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蛇神

祭り三日目ー? かな。

 俺は気絶した後公園に連れてこられていた。

 潤がリヤカーでも出して引っ張ってきてくれたんだろう。

 あたりはもう真っ暗で、人はいないようだ。

「悪かったな心冶。喧嘩する羽目になっちまって」

 潤が謝ってくる。しかし後悔は無いようですがすがしい顔をしている。

「そういいながら何でそんな晴れやかなんだよ。ホントに反省してんのかよ…………」

 潤はいつものへらへらした顔に戻っている。

「反省はしている。だが後悔はしていないって奴だな。だけど反省してんのはさっき言った一つだけだ。騙したことについては反省はしてないぞ。第一お前こそ困ってる女の子ほっぽり出すって、ヒーロー目指してんじゃ無かったのかよ」

 そこを突いてくるか。

 確かに今でも俺はヒーローにあこがれている。ただ悪者を殺してお終いというヒーローではなく、悪人も更生させるヒーローに。

 それなのに敵にちょっと言われたからってそれが揺らいだ事に潤はキレたんだろうな。

「ま、そこら辺はありがとうな。あのまま言ってたら一生ヒーローになんて成れてなかったもんな」

「おう。感謝しろよ~」

 まあこの仕事も手伝うか。俺がヒーローになるために。

「とりあえず手伝うから何したらいいのか教えろよ」

「問題は柊と明ちゃんの叔父さんともう一人だ。こいつらは俺達じゃどうにもできない」

「まず柊は何で倒せねえんだ? 普通のパイロキネシスなら幻覚で水創って炎にかければ終わるだろ。火になったところで一部分残ってりゃいいんだろうしな」

 潤は首を振りながら答える。

 やっぱり無理なのか。まあ出来るなら倒してるか。

「あいつの能力の詳細ってわかるか? オレ達がお前に黙って戦った時に大かた理解できたけどやべえぜあれ」

 潤がこんなひるむなんてどんな能力なんだ?

「炎になれる高レベルのパイロマンサーって分けじゃないんだろ?」

「そうだよ。あいつは単純に炎になってる訳じゃ無いんだ。あいつの能力名は『不死鳥フェネクス』つって死ぬと炎になる能力だ。まあ炎に対する耐性がついたり、炎を噴射したり、炎の翼にして飛ぶことは出来るらしいけど、それはオマケ。炎になったところで水かければもう一回死ぬらしいし、一日三回しか炎になる事は出来ないらしいけどな」

「確かにめんどくさいな。鉄も解かせるような高温に三回まで死ねる能力か、あとは何気に飛ぶのがだるいな」

 地上にいれば何とかなるが飛んでると攻撃がそもそも当たらない。これは戦う上でネックだ。

「まあ心冶が殴れば死ぬことも無く無力化できるから問題ない」

「まあな。でもあいつさっき会った時は炎になってただろ。あれはなんだ?」

「多分自分で脳かなんか燃やして自殺したんだと思う。脳はさすがに鍛えられないし」

 潤が少し考えて答える。

 自殺すれば逃げられるってことか。なかなか厄介だな。

 でも何であいつはわざわざ死んで逃げたんだ? 飛べば逃げられんのに。

「まあ柊は解決策が無いわけじゃない。次はオレもよく分かんないんだけど明ちゃんの叔父さんだな。なんでも自由に物を奪って自由に奪ったものを取り出せる能力らしい」

「吸収と放出の能力か。攻撃まで吸収されるなら厄介だな。それなら俺は手伝えそうにないぞ? 倒した後に俺が能力使って悪さできなくするぐらいしかできないと思う」

 殴ったら吸い込まれるなんて怖…………もとい嫌過ぎる。

「大丈夫だ。左腕でしか基本的には吸収できないらしい」

「なんで潤がやんないんだ? 潤だったらまさに楽勝だろ。幻覚だったら吸い込ませてもほきだす意味が無くなるし」

 吸い込んだって幻覚に戻せばいいから最適だと思うんだけど。

「いや、俺は違う奴と戦う。俺は絶対にあいつは倒す」

 潤が少し切れたような口調で言った。

「残りの一人か?」

「それとは別の奴」

 まあ潤は別の奴を倒しておくのか。

 了解。大体理解できたしな。潤もやんなきゃいけない事はあるもんな。

「ま、先に話進めるけどよ~。オレが一番警戒してるのは間違いなく最後の一人だな。……………………こいつを見ても取り乱すなよ?」

 そう言って幻覚で似顔絵を創りだす潤。

 その画像を見れば誰でもまず髪に目がいくだろう。いや髪と言っていいのかは分からないが、一応そうゆう事にしておく。

 そこには髪の毛がすべて『金色の蛇』になっている明のような人がいた。

「お…………おい。これって…………」

 潤はいつものへらへらした顔ではなく真面目な顔で言ってくる。

「そうだよ。これは天草 明本人だ。能力使った時の」

「てことは明はなんの能力なんだよ!? 嘘を見破る能力じゃねえのかよ!」

「違う。明ちゃんの能力は『蛇神メリューサ』っつって蛇の力だ。嘘を見破る能力は聖書でも嘘をついてアダムとイブを騙したところから来てると思う。しかも天草財閥は天草四郎時貞の子孫でまだキリスト教を信じてるから。その話を知ってる可能性が高いし、たぶんそっから来てる」

「じゃあ俺に教えなかったのは?」

「そりゃ明ちゃんの前に出た時嘘がばれるからな。なにも事情を知らない奴で、明ちゃんを抑えておけるくらい強くてなおかつ信頼できそうな奴は心冶だけだったんだよ。しかも明ちゃんが逃げたって知ってからこの計画たてたけど、その時いろいろあって心冶と朱音以外全員知ってたんだよ」

 つまり明を確保するために事情を知らない奴が一人必要だったと。いやでも何で明は逃げ出したんだ?

「なあ潤。明ってなんで逃げだしたんだ? お前が敵として扱ってるってことは明の叔父さんの事手伝ってたんだろ?」

「まあ手伝ってたけど、脅されてやってたみたいだな。叔父さんの能力で両親を捕まえられてるらしい」

 両親がつかまってるってことは生きてるのか。じゃあなんで明が必要だったんだろうな?

「叔父さんぶっ倒せば能力解除されんだろ?」

「いや解除はされても取り込んだものは出せないらしい。取り込んで吐き出す能力じゃ無くて、取り込む能力と、取り出す能力だからな。天草の叔父さんは取り込んだものは異次元かなんかで時間の概念すらないとこに取り込むらしい。取り込まれた経験者から聞いた」

「じゃあ危ないんじゃねえか? リーダーは知らないけど、恵そこまで強くないし、朱音はまあ強いけどカウンター狙いしか出来ないから逃げられたらお終いだし」

 潤は、はっと気づいたらしく慌て始めた。

「あ、ああああ、家が危ない! どうする心冶!? おいリーダーまでこっち来ちゃってんじゃん!」

 家に戦闘要員いねえのかよ!

「マジかよ! 明に逃げられたら終わりじゃん! リーダー出てこい!」

 するとリーダーがひょいっと何でもないような顔で出てきた。

「呼んだかいマイファミリー?」

「「呼んだよ!! 早く来い!!」」

 潤と俺でリーダを蹴飛ばしながら突っ込んだ後リーダーのテレポートで家まで飛んでいく。

 パッと景色が変わった後、我が家に帰ってきたがそこには朱音が気まずそうな顔して立っていた。

「ごめん。ついぽろっと明ちゃんにもらしちゃって逃げちゃった」

 もうすでに手遅れだった。

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