かくして横川輝明は、笠島の仲間となった(強制)
今回は笠島との会話パート。
なんか自分で書いててわけわかめ状態。取り敢えずは完結だけでもさせたいので、エタりはしないのでご安心を。え?「お前のクソ小説なんてエタってしまえ」だって?
ごめんなさい次からはちゃんとストーリーをくんだうえだで書いていきますから許してください。
もう見切り発車だけはしないと決意した瀬戸さんであった。
「へぇ……。どこで気づいたのかな?」
笠島は獰猛な笑みを崩さない。よほど自信があったのだろうか。少しだけ、驚愕の色が見えたような気がした。
「ここに来た瞬間、笠島は性格が豹変した。前の世界にいたときとは全く違う」
「じゃあ、『笠島の本性はそういう男だった』とも取れるんじゃないかな」
確かにそうだ。俺もそう思っていた。
いや、みんなが思っていた。全くの違和感もなく、疑う必要性さえ感じられずに。
だからこそ、俺は違和感を抱いた。
「俺も初めはそう思っていたさ。だけどな……『三十人以上もいるクラスメイト全員が全く同じ考えを持ち、且つそれを全く疑わない』だなんて話、本当に馬鹿げてると思わないか?」
「…………」
そう、俺たち非戦闘員以外のクラスメイトも笠島は気が狂っただの本性を現しただのと密かに噂していた。
だけど考えてみて欲しい。ここは魔法もスキルもある異世界なのだ。
なら───洗脳を疑ってもいいはずだ。もすかすれば、動物の擬態のように、誰かが変装しているかもしれない。
それは限りなくゼロパーセントに近い、ふとそう思うことだってあるし、むしろ三十人もいれば一人もそう思わないだなんてありえない。
全員が全く同じことを考え、それを全然疑わない。───つまりそれは、笠島ではなく自分たちが洗脳をかけられたと考えられる。
その行為は笠島にメリットはない。洗脳が使えるのなら、こんなことに使わずもっと自分の利益になることに使うだろう。
「ん〜、やはり違和感を抱かないように洗脳をかけたのは間違いだったかナ。もうちょっとは遊べると思ってたんだけど」
笠島にメリットがないとすれば、俺たちの中の誰かか、または第三者。
「でもそれだけじゃ分からないじゃん。僕じゃない可能性だってあったよね。例えば他のクラスメイトとか」
「……お前だけはスキルが書かれたカードを見せていなかった」
「……え?」
全員がスキルを確認した日、笠島は場を取り仕切るだけで自分のスキルを見せてはいなかった。一応、『雷使い』とは言ってたが、口上だけならなんとでも言える。
「───以上のことから、お前が一番怪しいという結論に至った。なにか訂正するところはあるか?」
「ん〜、特にはないかな。凄いね横川クン。僕もそこは意識してなかったよ。というか僕が笠島じゃないって結論に行きにくいようにしてたのに」
「…………行きにくい?」
「そ、仲間が実はラスボスだったってオチはスリリングでしょ。いつかは分かってもらわなくちゃ。眺めてるだけじゃ面白くない」
笠島は───明確には違うが、こいつの本性は知らないので笠島と呼ぶ───本心から面白そうにケタケタと笑う。
俺たちはこいつの遊びに巻き込まれたのか……。理不尽に対する怒りがこみ上げてくるのがわかった。
だけどここで歯向かっても勝てないということだけはわかる。……今は我慢だ。
「一つ、質問いいか?」
「うん? 言ってごらんよ。ヒントくらいはあげるサ」
「お前は……いったい何者なんだ?」
三十人ものクラスメイトを騙してまで笠島に変装した理由が全くわからない。
───分からないというのはものすごく怖いことだ。分からないなら勘違いだってするし、それで身を滅ぼすことだってある。だから、今はその疑問を解消しておきたかった。
笠島が答えてくれるわけがないと分かりながらも。
「うーん、じゃあ出血大サービスで、大ヒントをあげよう。というかもう答えだね」
だが、意外にも笠島は俺の疑問に答えるつもりらしい。
笠島は小さい子供のように純粋に、だが狂気を感じさせる笑みを浮かべた。
『自分が作ったゲームなのにプレイしないだなんてとんでもない』
その声は笠島の声とはかけ離れていた。無機質で感情すら感じられない声。その声はどこかで聞いた声で───いや、どこで聞いたかも、それが誰のものかも分かっている。
だけどそれはあまりにも───
「お前……まさかあの時の……」
「うんうん、分かってもらえたみたいで僕は嬉しいヨ! まあ、あそこまで言えばさすがに馬鹿でもわかるか」
あまりにも、理不尽すぎるだろう。
こんなやつに勝てるはずがない。例え、スキルを持った戦闘員が三十人でかかっても、神には勝てない。
「どしたの横川クン。ああ、絶望したって顔だね。大丈夫、これはゲームなんだ。僕も手加減くらいはするよ。まあ……」
───生きて僕の元までこれたのなら、だけど。
体の底から這い上がってくる気持ち悪い感触に吐き気を覚える。笠島がだす雰囲気はいたって普通の人間のものなのに、自分が今にも殺されるような錯覚が浮かび、震えが止まらない。
「ああ、ごめん。仲間を怖がらせるなんて僕ったら最低だね! あ、そうだ。仲間といえば……」
笠島は何かを思い出したかのように、手をポンっと叩く。
「仲間になったのなら何か役割が必要かな。横川クンは、そうだなぁ……。南の砦の防衛でもやってもらおうかな」
どうやら俺はとある砦の防衛に使われるらしい。……こいつの仲間にはなりたくはなかったが、いうことを聞いておかないと何が起きるかわかったものではない。自分のできることなんて、こいつの言うことを聞いて、速水たちが来ないことを祈るだけだ。
「それじゃ、そこに地図あるから」
「……?」
「あれ、どうしたのかナ横川クン?」
「えっと……今から?」
「うん。早く行きなよ。別に行きたくないというのならいいけど、速水クンたちの命が保証できなくなるヨ」
ケタケタと笑う笠島からは物騒な言葉が出てくる。
『いうことを聞かなければ速水を殺す』ということだろう。
「分かった。だから、あいつらは殺さないでくれ!」
あいつらとはもうやり直すことはできないだろう。だけど、それでもあいつらは殺されて欲しくない。
所詮これも単なる時間稼ぎだろうし、いつかは速水たちも、笠島の手によって死んでしまうかもしれない。
この世界に来る前の俺ならば、きっとそんなことはどうでも良かったし、自分さえ生きていればと思っていただろう。
だけど俺は、やっと手に入れた『友達』と呼べる存在を殺さないために、愚かにも『友達』を裏切るしかなかった。
今回も読んでくださった方、ありがとうございます!
おかげさまで、このお話もそろそろ完結です!終わり方しか決めてなかった自分のせいで意味わからなくなってるけど、ほんとすいません。
こんなのでもいい人は、次回もよろしくお願いします!