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Avvy学園 〜 SIXTeacher'sAfter 〜

作者: ゆうき
掲載日:2026/04/05

仲間内の作品

春の空気は、どこか落ち着かない。

新しい教室、新しい顔ぶれ、新しい空気。


その全部が、私には少しだけ遠く感じる。


廊下に差し込む光が、やけに明るかった。


(……眩しい)


そんなことを思っていると、前を歩く担任が振り返る。


「緊張してるか?」


明るい声。無駄に爽やか。


「別に」


短く返すと、先生は少しだけ笑った。


「いいね、その感じ。3年A組はちょっとクセ強いけど、悪いやつらじゃないぞ」


(クセ強いって何)


ツッコミは飲み込む。


「まあ、困ったらすぐ言え。俺は味方だからな」


軽くそう言って、教室のドアに手をかける。


(……熱いタイプか)


正直、あまり得意じゃない。


「よし、行くぞ」


ガラッと扉が開く。


一瞬で、教室の空気が変わった。


「おー、来た来た」

「転校生だろ?」

「この時期に?」


ざわつく声。

視線が、一斉に集まる。


「静かにー」


パン、と手を叩く音。


「はい注目。今日から3年A組に新しい仲間が入る」


教室の前に立たされる。


(……やっぱり、こうなるか)


慣れてる。

転校なんて、どこでも同じ。


「自己紹介、シンプルでいいぞ」


横から軽くフォローが入る。


(ありがたいけど)


私は黒板の前で立ち止まり、短く息を吐いた。


「……アビィです」


それだけ言う。


沈黙。


ほんの一瞬の間。


「え、それだけ?」

「名前かわいくね?」

「ハーフっぽい」


小声が広がる。


(想定内)


「はいOK。シンプルイズベストだな」


アスカ先生がすぐに拾う。


「席は……あそこだな。窓側、一番後ろ」


指差された先。

教室の端に、ひとつだけ空いた席。


(いい位置)


誰からも少し距離がある。


私はゆっくりと歩き出す。


視線はまだ集まっている。


(気にしない)


そう思いながら歩いて——


ふと、ひとつの気配に引っかかった。


前から三列目、窓際。


一人の女子が、こちらを見ている。


目が合った瞬間——


ぱっと、笑った。


(……軽い)


屈託のない笑顔。

迷いのない視線。


(苦手なタイプ)


そう思ったのに。


——その女子は、手を軽く振ってきた。


(初対面でそれやる?)


一瞬だけ、視線を逸らす。


でも、向こうは気にしていない。


むしろ楽しそうに、こちらを見ている。


(……何なの)


私はそのまま席に向かった。


窓際、一番後ろ。


椅子を引いて座る。


教室のざわめきは、少しずつ元に戻っていく。


(関わらなければ、それでいい)


そう思った、その時。


「ねえ」


斜め前から、声が飛んできた。


さっきの女子。


椅子ごとくるっと体を向けて、こっちを見ている。


距離が、近い。


「アビィってさ」


人懐っこい笑顔のまま。


「なんか面白そうだね」


——第一印象は、最悪だった


「……何が?」


短く返す。


アムネは気にした様子もなく、にっと笑ったまま。


「雰囲気?なんかさ、普通じゃない感じする」


「普通だけど」


「えー、絶対違うでしょ」


即答。


(決めつけが早い)


「初対面でそれ言う?」


「うん。わりと直感当たるタイプなんだよね、あたし」


軽い。

でも、嫌味はない。


ただ距離が近いだけ。


(めんどくさい)


そう思うのに、会話は途切れない。


「アビィってさ、どこから来たの?」


「ちょっと遠いとこ」


「ざっくりだなー」


「詳しく話すほどでもない」


「あ、そういう感じね」


納得したように頷く。


引くかと思ったのに——引かない。


「じゃあさ、これから暇なとき何してんの?」


「特に何も」


「それ一番つまんないやつじゃん」


「別に困ってないし」


「もったいな」


(価値観の違い)


はっきりしてる。


でも。


「じゃあさ」


アムネが少し身を乗り出してくる。


「バイクとか興味ある?」


「……バイク?」


思わず聞き返す。


「うん。あたし、めっちゃ好きなんだよね」


楽しそうに言う。


さっきまでの軽さとは少し違う。

ほんの少しだけ、熱がある。


「見るのも乗るのも。音とか、振動とかさ」


(へえ)


予想してなかった話題。


「免許はまだだけどさ、友達が乗ってて」


「……そう」


「今度会わせてあげるよ」


軽く言う。


本当に、軽く。


「いや、別に」


反射で否定する。


「えーいいじゃん。絶対面白いって」


「面白さ求めてないし」


「アビィに足りてないの、それだよ」


即答。


(なんで断定されてるの)


小さく息をつく。


「……考えとく」


当たり障りのない返事。


それでも——


「よし、決まりね」


勝手に話が進む。


(強引)


でも、不思議と嫌じゃない。


「名前なんていうの、その友達」


何となく、聞いていた。


アムネは少しだけ、得意げに笑う。


「怪獣」


「……は?」


思わず、声が出た。


「名前?あだ名?」


「本名は違うけど、みんなそう呼んでる」


楽しそうに言う。


(絶対ろくでもないやつ)


「ちょっと変わってるけど、いいやつだよ」


(“ちょっと”で済む?)


目の前のこの子も十分だけど。


そう思いながら、窓の外に目をやる。


桜はまだ揺れている。


(バイク、か)


興味なんてないと思ってた。


でも。


「……どんなやつ?」


気づけば、そう聞いていた。


アムネの顔がぱっと明るくなる。


「気になる?でしょ?」


(……別に)


そう思いながらも。


ほんの少しだけ。


退屈だったはずのこの教室が、

違って見えた気がした。



「ねえアビィ、今日さ——」


「放課後どっか行かない?」


アムネが身を乗り出してくる。


「いきなり誘うのやめなって」


前からスイが振り返る。


「え、ダメ?」


「ダメじゃないけど、順番あるでしょ」


やわらかい声。


でも、言ってることはしっかりしてる。


「まず仲良くなってから」


「もう仲良くない?」


「なってない」


即答。


「ひどくない!?」


「事実」


軽く言い切る。


でもそのあと——


「……まあでも」


少しだけ間を置く。


「嫌じゃなさそうだけどね」


ちらっと、アビィを見る。


(……見られてる)


「別に」


いつも通り、短く返す。


「ほら」


スイが小さく笑う。


「完全拒否ではない」


「じゃあいけるじゃん!」


アムネが一気に乗る。


「……だから、段階」


軽くため息。


でも止めきらない。


「今日は軽めにしときなよ」


「軽めって?」


「一緒に帰るとか、そのくらい」


「なるほど」


納得した顔。


(調整してる)


そう思った。


「どう?」


スイがこっちを見る。


押しつけじゃない聞き方。


「……それくらいなら」


自然に答えていた。


「よし決まり!」


「決まってないって」


言いながらも、スイは少しだけ笑っている。


(……流されてるのはどっち)


ガラッ、とドアが開く。


「おはようございます」


静かな声。


教室の空気が少しだけ整う。


入ってきたのは、白衣姿の教師。


「生物を担当しています、さわらです」


軽く会釈。


「今日は転校生もいますし、少しゆっくり進めますね」


黒板に名前を書く。


丁寧な字。


(落ち着いてる)


「……じゃあ、教科書開いてください」


無理に声を張らない。


でも、不思議と全員が従う。


「細胞の構造からいきます」


淡々と進む。


そのとき——


「アムネさん」


やわらかく名前を呼ぶ。


「はい?」


「ペン、動いてませんよ」


「え」


びくっとする。


「大丈夫です、まだ間に合いますので」


怒らない。


ただ、ちゃんと見てる。


「今から書けば追いつきますよ」


「……はい」


素直に書き始める。


(優しいのに、逃がさないタイプ)


前を見ると。


スイが少しだけ笑っていた。


「言われてるじゃん」


小声。


「うるさいって」


同じく小声で返すアムネ。


そのやり取りを——


「聞こえてますよ」


さわらがさらっと拾う。


「小声でも、意外と響くものです」


でも口調は変わらない。


怒ってる感じもない。


「授業中なので、少しだけ静かにお願いしますね」


「……はーい」


気まずそうに返事するアムネ。


スイは軽く肩をすくめる。


(ちゃんと締めるんだ)


優しいだけじゃない。


そんな印象。


授業はそのまま、静かに進んでいった。


昼休み前。


職員室に、軽い声が響く。


「いやー今年の3年A、いい感じじゃない?」


「アムネとかさ、元気あってさ!」


アスカが笑う。


その隣で——


「元気で片付けるの、雑じゃない?」


さわらが返す。


でも声が少し軽い。


「いいじゃんいいじゃん!」


「いや、振り回される未来見えてるって」


ちょっと笑いながら言う。


アスカが乗る。


「それも含めて青春!」


「教師側の負担考えて」


「夢ないな〜」


「現実主義なだけ」


即答。


でも口元は少し緩んでる。


「でさ、転校生」


アスカが机に身を乗り出す。


「アビィどう思った?」


その問いに——


さわらはペンをくるっと回す。


「……まだわかんない」


軽く言う。


「でも」


少しだけ間を置いて。


「拒絶はしてなさそうだった」


「お、ちゃんと見てるじゃん」


「見てるよ、一応」


ちょっとだけ笑う。


「アムネいるしさ」


「うんうん」


「勝手に巻き込まれてくでしょ」


「それな!」


アスカが笑う。


「もう未来見えるわ」


「だろうね」


そのとき——


「さわら先生、こちらの資料ですが」


声がかかる。


振り向く。


「はい、ありがとうございます」


すっと敬語に戻る。


「後ほど確認して処理しておきますね」


「お願いします」


短くやり取りが終わる。


振り返ると——


アスカがニヤニヤしてる。


「今の切り替えさ」


「うん?」


「ずるくない?」


「何が」


「俺と話してるとき、ちょっと楽しそうじゃん」


一瞬。


間。


「……気のせい」


即答。


でも——


少しだけ笑ってる。


「いや絶対そうじゃん!」


「うるさいな」


軽く流す。


でも完全には否定しない。


そのまま、ぽつりと。


「まあでも」


「ん?」


「今年の3A」


ペンを止める。


「ちょっと面白くなりそう」


「でしょ!!」


食い気味。


「絶対なんか起きるって!」


「起きる前提なの」


「起きるね」


「言い切るじゃん」


くすっと笑う。


「じゃあちゃんと見とくか」


「お、乗ってきた!」


「乗ってない」


言いながら。


少しだけ楽しそうだった。



キャラとかは変えてるよ!

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