~第3幕~
『こんにちわぁ~神さまが産みおとした全知全能アイドル、キラキラキラリン、綺羅めくるだよぉ~!!! 今マダさんと飛行機に乗りまぁ~す!!!』
『マダ……山田エヴァ万桜です。めくるさんとアメリカに向かいますよ』
復活した人気絶頂のアイドルから国民的タレントとなった綺羅めくると国民的女優と名高い山田エヴァ万桜の2人がクリスタルエデンの手配したプライベートジェットに乗りこむ模様をめくるのテイクテイクで中継する。
賢治は既にカリフォルニアの地に着いており、ウィスキーを片手に彼のスマホからソレをプールサイド背景に優雅に眺める。クリスタルエデンの幹部としては松井だけが同行しており、あとは製作現場畑に携わる社員たち。
フェニックス大はイアンから早速『別作品に出演して欲しい』と依頼があってソッチに向かった。
『貴方が伊達賢治か?』
『おぉ。こりゃ驚きだ』
賢治に話しかけてきたのはドロップアウトで特別出演するメジャーリーガーのトッド・ステアーズ投手だ。彼はこのたび、日米親善試合に出場するだけでなく俳優業にも挑戦することで日米の話題を掻っ攫っていた。
『本当にウィスキーを飲み続けているのか。クレイジーなタレントさんだぜ』
『アナタも。野球だけじゃなく俳優業にも手をだせるとは……大月翔太でも敵うことはないだろうな』
『ふふっ、嬉しいことを言ってくれる。でも俺は野球でしかアイツを倒したくはないぜ?』
握手を求めて手を差しだしたのはトッドのほう。
『思った以上にナイスガイで撮影が楽しみだよ』
賢治がそれに快く応えない筈もなかった。
『それにしても、ケンジは英語が流暢だな。どこの大学をでた?』
『島根の高校さ。大学は出てない。強いて言うならヨシワラって大学をでたよ。そこでチョット英語の勉強をしたぐらいさ』
『チョットの勉強でこれだけ喋れるなんて凄いな』
『いいや。野球選手しながらブッ飛んだ映画やドラマの俳優に挑戦するアナタのほうが凄いさ』
そう言って彼は懐から台本を取りだす。そして渡す。
『貴方は何かのスポーツ選手でもあるのか?』
『いいや。コメディアンで好き勝手やっているだけだよ?』
『そうか。台本ありがとう。しっかり読んで撮影に臨むよ』
『プロの台詞だな。期待している』
賢治とトッドはハグを交わす。
やはりその時もトッドは感じた。この伊達賢治という男はずっと酒を飲んでもいながら凄まじく恵まれた筋肉質な体格をしている。身長こそトッドよりも小さくみえてしまうが、酒を呑み過ぎてだらしない男たちのソレとは何もかもワケが違う。
ちいさな日本人の男となれば馬鹿にしがちなトッドだが、伊達賢治という男に対しては敬意を払うしかなかった。彼はその後の日米親善試合のイタンビューでそう答えてすらいる。
だからその時にその夜に行われる余興の噂は冗談としか思えなかった。
その夜にクリスタルエデンとID24主催の日米懇親会が開催。
大きなステージでセラ・ローレンが歌唱する。
ただそのステージはみるからに普通ではなかった。
ボクシングのリングになっていたのだ。
彼女の歌唱が終わって間もなくリングに2人のボクサーが現れる。
一人は元世界チャンピオンにして現役ボクサーと言っても過言でないレジー・タピア。彼に対するはクリスタルエデン所属のボクサーだったタレント。彼らがスパークリングを行うというものだ。彼はレジーよりもだいぶ背丈のある男だが、終始レジーに押されていた。レジーもニヤニヤしてみせるほど歴然の差があった。
そのスパークリングが終わってからのこと。倉木理亜奈の歌に合わせて今度はボクサー姿の伊達賢治が現れる。しかして露わになったその上半身は実に見事なほど引き締まった美しい筋肉に包まれている。ワーワー騒いでいた会場がそんな一瞬でどよめきをあげる。
いざ、はじめてみると本場プロのスパークリングが行われるようにして、その試合じみたスパークリングが行われ――
『いや、言われてはいたさ。ケンジの時は本気をだしてもいいって。そんなバカなぁって思ったよ。彼の前に現れた奴がド素人同然だったからさ。冗談か何かでそう言ったのだろうって。でも、アイツはコメディアンじゃないよな? なんの目的であんな体をしているのだろう? 彼が主人公で日本版ロッチーでもやるのか? そういうのをやるなら喜んで彼のライバル役でも何でもやるよ。はっはっは』
会場はそこから変わり豪勢な食事会へ。
賢治はスーツ姿になり、その手にはいつものウィスキーが握られていた。
※ロッチー(映画Rockyのような映画)
もう何でも書いちゃえって感じで書きました(笑)楽しかったです(笑)
ぶっ飛んでなんぼの楽しめるエンタメこそ楽しめるエンタメですよね。
僕はそう思っております。ご一読&お付き合いありがとう。




