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慶応3年11月17日同時刻

なるべく史実準拠で話は進みます。

 ーう~ん、誰か話の出来るものはおらんのか? おっ、三岡なら、ー

 龍馬は扉からもどると、また白い部屋に戻った。

 ーさて、どっちの扉じゃ? 最初が陽之助じゃったから、三岡は三番目かのー


 龍馬が、三番目の扉を開くと、そこには三岡八郎が座ったまま倒れていた。

 ーん、三岡さん、どうしたのじゃー

 見ると、片手に手紙のようなものを握りしめ、肩を震わせている。


「坂本さん……。」

 三岡の傍には、先日紹介された福井藩の藩士が2,3人いた。

「それでは、坂本先生は…。」

「一緒にいた中岡さんは、意識が戻ったようだが……。」

「ここで坂本先生を亡くして、どうするんだ。」

「おとといの夜、坂本さんの手紙と写真が、風に飛ばされたのは、この知らせだったのか。これは一刻も早く、京へ向かわなければ……。」

「しかし、三岡先生は謹慎中の身、藩庁からの許しはでませんぞ。」

「坂本さんが、春嶽公に頼んでくれたはずなんだが、どうやら、止めているものが、藩庁にはいるようだな。とりあえず、ここで、坂本さんを弔おうじゃないか。」

「はい、同志のものに声をかけてきます。」

 藩士たちは、出ていき、部屋には三岡だけが残された。


 ーん、三岡さんすまんの、春嶽公には催促はしておったんじゃがー

 龍馬は、思わず三岡の右肩に手をおいた。


「ん、誰だ?何の用か……、気のせいか?」

 三岡は振り返って、後方に誰もいないのを見て、不思議そうな顔をした。


 ーおっ! 気づいたのか?、よし!ー

 龍馬は、三岡の袖を引っ張ってみた。なんと、つかめるではないか。


「ん?」

 風もないのに袖が揺れたのを、三岡はじっと見て

「まさか、坂本さん? まぁ、そんな馬鹿なことはないか。」

と、また、揺れた。どころか激しく揺れてだした。


 ー三岡さん、わしじゃ、わしじゃー


「本当に?」

 また、袖が揺れた。

「話が分かるなら、二度振ってみて」

 また、袖が揺れた……。しかも、ゆっくりと、二度も……。


 ーおーっ、これはいけそうじゃ、しかし、どうやって 話をするんじゃ?ー


「坂本さん、あの夜の約束は、必ず果たしますよ。あの世から見守ってください。」

 三岡は、黙って手を合わせて念仏を唱え始めた。


 ーいや、それはちと苦しいのう。ー

 龍馬は、三岡の袖から手を離した。


 その後、三岡の同志たちが集まり、龍馬の慰霊が執り行われた。

 翌朝、藩庁から使者が来た。

「即刻、上京し、新政府に出仕せよとの春嶽公からのご命令じゃ。」


隔日の更新を予定しています。

史実通りの時間線です。


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