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真面目に仕事してただけなのに……

 公演が終わった後みんなでていきテントの中は俺達だけになっていた。


 しかし俺達が動かないのは明が一歩も動けないからだ。


 見事に腰が抜けている。


 そりゃそうだろう。


 目の前で人の首が飛んで行ったりしたうえにそれが喋るんだもんな。


 俺も始めて見たときにめちゃくちゃビビった覚えがある。


 ちなみに首が飛んだ先は朱音の上だ。


 しかもその時朱音は寝ていてうざったそうに首を明に渡してた。


 その時も首が喋り続けていて、


「やれやれ乱暴なお嬢さんだ。君は私の体まで私を届けてくれないかね?」


 とか言って、その時から明は喋れなくなっていた。


 その時は仕方なく俺が舞台の悪役に向かって投げてやった。


 首は見事に悪役の持っていた剣に刺さり見事にグロテスクな光景になっていた。


 ふー。


 朱音は寝てるし明はまだ恐怖から覚めないのか口もきけないようだ。


「はー。お前らここまで来てたのかよ。てことはそうとうやばい用事?」


 と聞いてきた。


 これがうちの孤児院の娯楽担当の道化師 潤だ。


 仕事の時とは口調は分けるタイプだが、「おれ」というのだけイントネーションがヘンになって片言みたくなっている。


 基本はオチャラケているがやる時はきっとやる奴。


 以上説明終了。


 そして俺は潤に答えてやる。


「まあやばい用事だよ。というかいい加減ここ消せそこの丸まってる奴がいい加減哀れすぎる」


 明は言い返そうとしたようだがまだ声は出ないらしく口をパクパクさせるだけになっている。


「OK~。----これにて『英雄道化師ミスキャスト・サーカス』は終演とします----」


 周りの景色が変わるそしていつもの公園の風景に戻る。ちなみに朱音はリヤカーの上で寝ている。


 そしていつの間にかテントが無くなっている。


「へっ? へ? 何が起きたの? というか誰この人?」


 明は面白いくらいに動揺している。何この驚きよう。


「はじめましてだよな? オレは道化師 潤だ。よろしく! 名前は?」


「は、はじめまして…………。わ、私は天草 明ですよろしくお願いします。………………………………もしかして同じ名前って事は……………………さっきのピエロと同じ人?」


 まだ怖いらしい。


「そうだよー。オレの舞台面白かった?」


 明の顔が真っ青になっていく。死人でも見たみたいだ。


「むっ」


「何? 明ちゃん? オレにはそれじゃ分かんないよ~?」


「向こう言って化け物~!!」 


 そう言って潤とは寂方向に明は逃げ出してしまった。


 後に残ったのは俺と間抜け面してショックを受けている潤と、リヤカーに乗っている女だけだった。


「……………………なあ。…………心冶」


「言いたいことは分かるけどなんだ?」


「俺なんか悪いことした? いつもみたいにオレ今回は変なことやってないよね?」


「あえて言うならあいつを驚かしたことかな? それと俺を昨日おちょくりやがった」


「仕方ないじゃん。………………………………それ仕事なんだし」


 俺の方はスルーかよ。


「明の件に関しては何もしてないな。あと昨日のこと覚えとけよ? 後でぶん殴ってやるから」


 俺達の間に会話が無くなる。


 そして仕方がないから俺が口を開くことにした。


「とりあえず明探しに行くか。あいつ危ないしな」


「あの子依頼人? …………まあいいや、心冶。千円あげるから俺もリアカー乗っていい? そして引っ張って?」


「二千円ならいいぞ」


「今日は割と客いたしいいやそれで…………」


 これで今俺達一行はリヤカーを引く男と、ショックを受けて丸まりながらリヤカーで運ばれる男とリヤカーで運ばれる女というシュールな組み合わせになった。


 ちなみに荷物は一つも乗って無い。


 これはどっから見ても変人軍団にしか見えない。

 警察に職質受けたら確実に引っ張られるな。


 これがうちの孤児院一の残念な思考回路を持った男 道化師 潤と いきなり住むことになった挙句二日で俺を奴隷にしてくれやがった、わがまま元お嬢様 天草 明のファーストコンタクトだった。

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