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zip.15

コーケンに到着した日の翌日。

雄也たち一行はその日を、町の探索にあてることにした。護衛クエストの出発は次の日であり、時間が余ったということもあるが、本来の目的でもある、根拠地に相応しいかどうか、調べる為でもある。

そうして、午前中、手分けしてあちこちを見て回った後、雄也たちは町のギルド内にある食堂に集合していた。

「さて、それぞれが町を見て回ったわけだが、みんなはどう思った?」

そういって、雄也が全員を見渡すと、テーブルを囲んでいた面子のうち、最初に声をあげたのはロッシュであった。

「うーん……まあ、色々見て回ったが、俺的には定住には向かない町だとは思ったな」

「え、そうかしら? 周辺のダンジョンは実入りの良いものが多いらしいし、儲けを考えれば、オルクスの街よりは良いんじゃないの?」

「物価自体はあまり変わりませんから、リセラちゃんの言うとおり、トータル的にはプラスだと思います。ただ、くぼ地に町がある分、住居スペースは少々手狭ですし、空き物件は無いみたいですね」

「あとは、町の店が、必ずどこかの商会の息がかかってる所がやっかいだな。もし根拠地として宿を取るとなると、どこかの商会と昵懇にしなきゃならんし、色々と軋轢が生じるかもしれない」

例えば、シマショー商会と昵懇にして宿を取ることになると、買い物もシマショー商会の系列の店ですることになる。他の紹介の系列店で同じものが安く売られていても、である。

「つまるところ、面倒なんだよな、この町は。実入りは悪くないのは確かだから、出来るなら近くの村にでも根拠地を置けて、そこから通えたりするのが理想なんだが」

冒険者と聞くと、年がら年中働いているイメージがあるが、クエストを行っていない場合は休息に当てることも多い。

とくに、ダンジョン探索や、護衛任務などの実入りの多いクエストをする頃になると、冒険者業の傍らのバイトなどはすることも無くなり、クエスト→休息→クエスト→…の流れを確立する場合がほとんどであった。

「それだと、この町の近くにある村………来る時に通ったヒシ村か、王都に向かう道にある、リョトウ村ってところですかね」

「とはいえ、ヒシ村はこの町まで数日掛かるし、馬車の行方不明の件もあるからな。リョトウの村は、この町から数時間でつけるくらい近いから、そちらが根拠地候補って事になるだろ。明日に期待だな」

アイリスの言葉に、ロッシュがそう応じた。


「そういえば、馬車って聞いて思ったんだが……馬車って、便利だよな」

「それはそうだけど、どうしたの、雄也、やぶからぼうに」

「いや、移動にも便利だし、荷物とかメンバーも乗せられるから――――…作ってもいいんじゃないかって思って」

「は? 作る?」

「ああ。護衛クエスト中だし、今すぐじゃないけど、馬車の胴体部分はいくつかのパーツを組み合わせれば作れるんじゃないかと、ふと思ったんだよ」

今回の護衛クエスト時、スピカなどはずっと馬車の荷台に乗っかったままで移動していた。普段、パーティの移動時、最も体力の無いスピカを、ロッシュが背負う形で長距離を移動することも多かったので、馬車があれば、その問題も解決すると思ったのである。

「胴体に、車軸と車輪……あと、幌もあればいいか」

「本当に、馬車を作れるならそれはすごいですよ。パーティで荷物運びの仕事も出来ますし、さすが雄也さんですね」

「いや、まだできると決まったわけじゃないからな。あと、荷台部分はともかく、馬車を引く動物はどうしても必要だから、それに関しては無料じゃないからな」

はしゃいだ様子のアイリスに、雄也はそう返答する。

「とはいえ、そうやって口に出すって事は、目算がたってるってことだろ? だったら、楽しみにしておくぜ?」

「王都に付いたら、馬を売ってるところを見に行くのもいいかも! って、そんな所あるかしら?」

「まあ、国の中心部ですし、そういう商売もあるんじゃないですか? どこかから、馬を運んでくる人もいるでしょうから」

「馬車を引くなら、キングバッファローも良い。力もあるし、いざおいうとき非常食になる」

「それもいいな。あと、馬車で横になれるクッションとかあった方がスピカは嬉しいだろ」


(なんだろう、なぜだか妙に、ハードルが上がっている気がする)


和気藹々とはしゃぐ一行。それを見て微笑ましい気持ちになりながらも、ちゃんとしたものを作らないといけないと、人知れずプレッシャーを感じていた雄也であった。


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