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これはフィクションなのか。

「なぜこんなことになったんだ?」

「また日本が滅びるのか。」

「これはなかなか難しいかもしれんのう。」

「御老公、なぜですか?」

「あるべき正しい歴史がないんじゃ。というかこれが正しい歴史のようなんじゃ。」

「そりゃ、わしが死んだからかの?」

 龍馬は自分が死んだことで歴史が分岐したと言われたことを思い出していた。

「どこを修正すればいいんだろう。」

「とりあえず、わしはもう少し歴史を研究する。」


 徳川異世代組と大岡、金さん、源内は約150年後に起こる日本の終焉の原因と、ターニングポイント、キーとなる人物を研究することにした。政治、国際関係、経済、科学技術など様々な分野から分析することが必要なため、荻原重秀、田沼意次、松平定信も召喚し、元祖地球の女神である小式部も静円を通じて研究に協力することになった。

 鬼が絶滅した第一の世界(本来の世界-龍馬生存)、鬼が生き残った第二の世界(吉宗が作った超科学立国)、龍馬を失った第三の世界(日本が消滅する世界)の3つの世界がそこにはあった。そしてそれぞれを比較することで解決の糸口が見られるかもしれない。


「ところで、この資料室の主はどこに行ったんじゃ。」

「そうですね。きつねさんたちがいませんね。」

 映像室のさらに奥の扉から嬌声が聞こえてくる。

「あっちですね。」

 龍馬は家基と共に奥の部屋に向かった。


「私このお菓子が食べたいな。」

「おっ、これはこの前食べたやつだぜ。」

「この赤いお菓子はハンベリーさんの国のお菓子ね。」

「ジュピター、それ日本でも作られているわよ。」

 ムーンは抹茶味の日本製のカタログをひらひらさせている。

「あの、ムーンさんここは?」

「あっ、家基君、君はどれが食べたいかな。」

 部屋中に国内外の時代を越えたお菓子の包み紙がコレクションされていた。

「中身は、はいっちょらんのか。」

「食いしん坊ムーンは、中身は全部食べちゃいました。」

「だって、数百年分よ。これくらいなるでしょ。」

「これだけ取っているのがすごいぜ。」

「そうだ、御老公に買い出しに行ってもらいましょうよ。」

「いや、今、御老公は忙しいんじゃ。」

「そうですよ。ムーンさん良く落ち着いていられますね。」

「どうしたの?」

「日本が無くなるんですよ。」

「あっ、それ見た。日本が海の底に沈んでしまう話。」

「海に沈むんか?」

「多分、映像のところにあったわ『日本〇没』って」

「ムーンさん、マンガ『日本の歴史』ですよ。こっちは真実なんですよね。」

「え、そうなの?」

 ムーンはしばらく黙り込むと、両手の人差し指を頭に当ててぐるぐるとまわしている。とこかからチーンという音が聞こえた気がした。


「アメリカに町を破壊されて占領された後、経済復興したんだけど、今度はその経済を破壊されて、日本のおじいちゃんやおばあちゃんが大切に持っていたお金を奪って行ったの。」

「いや、中国という国になっていましたよ。」

「経済的に弱った日本の会社や土地や山林、水道局まで中国が買い占めちゃって、どんどん中国人が入ってくるの。」

「中国人は日本人にはなれないじゃろ。」

「いや、帰化して日本語をまともに話せない日本人が増えるの。そして街の中は中国語だらけになるわ。」

「日本人は黙って受け入れたのか?」

「その異常さに気づいて反対運動をした人たちもいたみたいだけど、人種差別だ。レイシストだ。って攻撃されて、その上、日本を守ろうとした元総理が暗殺されたり、金や不倫っていうゴシップネタで貶められたり、事故という暗殺も行われたみたい。」

「そんなの誰も問題にしないのか。この時代なら新聞や電波放送もあるだろう。」

 いつの間にか源内や徳川異世代組も話に入って来ていた。

「だめよ、その放送局も新聞も中国の悪口を書けないの。逆に差別だ裏金だってどんどん日本人の政治家がいなくなるの。」

「じゃあ、あの国会の決議って」

「中国の息のかかった大臣が制度を次々と変えた結果、国会議員のほとんどが日本人でなくなったの。」


「うむ。見事な戦略じゃな。」

「権現様!」

「『孫氏』の兵法じゃよ。相手の国で『間』を使う章と全く同じことをしておるわい。」

「中国を相手にそれに気づかなかったのですか。」

「経済的に遅れていた中国に手を貸したのは日本人だったのよ。」

「なるほどな。中国人の本質を忘れておったんじゃな。」

 アメリカとの戦争、中国の経済侵略からの日本支配。どう見ても詰んでいるとしか、ここにいる者たちには思えなかった。

解決法はあるのか?

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