当然ながら、横川らはこの町に住むことに決定する。
今回はステータスについて説明しようと思います。あとヒロインとかヒロインとか新ヒロインとか?
ステータスについては他のものとはちょっと設定が違います。
一万pv到達しました。ありがとうございます!
一晩泊まった俺たちは、ゴウイに一礼し、家を出る。金のない俺たちを思ってのことか、「金が欲しいのならギルドに入れ。そこが一番手っ取り早い」と忠告してくれた。本当にゴウイには感謝している。
「こんにちは、新規の方ですか?」
中に入ると受付嬢が声をかけてくれた。どう切り出そうか迷っていたところなので助かる。
「はい。冒険者登録お願いします。出来れば説明を受けたいのですが、相当な田舎者でして……」
「はい、分かりました」
受付嬢は二つ返事で受けてくれた。というか、こんなボロギルドなのになんで受付嬢って美人なんだろうな。不思議を通り越して怪奇になるまであるぞ。
「大切なことといえば、依頼の受け方ですね。これの場合は実績、つまり以来のこなした数が多いだけ依頼を受けやすくなります。ぶっちゃけ信頼が大切ですね」
「レベルで判断するとか、ランク付けとかはないんですか?」
異世界転生、転移ものでは大抵A級冒険者とかランクがあったりする。上がれば上がるほど以来の難易度も上がり、ランクを上げるのが難しくなる、というのが俺の認識だったのだが……
「前まではランク制だったんですが……。それだと下級ランクの方から依頼が入らないだとか、差別だとかいろいろ問題がありまして……。結局今の形に落ち着いたんです」
おお、なんか深いな。確かにランク制だったらそんなことが起きそうだ。それじゃあ……
「レベルの場合はどうなりますか?」
俺が質問しようとしてることを読み取ってのことか、神崎がそう質問する。おい、それ俺のセリフ。
「レベルもあまりあてにならないんです。皆さん、パーティーを組んでいるようですけど、伸びに悩んだことってあります?」
「そういえばありました!」
風見がなんでわかったのか、と疑問を顔に浮かべる。おい、分かりやすすぎだぞ。
そういえば、確かに全部速水に投げだ……任せてた時はレベル上がったのにステータスが上がらなかったな。何でだ?
「レベルっていうのは強さを表すのではなくて、実質を表すんです。どのくらい強いモンスターを何回倒したかで決まるだけであって、ステータスとは全く関係がないんですよ」
「え、じゃあなんでステータス上がってるの?」
「訓練したからとか、戦闘したからとかでステータスが上がるんです。もちろん戦い方で鍛えられるのは違います。走れば敏捷が上がりますし、鍛えれば筋力が上がります。ここら辺を勘違いしている人多いんですよね。ステータスが上がるから強いのではなく、強いからステータスが上がるんですよ」
藤井の質問に受付嬢はわかりやすく説明する。な、なるほど。
つまり、レベルイコール強さではなく、経験イコール強さってことか。だから今まであまりステータス上がらなかったのかよ……。無駄なところでよくできてるな。寄生がダメなのが痛い。
「説明は以上ですね。では早速登録しますので、記入してください」
アンケートのような紙を渡される。記入欄は名前と、ステータスと、ちょっとした質問だけだ。
名前欄にはテルアキと入れる。この世界ではファミリーネーム、つまり日本でいう苗字を持っている人は貴族とかの権力者だけらしい。これはゴウイに教えてもらった。
ステータスと質問の回答もちゃんと記入し、受付嬢に渡す。これで登録完了だ。
ゴウイによると、この町は冒険者になることを奨励しており、身分証明なしでもギルドに入れるとのこと。マジでここは辺境の地だったらしい。
「ご利用ありがとうございます。明日からは冒険者として活動できますよ」
受付嬢のその言葉に「分かった」と背を向け、ギルドから出る。
「綺麗な人だったね」
「そうですね!」
なんか、藤井と風見の間で受付嬢を褒める会話が聞こえた。
「横川くん、今回はやけに喋ってたみたいだけどもしかして惚れた?」
藤井はニヤニヤと笑みを浮かべながら迫ってくる。おい、近い近い。また勘違いしちゃうからやめろ。
「ばっか。んなわけねえだろ……。もしそうだとしても、俺みたいなぼっちに彼女なんてできるわけがない」
「うわ、すごい卑屈だ」
いや、だって俺みたいなぼっちに惚れるわけねえだろ。笑顔もキモいらしいし。
それに加え、俺の周りの男子、速水は爽やか熱血イケメン。神崎は知的クールイケメン。そして女勢も美少女。ここまだ来たらただでさえ目立たない俺がさらに影薄くなっちゃうだろ。
「横川くんは何もしなければ顔も整っている方なんだけどな……」
その言い方は、俺が何かしたらキモいということですか。そうですよね。マジ泣いちゃうよ、俺。
「それより今日はどうするの?」
「そうですね……。不動産屋にでも行ってみますか?」
不動産屋に行く理由は、もちろん家と土地を買うためである。金もないのにどうすんだよ、と一瞬思ったが、この町には『冒険者優遇制度』があるのを思い出した。冒険者が圧倒的に少ないこの町では、冒険者を増やすためにこの制度を出したのだという。
ちなみに、家とかは一軒だけなら政府からタダでもらえる。冒険者っていい職業だな。
「それは後でもできるし……」
藤井がうーん、と腕を組み考える。
「何も思いつかないんなら各自でモンスターでも狩ればいいんじゃないか? ステータスも上がるし」
速水の言葉に藤井は「それだっ!」とばかりに反応する。いや、なんでそうなる。
「藤井は大丈夫なのか? 前だって怖がってたろ」
「あれは思い出さないでくれると嬉しいんだけどな。まあ、覚悟はしたし、大丈夫だよ」
さ、さいですか。なら、心配はいらないか。だけど……
「面倒くせえ……」
仲間が覚悟しようが、暇であろうが、面倒なことは面倒なのだ。ステータスを上げることも大切だとわかっているが、やる気が出ない。
「じゃあ私たちだけで行くね。三時間後ここで集合だよ」
「はいはい、いってらっしゃい」
それだけ言うと、藤井たちは門から外へ出る。おい、ホントに行っちゃうのかよ。
「暇だな……。やっぱ追いかけるか」
することもないので、藤井たちと行動するべく門へ向かう。
門番に挨拶して、門を開いてもらう。うん、俺のコミュ力も着々と上がってきてるな。
そして門から少し歩き、重要なことに気づく。今まで気づかなかった自分が恥ずかしくなるくらいの重要なこと……
「あいつら……。どこ行ったか分からないんですけど」
どの方角に行くのかも、どのような場所に行くのかも聞いていない。ここに来たばかりで、ここら辺のことを知らないので、どこに行くかは本人たちもわからないだろうが、方角だけでも聞いておくべきだった。
こうなったらてきとうに周辺歩いて時間潰すか。
周囲を探索し、時には薬草を回収、時にはモンスターと戦闘、時には休憩。こんな感じに二時間程度時間を潰した。建築で作ったトラップに引っかかってくれるものもいるので、休憩中でもレベルが上がった。おかげで、器用値とかが結構上がったので満足だ。
今日はもう帰るか。そう思い、帰路へと着く。結局一度も遭遇しなかったな。ステータスに運とかあったら俺悪そう。いや、そんなステータスないんだけどさ。
町へと引き返していると、なにやら遠くに人のようなものが倒れているのが見えた。
「……なんだこれ」
近づいてみると、それは少女であることがわかった。しかし、ここら辺の人間というには強烈な違和感がある。
「獣耳?」
少女の頭には犬のような耳が生えている。ちなみに尻尾もあった。
マジか、マジなのか。
訂正、生でケモミミ少女拝めるとか俺運良すぎ。超幸運。
しかし、なんでこんなところで倒れているのだろうか? おーい、モンスターに喰われるぞ。起きろケモミミ。
読んでくださりありがとうございました。次回も宜しくお願いします!