表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/28

プロローグ ― 転 ―

「ずっと歌ってるようですけど、随分ご機嫌のようですわね?」

 

 歌っていた少女は、急に後ろから声をかけられたことに驚き振り向く。


 そこには、黒いゴシックでひらひらのドレスを身に纏った腰までの長い銀髪

の少女が立っていた。彼女は、まだ幼く小学6年生ぐらいだろうか。

こんな時間になぜ小学生がいるのだろう。しかも銀髪に赤い瞳。ここは伝統が

あり、有名な私立高校。部外者の小学生が勝手に入って来られるほど

セキュリティーは緩くはない。しかし、歌っていた少女が驚いたのは別の理由

からであった。


『あなた、わたしが視えるだけじゃなくて、声も聴こえるの?』


 霊感の強い美術部員の生徒に一度気づかれてことはあるが、この銀髪の少女

には歌まで聴かれていたようである。今、この時にいるという事実を踏まえ

ても、ただの少女というわけではあるまい。


「わたくしの方が驚くならともかく、幽霊であるあなたが驚くこともないで

 しょうに。もっとも、わたくしはあなたの噂を聞いたから会いにきました

 の。だから、わたくしが驚かないのは当たり前のことですわ」


 銀髪の少女は、幽霊と呼ばれた少女に気づかれることもなく近づくと、

そっと微笑みかける。


『わたしの噂?怖いもの見たさですか?でもわたし、驚かせてたりするのは

 嫌なんですけど......

 あなた、もしかして除霊師とかゴーストバスターとかなんですか?

 わたし悪いこととかしてないですから見逃してください!まだ、この学校で

 彼と一緒に過ごしていたいんです!』


「いえいえ、わたくしそんな低俗なものではないですし。今日、あなたに会い

 に来ましたのは全くの別件ですわよ?」


 銀髪の少女は、綺麗ではあるが、まるで生きているような不思議な輝きを

放つ宝石の欠片を差し出しながら、真っ赤な三日月のような微笑みを浮かべ

ながら答える。


「あなた、異世界で魔法少女になってみませんこと?」



 そして、幽霊少女の悲しい物語は動き出す。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ