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3姉妹が行く8番出口

8番出口にごく平凡な3姉妹が挑む!

大学生の長女の蜜柑(みかん)、高校生の次女の夏海(なつみ)、中学生の三女の早香(はやか)の3人は両親から「たまには親抜きで楽しんでくるといい。」と言われ、有名な遊園地のチケットを貰いました。蜜柑の計画の元、電車に乗った3人は目的地の駅で降りて駅の出口へと向かう所なのでした。


※8番出口の二次創作です。原作のネタバレ注意もある為、プレイ後、または実況視聴後に閲覧する事をオススメします。

 非公式イメージソングを聞いて思い浮かんだお話を書いてみました。

「遊園地楽しみだね~!」

「うん!」


はしゃぎながら進む妹二人を後ろから見守る蜜柑。ここは駅の通路内で3人は出口へと向かっている最中だ。そんな3人の正面から一人のおじさんが歩いて来る。


「「「こんにちは~。」」」


3人仲良く挨拶をしたのだが、おじさんは目もくれずそのまますれ違って行った。3人は首を傾げながらもそのまま進んでいった。進んでいたのだが何かがおかしい事に気付く。


「あれ?ここさっきも通らなかった?」


夏海の言葉に二人も同意する。壁のポスターに扉の位置、消火器の配置まで同じ通路。それに合わせて…


「夏海お姉ちゃん!あれ!」


道の曲がり角からつい先ほどすれ違ったはずのおじさんが現れる。それを見た3人は驚愕する。


「8番出口だー!」

「同じところ回ってるの?」

「…またなの?」


興奮する夏海と不安を隠せない早香と蜜柑。蜜柑は夏海に8番出口とは何かを問う。夏海の話曰く、最近流行ってるゲームらしく色んな実況者の人がやっているゲームなんだとか。


「自分でやってみたいから見るの我慢してたんだ~。まさか実際に体験できるとは!」


興奮し続ける夏海に二人は説明を求める。夏海は二人を誘導して大きな0の文字が書かれている看板の前に移動した。そしてその隣にある張り紙を指差した。蜜柑と早香はその張り紙を声に出して読む。


 ご案内

 異変を見逃さないこと

 異変を見つけたら、すぐに引き返すこと

 異変が見つからなかったら、引き返さないこと

 8番出口から外に出ること


読み切った二人だがまだ理解しきれない。そんな二人に夏海が補足を入れる。通路に異変がある場合と無い場合があり、ある場合は引き返し、無い場合はそのまま進む。当たっていればこの看板の番号が増えていき、8番まで行ければ出れるといった話で、単純な話だと二人とも理解する。


「まぁここはこのゲーマーの夏海ちゃんにまっかせなさい!さっさとクリアしちゃうもんね~。行こう二人とも!」


夏海は二人に手招きして通路を歩いて行く。歩きながら左右をちらちら見る夏海を二人は後ろから見守る。

しかし、夏海達は中々大変なミスをしていた。それは始めの正解の通路を詳しく見ていなかったのだ。


「あれ?増えてない。」


夏海は少し考えるそぶりで先程の通路を思い出すが異変は見当たらなかった。


「まだ始まってないのかも。次次~。」


その後2回程回ったが、数字が増える事は無かった。


「夏海?大丈夫?」

「大丈夫!大丈夫!まだまだこれからだから!」


蜜柑の心配そうな声掛けに夏海は慌てて返す。


「次は絶対当てて見せるから!任せて!」


そして次に進むと通路のど真ん中に直立する同じ顔をした双子がいた。3人は曲がり角から顔だけだして観察する。


「おじさんじゃなくて双子がいるね。」

「これは明らかに異変だね。」

「戻ろっか。」


通路を戻ると看板の数字は1に変わっていた。


「よし!これを8にするまで頑張ろう!」


夏海がそう意気込むものの、そんなスムーズには進まない。分かりやすい異変に気付いて戻る事はあったものの異変と間違えて戻る事もあり、一度3まで行ったきり、進めない状態になってしまった。


「…早く出たいよ。」


小さく呟かれる早香の声。その声は静かな通路によく響き、夏海の耳にも届く。


(早く終わらせなきゃ。二人がこれ以上不安にならない様に!)

「大丈夫!絶対出られるから!」


不安な顔をする二人に明るい対応をしながら夏海は唇を噛み締めくじけず異変を探し続ける。絶対に出られる。そう自分にも言い聞かせながら。


「上、下、よし。右、左、よし。前、後ろ、よし。異変は無し。」


しばらく回り、真剣に指差しして確認する夏海。二人は心配そうに夏海を見る。いつも自由奔放な姉妹が無表情で指を振って歩いている。そう。姉妹が普段と違う事に不安を感じない訳が無かったのだ。


異変が無いと進んだ先には0の看板。その前に夏海は立ち尽くす。


(どうして?あんなに丁寧に確認したのに。)

「夏海?」

「夏海お姉ちゃん?」

「ううん、大丈夫。大丈夫だよ。」


ぎこちない作り笑顔で二人に返事をして歩いて行く夏海。二人はそんな夏海にそれ以上声をかける事が出来ず後ろをついて行く。また同じ通路に向かうとそこは今までとは明らかに違いがあった。


「…出口だ。」


そう。通路の先に出口であろう階段がある。


「早香!蜜柑お姉ちゃん!出口だよ!」


夏海は出口に向かって走り出す。


「夏海!?」

「夏海お姉ちゃん!?」


蜜柑と早香は急いで夏海を追いかける。夏海は階段の途中まで駆け上がり、振り返って二人に手を振っている。


「二人ともー!早く早くー!」


夏海は満面の笑顔で手を振り続けている。蜜柑は階段前までたどり着いた時、ふと壁を見た。そこには0番の看板。そこで蜜柑は思い出す。ご案内に書いてあった一文を。


     8()()()()()()()()()()()()


蜜柑は階段を上りかけている早香の手を引いて自分の元へと引き寄せ、夏海に叫んだ。


「戻って来て夏海!!そこは出口じゃない!!」


蜜柑の言う通りこれは出口では無く異変の一種だ。最初の頃の夏海であれば分かりやすい異変だとすぐさま引き返しただろう。しかし、今の彼女は極限状態にあった。異変が見つからない先に進めない恐怖、姉妹と共に感じていた不安、自分が無事に二人を導くという責任感、それら全てを一人で抱え込んだ夏海は考えが鈍り、目の前の希望に釣られてしまった。


蜜柑が叫んだ瞬間、夏海の足元が崩れ始め、奈落の底へと落ちていく。


「蜜柑お姉ちゃ…!!」


夏海は涙を浮かべた顔で必死に手を伸ばし、蜜柑もまたその手を掴むため手を伸ばしたが、その手は繋がる事無く夏海の姿が消え、いつもの通路に戻った。いつも通り0番の看板の前だ。今までと違うのは夏海が居ない事。


「夏海?夏海ーーー!?」

「夏海お姉ちゃん!!」


蜜柑と早香の声に返事は無く、通路に響くのみだった。


その後、しばらく放心状態だった二人だったが、この通路から脱出する為に立ち上がり、手を繋いで再び通路を歩き始めた。二人は互いに異変らしき物を見つけたら話し合う様にし、着実に進むようにした。すると間違える事が少なくなり、とうとう数字が6になるまで到達していた。


「蜜柑お姉ちゃん。あれなんだろう。」

「どれ?」

「あの奥の壁、何か居ない?」

「うーん?よく見えないなぁ。」


蜜柑と早香はその壁の違和感を確かめる為、近づいて行く。


「なんだろう?人?」

「確かに何かある、かも?」


より近づこうとすると突然壁が走りだしてきた。正確には壁に擬態した人型であるが。驚いた二人はすぐに引き返し走り出す。しかし走っている最中、早香の足がもつれてしまい倒れてしまう。人型の速度は緩むことなく近づいて来る。


「早香!!」

「っ~~~!!」


目をつぶりこれから起こる何かに身構えた早香だったが何も起きない。恐る恐る目を開けてみるとそこには人型に首を絞め上げられる蜜柑の姿があった。


「蜜柑…お姉ちゃん。」

「早く…逃げて…お姉ちゃんも…後で…追いつく…から…!」


早香にも蜜柑の言う事が嘘だと分かっていた。でもここから見える蜜柑の表情が早香に行動を起こさせた。苦しみながらも妹を思う優しい姉の表情だった。そんな姉の想いを無駄にしない為にも早香は立って引き返して行った。


蜜柑は早香が走り去る音を聞いて一筋の涙と笑みを浮かべた。


「ごめんね…夏海…早香…お姉ちゃん…最後まで二人の事…守りたかった…な…。」


必死に抵抗していたその両手は少しすると力を無くし、下へと垂れ下がった。


早香は看板の前に居た。看板には7の文字、出口までもう少しだ。早香が通路に出るとそこに蜜柑の姿も人型の姿も無いいつも通りの通路だった。早香は姉妹の犠牲を無駄にしない為に丁寧に丁寧に確認を行い、ポスターの大きさが変化している事に気がつき引き返した。看板の文字は8番だ。早香は気を抜かず次の通路に向かう。ポスター、扉、天井の照明や監視カメラ、床の点字ブロックの確認を終えて通路の先から振り返る。そこに異変は見当たらなかった。


「…異変無し。」


早香が異変無しと断定し先に進むと、そこには出口の階段があった。夏海が居なくなった時と全く同じ階段が。早香は壁の看板を確認する。そこは間違い無い8番出口。早香はその階段を駆け上がった。


階段を上がり切った先、そこは都会の景色が広がり久しぶりにも感じられる日の光が早香を照らした。その光景に安堵した早香だったが後ろを振り返り、大切だった姉たちが居ない事を思い出し、早香はその場に泣き崩れたのだった。

自分、バッドエンドはあまり得意ではないであります。


許可とかよく分からないままなので問題あったら申し訳ないです。

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