれていない今が一番いいだろう。


 もう、クラスメイトを差別してこき使うような集団と付き合うのはごめんだ。いつ、なにをされるか分かったものじゃない。もしかすると、殺されてしまうかもしれない。


 風見に結界に少しだけ穴を開けてもらい、そこから外に出る。

 夜になったら魔物の活動が鈍くなるのは検証済み、さっさとこの地から離れさせてもらおう。


「あまり離れるなよ。危険すぎーー」

「なにが危険なのかナァ? 横川クン?」

「ーーえ?」


 藤井が素っ頓狂な声を漏らしながら後ろを振り返る。

 不快。そんな言葉がよく似合う声が後ろから聞こえる。その声には妬み恨み狂気殺意嘲笑、あらゆる負の感情がこもっている気がした。


「お、お前は!」

「…………笠島」

「ヤァ横川クン。先日はお世話になったねェ」


 振り返るとそこには、笠島がいた。

 彼は、形だけは学校の時となに一つ変わらない爽やかな、しかしどこか狂気さえ感じられる笑みを浮かべていた。

 ……よりによってこいつに見つかっちまったか。


「んで、なに? 俺たちになんか用?」

「いやァ、別に? 君たちが離れてくれるのは僕としても大歓迎だから。ただのお見送りサ」

「いや、今のお前の顔見て信じられるやついねえから」


 俺の言葉に「まァそうだろうね」と返す笠島。

 冷ややかな、そしてぞこか錆び付いたような声がさらに不快感を与える。

 ……あのことが原因で気でも狂ったか?


「『今は』その気は無いよ?」


 『今は』その気がない。この後はやる気だというような言い方だ。


「気変りしないうちにさっさと行ったらどうかなァ? ま、今の僕じゃ、君達には手こずるだろうけどさ」

「ーーッ!?」


 ……『今の僕じゃ』?

 笠島の言い方に違和感を感じる。

 今じゃ、信頼が一切なくなっているが腐っても攻略者。実力は確かだ。それでも俺たちに手こずると。そう評した。


「……どこで知ったのですか?」


 神崎も違和感に気付いたのか、笠島に尋ねる。しかし、笠島は気持ち悪い笑みを浮かべるだけだ。

 深夜のレベル上げは誰にも気づかれてなかった。いや、誰にも気づかれているはずがない。


 攻略組全員が森の奥へと入って行ったはず。無論、実力はある笠島も例外ではない。


「さァ、何のことかな?」


 笠島はしらばっくれているが確信した。

 ーー確実に、バレている。

 俺たちを見つけた時も「離れてくれるのは大歓迎」と言った。つまり、今しようとしていることもばれているのだろう。


「何が目的だ?」

「さァね」


 ーー強いて言うなら『楽しむため』、かな?


 笑顔で彼は、そう答える。

 額に嫌な汗が流れるのが分かった。


 ……こいつは、本当に笠島なのか?

 そう、疑問に思う。突然の豹変に、気が狂ったとはまた違う態度。

 俺にはどうしても、笠島とは違う『ナニカ』のような気がしてならない。笠島の皮を被った『得体の知れない化け物(ナニカ)』としか……。


「それじゃ僕はそろそろ行くね」


 気づけばその言葉に安堵している自分がいた。まるで、蛇に睨まれた蛙のような気分だ。


 それは周りも同じみたいで、藤井と風見が「はぁ……」とため息をついて座り込む。


「あ、あと横川クン」


 笠島がニッコリと、満面の笑顔でこちらを振り返る。


「君の考えも、あながち間違ってないよ」

「へ?」

「…………」


 笠島が何を指しているのかは、俺には分からない。

 いや、それを分かってしまうのを本能的に受け付けなかったのかもしれない。


「……行くか」

「そう、だね」


 しかし、一つだけ、たった一つだけ分かったことがある。


 ーー今、最も危険なのは、攻略組の理不尽さでも、外をうろつく魔物でもない。


 笠島だ。



 ◇ ◆ ◇



 森を抜け、しばらく俺たちは北に向かって歩いていた。

 途中、モンスターに襲われたが、速水の『錬成』でなんとか倒していった。

 おかげで俺たちのレベルも上がり、速水の場合はこの辺のモンスターには余裕で勝てるようになったのだ。逆に俺たちの場合はあまり強くなってないような……レベルは上がってるんだけどなぁ。


 なんか寄生プレイヤーになった気持ちだ。働かないでレベルアップとか超嬉しい。


 脱走から三日目に川を見つけ、それを辿って移動している。神崎曰く、「川の近くなら水に困りませんし、近くに何かしらの文明がある可能性は高いです」とのことらしい。社会科を捨てた俺には全く分からん……。英語があるから問題ないよねっ!



 ーーそして、脱走から五日目。


「おい、あそこ人住んでそうじゃないか?」


 速水が興奮しながら、離れたところを指差す。指をさした場所、俺たちから見て北東のほうには小さな円形の壁があった。

 「小さいですね……」と風見が呟く。そこにはは優に五メートル程度の壁。俺は魔物から身を守るために作られたものだと結論づけた。


「じゃあ早速行こ」

「待ってください」


 今でも飛び出して行ってしまいそうな、そんな危なっかしい雰囲気を出す速水を神崎が止める。


「僕たちは身分を証明できるものを何一つ持ってません。今行けば十中八九怪しまれます」


 ここは異世界。文化の違いや、言葉の違い。そんなところから不信感を持たれれば、二度とこのチャンスは手に入らないだろう。

 「じゃあどーすんだよ」と、速水が不満げに言う。


「僕は頭が固くて、何も思いつきそうにありません。頭がいいのも考えものです」


 神崎の無責任な物言いに、なんだそれは……と思った。速水がキレそうになる。だが、それを神崎は「まだ終わってませんよ」と、彼を制した。


「ですが、ここには僕たちを救ってくれた人がいるでしょう? 斜め下の解決法で」


 「確かに……」と、全員がこちらを向く。

 全員に注目される俺はモテモテリア充。……ないか? ないね。


 どう考えても面倒ごとの予感しかしないんだが。


「横川くん、何か策はありませんか?」


 神崎は、いつもの無表情だ。しかし、どこか期待を瞳に持たせ、尋ねてきた。


 ーーこんな俺でもこいつらに期待されてるんだ。なら、それに応えるべきではないか?


「策はある。よく聞いとけよ」


 期待通り、斜め下の方法で解決してやろうじゃねえか。

 俺は不敵にニヤリ、と笑う。

 神崎以外の全員に「うわぁ……」と引かれたのでちょっと傷ついた。

 ……そんなにひどいかなぁ、俺の笑顔。



 ◇ ◆ ◇



「輝明っ。さっ、さすがにこの解決法はな、ないだろっ」

「さっ、さすが横川くんですっ。僕の予想をはっ、遥かに下回ってくれています」

「もう実行してるっ、んだ。文句言うんじゃ、ねえよっ」


 今、俺たち六人は全力疾走している。全力で走るなんて小学の運動会のときぶりだな。あのときは純真だったぜ。


 本来、ここは青い時のことを思い出し笑いして「うわ、キモ……」と言われるところだが、今はそんなことをしている場合ではない。いや、キモがられるのかよ。


「横川っくん、もう迫ってきてるよっ」

「追いつかれますぅぅぅぅ!」


 藤井と風見が俺に危機的状況であることを伝える。

 思い出し泣きもできない理由。それはーー


 ーー後ろから五隊以上の魔物が追いかけてきてるからだ。……やっぱ、やめとけばよかったかな。


「あとっ、もう少しだっ。が、頑張れ!」


 目の前に壁が見えてくる。門の位置も、門番の交代時間も日本語が使えることもすでに調査済み。不備はないはずだ。

 予想どうり、門番の交代時間で門が開いている。


「助けてくれぇぇええ!」


 恥を忍んで助けを求めた。……速水が。

 他の全員は黙する。当然、速水には羞恥心があるわけで顔を真っ赤にした。

 裏切ったなという顔をしていたのは幻覚だろう。多分。


「なっ! 早く入りなさい!」


 俺たちに気付いた門番は、閉めようとしていた扉を放棄し、魔物ーー牛の怪物へと立ちはだかった。

 そしてもう一人、町へと帰ろうとしていた方が俺たちを中へと誘導する。


 ーー予定通り。


 これで合法的に中へ入れた。後は、町に住む許可をどうにかして貰うだけ。


 幸いここは小さな町だ。かなり辺境の地にも見える。王都とかじゃないのなら、まだ身分証明なしでも可能性はあるはず。


「お前ら無事か!」


 先ほど、怪物へと立ちはだかった門番が戻ってくる。

 俺たちに怪我か確かめ、ホッとしていた。


「あ、ありがとうございます」


 頭をさげる俺たちに「礼はいい」と、門番は頭を上げさせてくれた。


「なんだってこんな辺境の地に……いや、聞くのは野暮ってやつか」


 何を思ったのか、門番は優しい笑みを浮かべる。

 おそらく、俺たちが町から追い出され、命からがらここまで来た。とか思っているのだろう。まあ、あながち間違ってないけど。


「坊主たちは家とかないだろう。今日は泊めてやるよ」


 ガッハッハ、と門番は威勢良く笑う。

 マジすか。初対面で、どこのやつかもわからんやつを泊めてくれるのか。……やっぱあの作戦やった甲斐あったわ。


「俺はゴウイだ。今晩だけの付き合いだがよろしくな!」


 こうして、俺たちは宿をゲットできたのである。

 ゴウイの主張とは違い、彼とは付き合いが長くなりそうだ……そう思った。

笠島の態度が不穏な雰囲気を出していますね。

次も明日投稿を目指しています。読んでくれたら幸いです!

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