はじまり
私の名前は、ユージーン。生まれはどこだったか思い出せない。
何せ、何世紀も生きているとその土地の名前がころころ変わるんだもん・・・
何を隠そう私は吸血鬼、所謂ヴァンパイアというやつだ。
もちろんヴァンパイアは一人ではない、何千何万という同志がいる。
今回私が日記を書こうと思ったのは気まぐれでしかない。
気まぐれだから3日坊主の可能性もある、とだけ書いておく。
私がヴァンパイアになったのは今が2315年だからちょうど・・
800年位前のことかなぁ・・
テンプレによくある一国の主とか、どこぞの国の王子様とかそんなわけでもない。
ただ普通の農民だったのさ。
あのときのことは良く覚えている、そうあれは私がまだ20代のころの話だ。
いつものように畑仕事をしていて、いつものように夜になってさぁ寝るぞと
思ったときのことだった。
『キイキイ』
うっさいなー、またコウモリかよ!食うぞマジデ!
『キイキイ・・・』
しゃーないなぁもう!
寝床から嫌々ながらも這い出た私は音のするほうへと足を運んだ。
そこには、色んなところが傷だらけで瀕死なコウモリが横たわっていたんだ。
「お、おい、大丈夫か? 大丈夫じゃないよな・・・はぁ」
不憫に思った私はコウモリを宝物を持つかのようにそっと抱き上げると
家の中に入れてやり、昼夜問わず看病を続けた。
結果、コウモリは元気を取り戻し、いつの間にかいなくなっていたんだ。
私の腕に小さな傷を残して・・・
今思えば、恩をあだで返しやがって!って思うかもだけど、故意にやった
傷でもなかったのでしょうがないなと諦める事にした。
コウモリと分かれてから三日三晩、原因不明の高熱にうなされ私は死んだ。
自分が棺に入れられ、土をかけれられている間、意識はあってないようなもの
だったが、不思議と恐怖感は感じられなかった。
死んで棺に入れられてからどのくらいたったのだろうか。
『ががががが』
とへんな騒音がして、気持ちのいい眠りから強制的に這い出ることになった。
あたりは完全な闇、ではなかった。
棺を飛び出し、土から這い出ると私の周りに見えたのは巨大な何かで出来た
建物群だった。
夜中だというのに光であふれ、人が往来し私の故郷は別世界になっていたのだ。
この時点では何年眠っていたのか分かりもしないので、凄く時代錯誤的な服装を
していて周囲の変なものを見る目で見られていたに違いない。
とぼとぼと歩いていると、一人の少年に声をかけられた。
この少年の名は、セリオ、私の長年の友人になる人間だ。
『おっちゃん、そんな格好で何してるの? まぁ良いから金出せよ』
俗に言うストリートギャングってやつである。
結論から言うと、私の頭には???の3文字が浮かんでおりどう対応していいのかも分からず、ぼけーっと突っ立っていると、それがどうにも気に食わなかったのかナイフでめったざしにされ、頭に銃のような何かで撃たれた。
刺されたり撃たれたりはしたのだが、全く痛くも痒くも無く、かといって相手に対する復讐心すら思い浮かばなかったのでそのときの私は相当間抜けな顔をしていたことだろう。
他の少年たちが『ゾンビだー!』と逃げ惑う中、最初に私に話しかけてきた
セリオだけは別だった。
『クール』
寒い?
セリオは天涯孤独の身で町のボスといわれるものだった。
他の少年が逃げいていく中、セリオだけは逃げなかったので興味がわいた私は一言。
『何か食べるものをくれないか』
と。
セリオの家に招待され、ピロシキ?を食べさせてもらい、牛乳をもらい、とても満腹になった私は、どうしてこういう体になったのかを説明した。
すると、
『それってヴァンパイアぢゃん・・・』
ヴァンパイア?ああ、吸血鬼のことか・・・えっ・・・吸血鬼?
私の苦難の道のりはここから始まることになる。




