プロローグ ― 起 ―
前作の主人公は引きずっての続編となります。
すでに大体書き終えているのですが、現在全25話とボリュームが
足りないときています。ずるずると投稿せずに放置化しそうなんで
読んでもらって批評をバンバン入れてもらいたいです。
それで展開は変わりませんけどね。シリアスで後味の悪い暗い展開を
一部混ぜ込むのが今回の試みです。
基本毎日更新です。
2013年 ― 春 ―
『るーるー るーるー るるーーるー るるーるー
るるーるー るるーるー るるーるー るるーるーー
るーるー るーるー るるーーるー るるーるー
るるーるー るるーるー るるーるー るるーるーー......』
夕闇の中に堕ちていく校舎の中、真新しい制服に身を包んだ少女がひとり、
歌を口ずさんでいる。歌詞はないのか、はたまた知らないのか同じメロディー
をただ繰り返し繰り返し口ずさむだけだった。
部活動を終え、仲の良い先輩後輩や友達同士で連れ添って、次々と家路へと
向かうこの学校の生徒たちを4階にある美術室から、只々、愉しそうに、
何処となく、羨ましそうに眺めているだけだった。
少女の制服は、この学校のものであるので、ここの生徒であるのだろう。
だが、少女は夕日が闇にその身を委ねようとしている今でさえ、帰ろうと
する素振りを見せない。まるで、その必要がないかのように。
少女から受ける印象は、真面目で気の弱そうな普通の子、どのクラスにも
ひとりはいそうな娘だ。肩まで伸びた黒い髪、目の上で切り揃えられた前髪、
可愛い色のフレームの眼鏡、膝にかかる程度の深緑のチェックのスカートに
白いハイソックス。下ろしたてのベージュのブレザーにパリッとした白い
シャツと赤いタイがよく似合うちょっと背の低めでぽっちゃりした、どこと
なくまだ幼い娘だ。新入生なのではないだろうか。
いよいよ夕日は西の山々の中に消えようとしている。
少女はまだ歌っている。
ただ歌っている。
歌っている。
歌っている......