島を守る運命-Ⅱ
先程の医務室はかなり狭くて医療カプセルが一つあるだけだったが、居住区は地下にあるとは思えないほど、天井も高く、広々とした通路の両側に世帯ごとの部屋があった。
非常用地下シェルターのことは知識として知ってはいたが、実際に入るのは初めてで、こんな大規模な施設だとは思っていなかった。
キムラは居住区の一番奥の部屋で立ち止まった。インターホンを押すと金属の扉が開き母さんが飛び出してきて、力いっぱい僕を抱きしめた。
「タケル! 無事で良かった!」
僕は少し気恥ずかしくて、「うん」とだけ言うと、部屋の中央にあるソファに腰を下ろした。キムラは一礼して戻っていった。
「身体は? 大丈夫?」
母さんが隣りに座って手を握る。先程からの泣きそうな顔が、見る見る本当の泣き顔に変わり、涙が頬を伝っていた。
「うん、大丈夫だよ。父さんは?」
僕は母さんの手を握り返しながら言った。
「今、今後のことについてSDFの人が島民を対象に説明会をやっていて、そこに参加してるの。私はあなたが戻ってくるから待機していたけど」
「そうか、説明会、僕も参加したい」
母さんはなぜか一瞬、戸惑う表情を見せたが、身体が大丈夫なら、と言って一緒に行くことになった。
島民説明会はシェルターの最下層にある司令本部でおこなわれていた。かなり広いスペースで、全島民を収容しても、まだ半分以上の余裕があった。
壁に沿ってさまざまな機器が並び、正面の壁一面には巨大ななモニターが設置されていた。そして、そこには僕が昼間見たアタッカーの映像が映し出されている。
僕たちは父さんの姿を見つけて隣りに座った。父さんは横に座った僕に気づくと、「大変だったな」と言いながら力強く肩を抱いてくれた。