『勇者召喚』の『異世界』事情
ダイエット中なのに『進撃の巨弁』を買ってしまった。
ネットで確認したら1200Kcalとな!
でも、実際買ってみたらえらくしょぼい。
メニューで確認すると800Kcalであった。
ええ、結局炭水化物は残しました。
「俺は多分、どの『異世界』にでも行けるとは思いますけどね?
無数にある『異世界』のうち、どの『異世界』に召喚されている
のかを割り出すのも、分析材料さえ手に入れば簡単できますよ?
問題なのはここ数年、『異世界』で全体的に『勇者召喚』が頻発
していて、『勇者召喚』の際に彼らが魔法的に改造されてるんで
すよ。俺達はこの改造された召喚者を『強化戦闘体』と呼んで
います。そう、最近の『勇者召喚』とは名ばかりの強力な戦闘
奴隷入手方法なんですよ。そして、改造された彼らをもとに戻す
方法は今のところありません。精神的な改造はされていませんが、
召喚後に召喚者によって隷属魔法か洗脳魔法をかけられてますね。
うかつに接触すると間違いなく殺し合いになります。たとえ捕獲
できたとしても召喚された『異世界』での戦闘に特化した彼らの
身体は細胞レベルでその『異世界』の魔力に適応させられている
ので、身体の維持そのものにその『異世界』の魔力が必要となり
ます。魔力なしには髪の毛一本すら形を維持することができない
んですよ。半漁人にでもなったようなもんですね。ひとクラス丸
ごとの大量召喚です。邪法な『勇者召喚』でほぼ間違いないと
思います。彼らに接触して遺品を回収することはできても、彼ら
を連れ帰ることはできません。それを承諾していただけるなら、
この依頼受けましょう」
ドサ、久遠婦人が気を失った。最後の希望をもってここにきたの
だろうが、その希望を断ち切られことがショックだったようだ。
慌てて夫の久遠氏と寧音子が抱き起す。工藤の家には、客室はない
ので今座っているソファーに寝かせることにした。
「地球にも魔力はあるだろう?それで代用はできないのかね?」
「魔力波動は『異世界』ごとに違ってます。その世界の創造神の個性
みたいなもんですよ。地球の魔力を使う方法は、そっちでできる
もんなら研究してください。連れて帰ってもいいですが、目の前で
灰になっていくの耐えられますか?『異世界』なら生きていられる
のに、ひと目会いたいというだけの理由で死なせますか?
ずいぶん勝手な愛ですね?」
その時、久遠氏が看病していた婦人のもとを離れ、工藤のもとにきた。
現実を受け入れてくれたようだ。
「工藤さん、娘の御護刀の回収をお願いします。一度は死んだものと
して受け入れたことです。これ以上は、ただのわがままですし、他の
クラスメートの親御さんたちに顔向けができません。
もし、娘に会えたなら強く生きろと伝えてやってください」
「理解していただいてありがとうございます」
「ところで工藤君、わたしを異世界に連れて行ってもらえることは
できないかね?」
三条は有能ではあるが、KYであった。