プロローグ ー 承 ー
「あれー?ないなー」
校門前でカバンの中をあさっている少女がいる。
「どうしたの?」
「先輩、美術室に忘れ物してきたみたいなんで、ちょっと取りに行ってきます
から先に帰っててください」
彼女たちは美術部員の先輩後輩のようであった。
先輩と呼ばれた少女は、青ざめた顔をして、それを引き留める。
「止めときなさい!あなたは一年生で、まだ入部したばかりだから知らないの
だろうけど、うちの美術室、このぐらいの時間になると出るのよ!」
「出るって何がです?」
「うちの生徒の幽霊......」
「えっ!この学校って自殺した生徒とかいるんですか?」
「それは聞いたことないんだけど......
でも、うちの部の子で視た子がいるのよ。顧問の米倉先生に聞いても自殺
した生徒なんていないって言うくせに、態度がおかしいのよ。でも過去の
名簿を調べてもそんな生徒いないから余計に変なのよ」
「うちの生徒以外の部外者の自殺者とかですかね?」
「わかんない。でも、その幽霊、うちの制服をきた女の子なんだって」
「先輩、そんなの聞かされてら、もう取りにいけないじゃないですかー」
「諦めて帰りましょう?私は怖いから頼まれても付いていかないわよ?」
そして、彼女たちはそのまま逃げるように校門を駆け抜けて行くのだった。