宮内庁警備局中国地区派出所
珍しく読んでくださっている人、こんばんみゃ!
お気に入り登録していただいた奇特な方、ありがとうございます。
本日、ジムに行ってまして、先程帰って参りました。
前作書いてる途中からダイエットを始め、早3ヶ月。
102キロの体重も87キロまで落ちました。
この程度のダイエットは我が人生ではや4回目。
カロリー制限だけでなく、筋トレも有酸素もやってます。
今回は更に糖質制限にソルプロテインまで導入しています。
今回こそ、リバウンドしない細マッチョな身体を手に入れてます。
もうチョイ体重落とせたら、トレランデビューしようと思い、
服からリュックからシューズ、タイツ靴下帽子に至るまで揃えちゃったw
昼食のあと片付けも終わり、夕食用に何か釣ってこようかと工藤が
考えていると、玄関の呼び鈴が鳴った。
「ごうさんいるー?うちで取れたスイカ持ってきたよー!」
「ねこさんか、いつもすまないね」
工藤が玄関の扉を開けると、一人の若い女性が立っていた。
だけではなかった。その後ろにまだ数人いる。
「連れて来ちゃった。てへぺろ!」
クリスマスを迎えた年齢の割りには、小柄童顔ショートボブの彼女
のその仕草は、見ず知らずの他人が見れば可愛いものだったろうが、
年齢どころか、その正体もたちの悪さまで知っている工藤にとっては
イラッとくるものがあった。
彼女は宮内庁警備局の中国地区の派遣所員、はっきりいって、
日本政府が工藤に付けた首輪のような存在だった。職務は、工藤の
監視と特殊な依頼の斡旋という名の押し付け窓口である。
宮内庁警備局。建前上は、皇室関係の警備を担当する部署であろう
かと思われる。非常に胡散臭いがするのは置いておこう。
実際は、神の系譜である皇室の名のもとに太古からこの日本を霊的に
守護してきた者たちの子孫を中心とした霊的防衛組織である。らしい。
当然、実務担当する者は霊的能力に優れているに限られ、
この『ねこさん』こと芦屋寧音子も可愛い見た目と軽すぎる態度とは
裏腹に日本屈指の霊能力者らしい。もっとも、工藤は、彼女がその力
を振るうところは見たことはないし、お世話になったこともない。
むしろ、やっかいな依頼を押し付ける迷惑な存在という一面のほうが
印象としては強い。
とは言え、そのような優秀な人間が、こんな田舎の港町にある工藤
の家のお隣にわざわざ家を建てて、あまつさえスイカを育てるほど
暇な生活をしているのかというと、日本のために工藤を効率的に利用
しようという皇室の意向を受けて出張ってきているからである。
中国地区派出所という看板こそ出していないが、お隣の彼女の家が
その派出所に当たる。このような派出所が日本各地に存在するかという
と、そんなわけはない。霊的な脅威に対抗できる能力者は非常に少ない
のだ。彼女以外の局員は、全員東京に在籍し、日々、日本各地を飛び
回っている。では芦屋寧音子は、工藤に依頼を達成させるための所謂
ハニートラップかというとそうではない。彼に押し付けられる依頼は、
数こそ少ないが実に危険でエグい。破壊する能力こそ破格で強力である
工藤ではあるが、自由気ままに行動できるわけでも、させれるわけでも
ない。当然、彼の行動をフォローする存在が必要となる。危険な霊的
存在と直接戦うわけではないが、直接・間接的にその危険な存在と
関わるわけであり、生半可な能力者がついていくとあっさり逝って
しまう。そのための有能な彼女なのである。
しぶといとも図太いともいう。
そこまでの危険な依頼は、めったにない上、工藤だってわざわざ
危険な目に遭いたくはない。工藤も彼の目的の為に忙しくもある。
よって、年に数件も受けて貰えないので、付き合いが始まったこの
数年、年中大概暇である。工藤がいるときに東京から会いにくれば?
という考えは甘い。工藤の『異世界』での活動は、会社の仕事や出張
ではないのだ。予定などあってないものどころか、全くカオスなので
ある。寧音子も毎日、工藤の家に顔を出して状況を確認している次第
である。よって、工藤になかなか依頼を受けてもらえず毎日暇な彼女
は、現在、家の庭での農業に嵌っているわけである。最近は、スイカ
をよく持って遊びにくるのである。
その彼女が、スイカ以外を引き連れてきた。
「すまん、ねこさん。妻が体調を崩してるんだ。無用な客は困る」
咄嗟の対外的にまともそうに聞こえる工藤のウソを聞いた
寧音子は、さらりと、
「何言ってんの。さっきまで元気に蕎麦食べてたんでしょ?大体、
毎晩、遅くまでヤリまくってるんだから元気いっぱいじゃない?」
「聴き耳たててんじゃねえよ!」
実際、工藤も若い男性である。そして、フィオナは異世界の女神で
あるが、見た目は非常に美しい若い女性である。数年も一緒に生活
していればそういう関係にもなる。出会った頃は、大平原の小さな胸
と言われた彼女の胸も今や日本人の平均サイズまで成長している。
この男、歳を取らず姿も変わらないはずの女神の胸を成長させるとは、
いったいどれだけ頑張ったのだろう。工藤の家は、物理的にも霊的
にも防御はしてあるので、音が外に漏れることはないのだが、
つい認めてしまった。自ら意識しているほどヤッているのだろう。
この分では、妊娠することはない女神なので、実は避妊はしていない
のだが、近いうちにご懐妊するかもしれない。
「あんたの持ってくる依頼は、碌でもないから嫌なんだよ。俺はまだ
死にたくねえ!」
「今回のは退治じゃなくて、遺品回収だから安全だと思うよ?」
「あんた去年、遺品回収と言って富士の樹海に俺を連れ込んだん
だろ!結局、300年物の樹海の大怨霊が出てきて死にかけた
じゃねえか!」
「あれは事故だからノーカウント」
「ウソつけ!遺品回収だけなら、例え危ない樹海だろうとアンタん所
の人間で十分なはずだろうが。ぜってー、俺を誘導してたろ!」
「今回は、本当に遺品回収だから!それにコレは工藤さん以外無理
なのよ!」
彼女が、工藤のことを『ごうさん』ではなく『工藤さん』と呼ぶ
ときは、かなり本気なときだけである。今回の依頼については、
遺品回収が本当に目的なのだろう。
「取敢えず、話だけでも聞いて。ね?」
彼女の背後には、3人の訪問者がいた。一人は、眼鏡をかけた工藤
に歳が近そうないかにもエリート官僚といった感じの高そうな背広をき
た男、その後ろにいる男女は、40代半ばの夫婦といったところか。
二人の表情は、真剣に何かを思いつめたようにやばい古井戸の底の如く
暗い。
「取敢えず、話を聞くだけだからな?内容次第では知らんからな?」
そう言って、工藤は不意の訪問者たちを招き入れた。