島を守る運命-Ⅲ
モニターの映像は島を24時間監視しているドローンが撮影したもので、距離はあるものの、アタッカーの姿をしっかりと捉えている。
「このように7382日間出現していなかったアタッカーですが、本日10時22分に天原島への上陸を確認、診療所一棟を破壊しました」
巨大モニターの前には制服姿の3人が座り、向かって一番右の人物が説明をしていた。
「では、続いて実際に会敵したアマノ将補から説明をおこないます」
そう言うと、中央の人物が立ち上がり、軽くお辞儀をして話し出した。
「今回のアタッカーは、形状から最も出現頻度の高いWーSEタイプだと考えられます」
アマノ…?
長い髪を束ねSDFの制服を着ているため、いつもとは雰囲気が違うが、遠目に見ても確かにアマノさんだった。
「アマノさんがなぜ、SDFにいるの!?」
僕は驚いて父さんに聞いた。
「…黙っていて悪かった。これは、私と母さんがアマノさんにお願いしたことだ」
母さんも下を向いて頷いていた。父さんは苦しむような面持ちで言葉を続ける。
「詳しいことはアマノさんが説明してくれる。すまん…」
少し落ち着いてきた思考が、再度混乱し始める。アマノさんはSDFだから、あの時アタッカーに対して攻撃を指示できたということか。しかし、なぜSDFだということを僕に隠す必要がある? もしかして、今回のアタッカー出現と何か関係があるのか?
どんどんわからないことが増えてゆく。頭が混乱する。
「どういうことなんだ!」
苛立ちが、自分でも意識せず大声に変換された。
会場の皆が一斉にこちらを見る。
「タケルくん、今日は大変だったわね。後でゆっくり話しましょう。だから、今は説明を聞いて」
アマノさんは落ち着いた声でそう言うと、説明に戻った。
島民説明会が終わると、僕はすぐにアマノさんの部屋に案内された。
僕が部屋に入ると、アマノさんはデスクから立ち上がり、笑顔でソファに座るよう勧めると、自分も対面のソファに腰を下ろした。
「身体は大丈夫なの?」
いつものアマノさんの表情だ。僕は張り詰めていた気持ちが少し緩んだような気がした。
しかし、それを知られるのはなんとなく恥ずかしくて、部屋に入った時の仏頂面を崩さずに、わざとぶっきらぼうに話し出した。
「なんで、SDFだってこと、隠してたの?」
「隠してなんかいないないわよ、タケルが聞かなかったから言わなかったの」
アマノさんは、いつものようにイタズラっぽく言った。
「真剣に聞いてるんだから真剣に答えてくれ!」
笑顔でゴメン、ゴメン、と言いながらすぐに真顔になった。
「私がSDFだと言わなかったのは、あなたを不安にしたくなかったからなの。これはあなたのご両親も島の人達も同じ気持ちだった」
「不安って…、どういうこと?」
「あなたは16歳を迎えると、SDFに入隊することになる」
アマノさんは僕の目を見ながら、きっぱりとした口調でそう言った。