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裏切り

 今回一時空けなくしてみました!


 読みにくかったら言ってください!

 潤はいつのまにかサーカスに使うような短剣を二本握っている。そしてそれをジャグリングのように投げては受け取るを繰り返す。すると投げながら回してるうちに数が増えていく。

 二本の短剣が生みだした残像が一本の短剣を生み、増えた短剣もまた残像を残し短剣を生む。それを繰り返していくうちに短剣の数は十本以上になっている。

「ひゃはっ! 流石だよ道化師サンよ! 普段の仕事じゃ不死身の能力者でも気取ってるみてーだけどよ! こっちはすでに調べは着いてんだよ!」

 アロハの男は自慢するように言ってくる。

 そう、潤の能力は不死身(・・・)なんて(・・・)便利すぎる(・・・・・)能力ではない(・・・・・・)。そんな能力は世界ですらただの一例もない。どんなトラウマを持とうがどれだけ努力しようが不死身の能力者なんていないのだ。

 なのに潤はサーカスの中で何度も死んでいる。さらに言うと劇場を潤一人の力の身で作り出した上にそれを消すこともできる。

「ひゃははっ! そこの道化師サンよお前は世界でも数人といない能力者だろうよ! 幻覚を実体化出来る上に幻覚に引きずりこむ条件が範囲だけってどんなチートだよ!」

「ありがとうな~。ま、オレってすげーだろ? まあ現実の場所に幻覚を配置する能力だからな~」

「ひゃははっ! 確かにすげーよ! 相手できて光栄だ! でも穴が無いわけじゃねえだろ!」

「弱点が無い能力なんてオレは知らねーよ~だ」

「ひゃははっ! 確かにな! そういえば名のって無かったな! 俺は(ひいらぎ) (しゅう)だ。せいぜい広めといてくれや!」

 …………なんだこの語呂悪い名前。むしろ哀れに思えてくる。

「…………おい。なんでみんな黙り出してんだよ。つうかそこの部下共倒した奴は黙って引いてんじゃねえよ! なんで名前でこんな引かれてんだよ」

 俺達が黙って引いているとアロハの男――柊は、ひゃははっ! と笑うのを忘れるほどテンションが下がっていた。

「よし! くらえ!」

 潤はこの空気に耐え切れなくなったのか戦い始めた。

 ジャグリングしていた短剣を連続で投げていく。

 それを柊はしゅるしゅるとかわしていく。戦いなれてるようで慣れた動きで余裕がありそうなようすで投げていく。

 「ひゃははっ! まだまだ遅い! 投げるモーションが見えるならかわせないなんて事はないんだよ!」

 「そうかい! それじゃっ!」

 潤は空中に浮かんだ短剣を今度はもっと早く投げていく。

 そしてジャグリングしていた短剣が最後の一本になるとその一本を潤は大きく振りかぶって山なりの軌道で投擲する。

 すると短剣は空中で一本から二本に、二本から四本に次々と増えていく。そしてアロハの男に着くころには雲霞の如き数となって迫る。しかし柊はまだ余裕そうだ。

「ひゃははっ! そういえば言ってなかったっけな。俺の能力は――」

 そういうと同時に柊の手から真っ赤な炎が出てきた。その炎は潤の投げた短剣を全てとかしきる。――いや、蒸発といった方が正しいかもしれない。

「――パイロキネシスだ。かっこいいだろ?」

「おい。潤パイロキネシスって事はもしかして…………」

「たぶんあいつが犯人じゃないかな~? あんだけ強いんだし」

「おいおい! つれない事言うなよ道化師サン。初めて会ったみたいなこと言っちゃって、一度会ってんじゃねえか。あのパーティーん時にさぁ!」

「っっつ!」

 は? こいつと潤が会っている? しかもパーティーってなんだ? しかもこの驚きようホントなのか?

 いくつもの疑問が俺を襲う。

「おい潤。あいつとどのパーティーで会ったんだよ?」

「ごめん心冶。後で謝るよ」

 潤が今までにないくらい真面目に答える。

 謝るって何を? 

 そこまで考えて思いつく。あのパーティーってまさか――

「ひゃはは!!! まさか知らなかったのか! こいつは傑作だ! 正義のヒーロー気取ってる集団が仲間を騙してるなんてな!」

「おい柊…………だっけ?。それ以上喋んなくていいよ。オレが後で話すから」

 何言ってるんだ? 騙す? 何のことだ?

「ひゃははっ! 道化師! お前は隠したがってたみたいだな! 残念! 俺がばらしてやるよ! ――そこの観客席にいるお嬢様を俺の雇い主のおっさんから逃がしたのはそいつらだよ! しかも気づいてねえみてえだけどよ昨日からいたんだぜ? 公園で話してる時からよ! つまりそいつらはお前を騙してたんだよ!」

 柊は最後にひゃははっ! っと笑ってしめた。

 てことは潤とか朱音とかがあんなに買い物に行けっつてたのは明を向かえに行かせるためか! 

 明は自分の周りの事情を分かっておらず、挙動不審になっている。

 そいつらって事はもしかして朱音は知ってたのか?

 俺は観客席のほうを見る。すると驚いた顔をしていて何も知らないであろう明と、バツが悪そうに頭をわしわしと掻いている。つまり知っているだろう朱音が見えた。

 つまり朱音も俺を騙してたって事か。

「おい潤。出口を創れ」

「ちょっと待てよ! 後で説明するから!」

「ふざけんな! 人を騙しといて! ……俺はもうこの件には一切関わんねえ」

 そういうと潤は少し傷ついた顔をした後出口を創りだした。この空間は潤の形ある幻術なので潤の思い通りにできる。

「じゃあな。明は悪くないんだろうけど孤児院では話しかけてこないでくれ。たぶん不愉快になる」

「ひゃははっ! ついでに俺もこの辺でお暇するぜ? じゃあな~! それと仲間にも裏切られるヒーローって悲しいねえ。ヒーロー気取り君」

 柊がそういうと体中がいきなり燃えだす。いや、燃えているのではなく柊がそのまま炎になっているようだ。その炎は天井を突き破って飛んでいきそのままどこかえ消えた。

「俺は先に帰る。明の事は俺は関わらねえ」

 そう言って俺はテントの中から出て行った。

 朱音と潤がバツの悪そうな顔をしているが自業自得だ。

 明は何も悪くないのが少しだけ後悔したが、さっき言ったことは訂正しないでテントから出て行った。

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