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配役間違い

「スプラッタ・サーカス?」


 そう明が全く心当たりがないようすで聞き返してきた。


「そうそう。それであってる。潤の能力は心冶から聞いたか?」


 さっきのローテンションが嘘のように朱音が喋っている。


「いや。話してねえけど。どうせあそこに行くなら実際に見た方が楽しめるだろうしな」


 今俺達は潤を紹介するために潤が働いている場所、つまりスプラッタ・サーカスに向かっている最中だ。


 スプラッタ・サーカスはいつも近くのデートスポットで有名な公園で不定期にやっている。いや、不定期というか潤が暇だったらだな。


 一応国から許可は取ってるし遊びに来るカップルも安くて面白いもんが見れるからって人気らしい。


 そういや潤が言ってたけど、カップルとかが一緒に見てたらスプラッタだから彼女のほうが驚いて彼氏の方にくっつく奴がいるとか言ってたな。


 確か潤の奴その日イライラしていつもより怖い公演になったらしい。俺にも分かるぞその気持ち。 


「ねえ朱音さん。こいつどうしたの? いきなり怖い顔になってんだけど」


「心冶はたまにああなるんだよ。放っておいてあげな。たぶんろくなこと考えてないだろうし」


 よく聞こえなかったがものすごくけなされた気がする。


「なんか言ってたのか?」


「「なんも?」」


 すごい息ぴったりで言ってくる。逆になんかありそうなんだけど。


「ん。もう見えたぞ。あれがスプラッタ・サーカス。そういや俺も最近見てないんだよなあ」


「あれがそうなの? 思ったより大きいわね」


 明が感心したように言う。


 そこには広場いっぱいに一つのカラフルなテントが張られていた。


 看板には『ようこそスプラッタ・サーカスへ! 能力者が行うリアルスプラッタ! 十五歳以下は遠慮してくださいね!』と書かれていた。


「潤も割と綺麗に作れるようになってるなあ。あたしも少しびっくりしたぞ」


 朱音も最近来て無かったのか。あ、そういや明ってスプラッタ平気なのかな。


「「そういえば」」


 明ときれいにハモった。


「ふーん。お前ら仲いいじゃん。出会って二日でそれってすごいな」


「こんな女と誰が仲いいんだ? こんな悪魔みたいな女!」


「うるさいわねビビりの癖に! 第一、奴隷がご主人様にたてついてんじゃないわよ!」


「悪魔みたいなのは事実だろうが! 人の弱み握って奴隷にしてる奴が悪魔じゃなっかたら誰が悪魔なんだよ!」


 チクショウ! ホントにこんな女助けるんじゃなかった!


「というか心冶いつの間にか明の奴隷になってたのか」


「そうですよ朱音さん。こいつはさっき弱みを握ったので奴隷にしたんですよ」


 朱音、頼む! 美しい家族愛でこいつに灸を据えてくれ! 


 朱音と明がにらみ合う。そして----



 朱音と明は握手をした。




「出会って二日で奴隷にするなんて脱帽したぜ。流石のあたしでも無理だ」


「それはこいつが間抜けだからですよ。そうでなきゃ流石に二日じゃ無理ですよ」


 ………………………………なんだこの人権無視の会話。間違ってると思うの俺だけ? 


というか明って俺達の事変人て言ってたけどじぶんも変人だよね。


「よし、あたしはアンタ気に入ったよこれから明って呼び捨てにしていいか? あたしも呼び捨てでいいから」


「もちろんです。朱音さん!」


「さんはいらないって。朱音でいいよ」


「う~ん。でもまだ呼びづらくて……………………」


「ははっ。じゃあまださん付でいいや。よろしくな! 明」


「よろしくお願いします朱音さん!」


 こうして二人は仲よくなっていた。俺をどうやったら楽しくいじれるかの方向で。


 …………………………………………………………………………家族愛やらはどこに売ってるんだろう。買えるなら買いたいよ。


 俺は周りにまともな人が一人もいない状況を嘆きながらスプラッタ・サーカスの中に入って行った。


 中は薄暗くて映画館みたいになっている。そして下の方にステージがありそこだけ明りがついている。


 今は赤いカーテンを閉めている最中だ。ちなみにステージはカーテンがかかってるところ以外入れそうなところなど無い。


「ふーん。なかなか雰囲気あるわね。これって何人くらい入れるの?」 


「確か潤の奴、今は三百人くらい入れてるっつってたな。あたしの目測だと百メートル四方くらいあるんじゃないか?」


 今はそんな広いのか。昔は五メーターで限界だったのにな。


「あ、もう始まるみたいね。どれがその潤ってひと?」


「黙っとけよすぐ分かるから。それとこれって普通のサーカスじゃなくて演劇だから」


「サーカスってついてるのに?」


「あたし達の孤児院にいる連中で行った事があるサーカスがたまたまそういう風変わりな奴だったんだよ。基本的にピエロが主役で劇をやるって奴」


「違うぞ朱音。ピエロは適役だったぞ。その劇に出てきたピエロに潤が以上に


 だんだんと赤いカーテンが開いていく。するとどこから入ったのかピエロが一人立っていた。たぶん普通の人がピエロって言われてイメージするような典型的なピエロだ。


 するとそのピエロが口を開く。


「レディィィィィィィス、アァァァァンド、ジェントルメン!! 本日はお越しいただきありがとうございます! ではではナッガーイ説明などしません! 怖い人は今の内出て行って下さいね。こっから先は自己責任ですよ? ではスコーシだけ話を聞いてください!」


 最初だけボクシングの始まりの時に名前を呼ぶ時の奴みたいに巻き舌で言ってたが、途中からは普通の口調になっている。そしてそのまま説明がが始まる。


「まずこの私の紹介をしましょう。私の名前は道化師(どうけし) (じゅん)まさにピエロになるために生まれてきたような名前でしょう? し・か・し。これは本名です。ちなみにこの近くで

MARS(マース)』っていう能力者が務める何でも屋もやってるのでそっちも利用してくださいね! おおっとだいぶ話がそれました! 話を戻しましょう。私はピエロですが愚か者の体現役なんかじゃありません! ピエロが活躍してハッピーエンドになる劇です! だってどんな不幸が来てもこの不死身の体で耐えられますからね! だからこのスプラッタ・サーカスの別名は『英雄道化師ミスキャスト・サーカス』というのです! ピエロなのに悲劇じゃない! これぞミスキャスト! では公演を開始します! 楽しんで行ってください!」


 こうして間違った配役の公演が始まった。

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