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1回戦−中学一年生−


アクセス数を増やしたいので、毎日更新して連載していきます。


気持ち悪い終わり方してても、翌日には続きを書いてるので楽しみにしてください。


でわでわ、まずはとある生れつき運の悪い女子校生から。

私は、吉田美紀。中学受験を頑張って念願の「聖月学園せいづきがくえん」に入った。


キリスト教の女子校で制服が凄くかわいいの。中高一貫で、大学の進学率もいい。


私の人生は成功ばかりの道を辿る……はずだった。




……なのに、どうしてだろう。


「あんたの顔を見てると虫酸が走る。


ここは聖月学園よ、漢字わかる聖よ、聖。


美しい者しかここにいる資格はないの。」


目の前の女が、椅子に座ってる私の顔に上履きを履いた足をつける。


……なんで、こうなっちゃったんだろう。今は6月夏休みに入る前。きっときっかけは、そう、あの時……5月の夏期略装が始まるころ。





慣れない朝の礼拝を終わらせ、私は礼拝堂から校舎へ移動していた。


「みきーっ!」


後ろから、キリスト教という優雅なイメージに結び付くロングワンピースで全速力で走ってくる少女がいた。


荘厳な礼拝が終わったばかりで、周りは静かに移動してるのに……あーもう皆見てる。


人目を気にせず、こちらに全力ダッシュしてくるのは水島三咲みずしまみさき


茶色がかった黒髪ボブで、小顔で鼻がすっととおり、目はくりくりしててかわいい系美少女。


私と三咲は入学式にいきなりケータイを鳴らしてしまった(後に知ったが二人ともDCMというブランドのメルマガだった)のがきっかけで入学式から仲良し。


同じバトミントン部にも入っている。


勉強も、運動もできない私に比べて、三咲はなんでもできた。


小テストは常にクラス五位以内、部活は中一でたった一人今度の試合の選抜メンバーに選ばれた。


「……ねぇねぇ、聞いてる?

次って代数だよね?みさき、菅野センセー嫌い。みさきのことばっかり指名するんだもん。」


三咲がぼーっと思考していた私の顔を覗きこんで言った。


「きっと、三咲のこと気に入ってんだよ。」


ウチは三咲に苦笑いでこたえる。


「おぅ!みさきとみきじゃん。おはー。

朝の礼拝、超だるいわー。」


「ゆいな、二人はラブラブカップルなんだから、邪魔しちゃだめだよ。」


如月結菜きさらぎゆいな長森千里ながもりちさとだ。


二人は三咲とは対称的にクール系美人。三咲とは小学校からの同級生なんだって。


……にしても、三咲、結菜や千里だけじゃなく、この学校は何故か美人が多い。


それに比べて私は……


校内には悪魔除けの鏡がたくさんあるのだが、その一つを覗いてみる。


運動部なのに丸い顔、団子鼻、ニキビだらけの頬、腫れぼったい目。とても醜い顔。


私はこの醜さが原因で、小学校のころいじめられてた。


私がここを受験したのも、いじめへの対処がいいって評判だったから。


「……みき?みきーっ?聞いてる?


なんか今日すごくぼーっとしてない?


熱でもあるんじゃない?保健室ならあたしがついてってあげようか?」


「菅野の授業休みたいだけでしょ、ゆいな。」


「千里のツッコミのはやさは本当舌を巻かれるよ。


大丈夫、ちょっと生理的な事情があってトイレ行きたいから先に教室行ってて。」


「ってか、生理的事情ってもう事情の中身いってんじゃん。」


千里のツッコミが聞こえたけど、ほんとに漏れてるか心配なのでトイレへダッシュ。


「ちさと〜。今のツッコミはつまんなかったとみさきは思うんだけど。」




ふうー、よかった。漏れてなかった。せっかくの制服に紅い染みはやだ。


私はトイレから出て、教室に入ろうとした。




……ったく、吉田のヤツマジうけるんだけど…


へ?何の声?吉田って私?どうやら私の教室から聞こえるような……



「なにが、生理的な事情よ。女子校だからって言っていいこと、言ってはいけないことわきまえろってーの。」


やっぱり私のことだ。

この声ってもしかして、千里?


「ほんとほんと、誰がてめぇなんぞの保健室についていくっての。」


これは、結菜の声……。


私は二人の声に吸い寄せられるように、教室の出入り口に立っていた。


教室内には見慣れた後ろ姿が三人。千里、結菜、あともう一人は……


「そうよね。あのニキビで団子鼻で『おいわさん』の目の女とみさき一緒にいたくな〜い。」


みさき……


「じゃあなんであの女と同じ部活はいったんだよ」


おかしいなとは思ってた、


「ゆいな、決まってるでしょ。みさきはもともとかわいいけど、アイツが隣にいるとみさきのかわいさが際立つもん。」


なんでクラス一イケてるグループにダメダメな私が入ってるんだろうって。


「自分で自分をかわいいって言っても、不自然を感じないルックスは反則だろ……。」


ホントは、私はグループに入れてなかった。


「でしょー!」


私はその場を逃げようとした。しかし、遠くの方で他の生徒が騒いでる声が聞こえた。


中の三人も反射的に出入り口に視線を向ける。


目があってしまった。


「ごめんね、みき。聞こえちゃった〜?

友達だから言いたいことは言わないとね。

溜め込んじゃうと、後が辛いよ?」


結菜がこちらをまっすぐ見て、薄笑いを浮かべる。


私は何を言えばいいの……。私は小学校のころからいじめられてたから、友達付き合いがわからない。


ここでうまいこと言えばこの空気を脱出できるかもしれない、しれないけど……


「信じられない。陰で友達の悪口を言うなんて……。あなた達、ほんっと最低。」


そんな言葉が、気付けば出ていた。


「みき!あんたこそサイテー。」

「友達を最低呼ばわりする人こそ最低じゃん。」


「うるさい、結菜、千里。私はさっきあなた達に傷つけられたのは紛れも無い事実。


どうなのよ、みさき!」


「えっ?何のこと?みさき、何もしてないよ。

みさき何かした?」


みさきの隣で結菜達がくすくす笑う。

しらを切るつもりなの?


「私と一緒にいたくない、って言ってたじゃない。」


「えー?みさきそんなこと言ったっけ?

言ってたとしても、これくらいのことでそんなにキレなくてもいいんじゃない?」


三咲は隣にいる二人の顔を見る。

二人は何の躊躇いもなく首を横にふった。


「そうだよ。みさきの言う通り。

こんなことでもめてたら、女子校生活できないよ?」


千里が笑う。楽しそうに。


他の生徒の声が聞こえてきた。もうすぐ、私達以外の人達も来てしまう。


「わかった、みき。そんなに言うなら、みさき達に証拠見せてよ。」


証拠なんてあるわけない。テープレコーダーで録音してるわけでもあるまいし……


「みき、ほら早く見せてよ。」


「みき〜。もしかしてないのかなー?」

「ゆいな、だめだよ。これ以上追い詰めちゃ、自殺しちゃうかもよ。みきちゃんは淋しがり屋さんだからねー。」


カツカツとハイヒールが床を叩く音が聞こえた。先生だ。


続いて、ざわざわと生徒の声。


「先生きちゃったー。みさき、成績は下げたくないから授業の準備するね。」


そう言って三咲がロッカーへ去ると、結菜と千里もどっかへ行ってしまった。


そして間をはかったように、先生が教室に入ってきてこの始まりの朝休みは終わった。



「……それでは、この問題を、……水島さん解いてちょうだい。」


「えー、また私ですか。」


「先生はあなたを信じて当てたの。やってくれない?」


菅野先生の授業は比較的眠い。

たいていが、三咲に当たるから当てられることも少ない。


私はさっきの朝休みのことを考えていた。


『なにが、生理的な事情よ。女子校だからって言っていいこと、言ってはいけないことわきまえろってーの。』


『ほんとほんと、誰がてめぇなんぞの保健室についていくっての。』


『あのニキビで団子鼻で『おいわさん』の目の女とみさき一緒にいたくな〜い。』


私にとって、三人は大切な友達だった。初めて本当の友達ができた気がした。


あれは本当は冗談だったのかな。

今ならまたやり直せるかな。

私は前で黒板に向かってる三咲の背中を見てそんなことを考えてた。



……えー、マジ?

……うっそー、それ三咲ちゃん超かわいそうじゃん。


私の思考は、ひそひそ声とちくちく刺す視線で途切れた。


えっ?


私は気がつけば、私のクラス全体から、ちらちらと見られていた。


それに、いつになく私語も多く、話しながらこちらを見てくる。


いつもと何かがおかしかった。


最悪の想像が浮かんできたけど、私はその想像を打ち消した。違う何かだと思い直し、何だろうと思った。


「ねぇねぇ、何があったの?」


私は隣の子に聞いてみた。


「えっ、あ、えー……。」


彼女は口を濁すだけ。他の周囲の子に聞いてもそう。何なのよ。


そして、見た。

一番最初に聞いた子の机の上にメモが置いてあった。


『みさきは吉田にあらぬ罪を着せられかけてる。皆、みさきを可哀相だと思わない?


皆で吉田に制裁を


これから吉田に話しかけたヤツは、吉田の仲間、又みさきへの裏切りと見なし、そいつにも制裁を与える。』


コレハナンナノ……


たぶん回し手紙なのだろう。きれいに折り畳んだ跡がある。


あの字は……、遠くて見えにくいけどたぶん千里の字。


三咲、結菜、千里はクラスで一番イケてるグループ。

誰しも入りたがってる。だから、きっとクラス皆がこの手紙に従う。


つまり、朝のたったあれだけの出来事で私はクラスを敵に回した、ということになる。


先の最悪の予感が当たってしまった。私はこれからどうなるんだろう。


「さすが水島さん、いつも通り正解よ。」


先生が大きく黒板に丸をつける。


三咲には正解しかないのかな……。こんなことも、周りから見れば正解なのかな。



「ちょっと吉田さん、いい?」


私は授業が終わった瞬間、三咲、結菜、千里にホールドされた。クラスの女子もその周りを囲う。


「……でみき、みさきが言ってない証拠見つかった?」


みさきは悲しそうな顔を作った、友達に疑われて悲しいって。演技のくせに。


「みさき、もうみきって呼ぶのやめなよ。それに、どうせ証拠なんてないんだし、みさきに濡れ衣を着せようとしたのは確実。

でしょ?吉田さん。」


結菜が三咲の肩に手を置いて、慰めるように言う。


「でも、みさきは、みきをともだっち、とっ、思、てったのに。」


三咲は途中から嗚咽混じりに泣き出す。


「みさきちゃん……」


クラスメイト達がざわつく。

あんた達何も知らないくせに。


「ちょっと、吉田さん。みさきはまだあんたを信頼してくれてるのよ。

それでも、まだ謝らないと言うの?」


千里、名前を名字で呼ぶだけで、こんなにも雰囲気が違って見えるんだね。


私は何もやってない。

何もやってないのに、謝る必要性なんてない。


「私は本当に三咲が私と一緒にいたくないって言ってるのを聞いたのよ!」


やめて、これ以上反抗すると結菜達の思うつぼ。

それでも、私の身体は勝手に動き、千里につかみかかろうとした。


「やめて、近寄んないで!」


千里はノロマな私を軽々と避けて、横から私の背中を押した。

まるで、正当防衛のように。


私は床に倒れた。今のは、私が悪いかもしれないけどなんでそこまでするの?


私は悔しくて、涙が出てきた。今、顔を上げたくない。私には、この涙さえも邪魔だった。感情なんて要らなかった、何も感じない人になればこんな苦しい思いをしなくていい。私の人生、いいことひとつもない。喜んだり、嬉しかったことなんてほとんどない。


私はいつでも、どこでもそう。幼稚園でも、小学校でも、習い事のピアノ、英会話でも、でも、でも、でも、でもでもでもでも。

私は顔が醜いから、ただそれだけで嫌われていく。


「涙流したら、赦してもらえるとでも思ってるわけ?

女の武器を見せられても、あたし達にはウザいだけ。」


千里が吐き捨てるように言って、教室を出てった。しばらく何人かの足音が聞こえ、顔を上げたらもう誰もいなかった。



最初は無視だった。でも、相場通り、だんだんエスカレートした。5月末、初めての中間試験は筆箱を奪われて受けることが出来なかった。6月の前半も、上履きが消えたり、教科書が落書きされて読みにくいとか、私自身には危害を加えなかった。


しかし、6月後半からは、暴言に始まり、脅し、たまに暴力もあった。



そして、今に到る。



「三咲、いい加減にしなさいよ。

こんなことやって楽しい?」

私は足をのっけられたまま睨む。


「みきこわ〜い。

楽しいに決まってるじゃん。この学園にいる虫をみさき達は駆除してるの。

皆のためでもあるから、止めるわけにはいかないんだな〜。」


みさきは虫を踏み潰すように、私な顔にのせた足をぐりぐり動かす。


「くふふ、なに正義ぶっちゃって、悲劇のヒロインのつもりですかー?」


結菜が私の足を踏む。


「ねぇ、あたしいいこと思いついた!

どーせ女子校なんだし、こいつの服、脱がしちゃおうよ。」


女子校とはいえ、やっていいこと、いけないことわきまえろって言ったのはあんたでしょ千里。


「あっ、それいいかも!やろやろ〜!」


三咲は私の顔から足を離し、椅子の後ろに回り、携帯の充電器で手首を後ろに縛った。


「やめて……」


私は最後の抵抗で、スカートを脱がそうとする結菜を蹴った。


「いったいなー。蹴るなし。」


結菜は私の脛を蹴って、蹴られても痛くないように上履きを奪った。


痛いよ。


足も、心も。


そして、私の抵抗むなしくスカートもパンツも脱がされた。


「キモっ!やっぱ女の下半身見てもいいことないね。」


千里が私を汚物を見るような目で見た。






……はっ、気付いたら部屋のベッドに寝ていた。


時計を見ると、午後4時。

どうやら寝てたみたい。


私は身体に傷ができはじめた頃、親に事情を説明した。

変に三咲を退学させても、周りの取り巻きがまたいじめるので自主退学したのだ。


「みきちゃ〜ん!塾行かなくていいの〜?」


階下から母の声が聞こえる。塾は4時半から。


「ごめーんすぐ行く!」


私は母に叫び返し、一階に降りてダッシュで家を出た。



あと30分しかないが、自転車で走れば余裕だ。

私は聖月学園を退学した後は、地元の公立日寄ひより中学校に通っている。


私はあの時より、今が幸せ。



私は塾に着いて、難関校コースの教室に入った。

このクラスはかなりレベルが高い人じゃないと入れないクラス。

そして、そんなスーパークラスには私と同じ学校の人が一人いる。


「なんだよ、珍しいなみきが息切らして教室に入るなんて。


あっ、俺に会いたくてたまらなかったとか?」


私の前で調子こいてるのがそいつ。小田健介おだけんすけ。私が今唯一心を開ける人。


私はチョップの真似をする。

健介は手をクロスさせて、チョップから守る真似をする。


健介には、私の生まれてからの境遇を全て話してある。


それでも、健介は私にかまってくれた。


私はさっきまで見ていた夢を話した。


すると、健介は顔を真っ赤にした。

どうしたんだろ……?


「お前、男の前で服を脱がされた話するなよ。


悪い、トイレ行ってくる。」


そんなに吐き気をもよおす話だったのかな。

なんか悪いな……。



健介が帰ってきた。


「ふー、ごめんな〜。

……で、その夢だけど、なんかやだな。


なんかの予知かもしれない。


俺だったらいつでも相談乗るから話せよ。」


ありがとう……。




拝啓 水島三咲様、如月結菜様、長森千里様


私は貴女達といた時よりずっと幸せです。


貴女達は本当に幸せでしたか?


吉田美紀


私は授業中プリントの裏にそっと書いた。

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