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天界にて 

なるべく史実準拠で話は進みますが、例によってフィクションです。

「そこの男、顔を上げよ」

 ん……。なんか声がする。

 顔を上げてみると、なんだかお白州にいるような……。奉行のお裁きか?

捕まった記憶はないんじゃが……はて……。

 

 目の前の座敷には3人のお奉行様……いや、ちょっと待て3人?

 ん……、なんでお龍がここに……って、佐那さんに加保さんも……。

 ……ってことは、ここは万次郎さんがいってた「はあれむ」ってやつかの。


「なんで、おまんらがここにおるんじゃ」

「しずかにしなさい。いま閻魔様が来られます」

「ここにいるのは、あなたと生前縁があった者たちの姿を借りているのです。」


 奥の扉が開くと、中からは

「ねえちゃん……。」

「わしが閻魔じゃ。いやーその驚いた顔、何度やっても最高じゃ。」

 坂本乙女の姿をした閻魔大王が大笑いしている。


「姉ちゃん わしはまだ死ぬわけにはいかんぜよ。」

「いや、おぬしはもう死んでいる。」

「そこをなんとか、できんかの。」

「無理じゃ、大人しく裁きを受けるのじゃ。」

「頼むぜよ。日本の未来がかかっちょる。」

「無理じゃ。」

「頼む。」

「無理。」

「頼む。」

「無理。」

「お願い。」

「だめ。」

「1か月だけでも」

「できない。」

「1週間。」

「不可能だ。」

「3日。」

「しつこい!」

「1日だけでも」

「うるさい!」

「ちょっとだけ。」

「いや。」

「ちょっと顔出すだけだから。」


 突然、佐那の姿をした女性が、泣き出した。

「この人、そんなこと言って わたしを……」


「これはひどいのう。龍馬よまことか?」

「それは、若気の至りで……。」


 しばらく、龍馬は考え込むと、いつもの調子に戻ったようで

「生まれ変わることはできんかの?」

「お前の魂は、その寿命を使い切っておらぬから、あと50年、転生できぬ。」

「それは困るのう。何とかならんかの?」

「ならぬ。転生できても前世の記憶は持ち越せぬぞ。」

「それも困るのう。何とかならんかの?」

「輪廻の輪に前世の記憶は、持ち越せぬ。」

「このままどうなるか、心配なのじゃ。」

 

「ん?転生まで50年? その間はどうなるんだ。」

「まあ、天界で魂の浄化と修行じゃの」

 龍馬の言葉から土佐弁が消えていく。これも浄化の影響なのか。

「その50年、地上におりて様子を見ることは、できないんか?」

「できなくもないが、その分戻ったら、200年は修行することになる。しかも見ることができるのは、3人までじゃ」  

「3人?」

「親しかったもの3人までは、霊体の形でついていくことは可能じゃ。」

「話はできるのか?」

「それは無理じゃ。まあ霊と話せるものも地上にはおるらしいがの。」

「わしの知ってるものにはいないのか?」

「さてなぁ、それははっきりとはいえないなぁ。」

「探すしかないか。で、その3人は好きに選べるんか?」

「いや、お前と生前縁の深かったもの中からしか選べぬ。」

「そうなると、3人は縁の深いもので、今後に関わりそうなものか……。」

「誰にするか。ここで決めよ。一人目は?」


 しばらく龍馬は考え込んだ。新政権と幕府の問題、鍵となる人物で薩摩で西郷隆盛、大久保利通、長州で桂小五郎、朝臣で岩倉具視、三条実美、幕府で徳川慶喜……。みな縁の深さというものが怪しい。

 まず龍馬の考えを伝えてくれる人物をさがして、その人物の話を聞いてくれそうな……。 後藤象二郎か……。いや、勝先生か。いや待て、まずは一番の腹心。

「陸奥陽之助」

 やつなら、なんとかできるかもしれない。

「うむ、なかなかの人選じゃの?」

「おお、陽之助とは話せるのか!」

「無理じゃの?彼には霊感はないのう。で、二人目は?」


  さらに考える。薩長の暴走を止めて、土佐藩兵をまとめられる人物。

「中岡慎太郎」

 説得できたはずだし、遺志は継いでくれるはず。

「いや、彼はまもなくこちらに来る。」

「やはり、だめじゃったか。」

 刺客の狙いが、自分であったら慎太郎は助かったかもしれないと思っていたが……。

となると、そこまで親しくはなかったはずだが、とりあえず親戚で、土佐藩の鍵となる人物、今の土佐勤王党の頭……。

「乾退助は、だめかのう?きちんと会ったことはないんじゃが……。」

「うむ、彼はお前に心服しているようだ。」

「おお、それはよかった。でもやっぱり話せないのか?」

「うむ、彼にも霊感はないの。で、最後の一人は?」

 

 政治、軍事、外交の問題は、この二人でいいとして、この二人に経済の問題はちときついのう。陽之助は交渉は任せられるが……。そうじゃ新政府に協力を求めた人物。

「三岡八郎」

「おお、あたりの人物じゃのう。」

「まさか、話せるのか?」

「彼はお前の死を霊覚で感じておる。」

「さすが、越前の英才。で、話せるのか?」

「それはすぐには無理じゃの。」


 こうして、龍馬は明治日本の重要人物、陸奥宗光、板垣退助、由利公正に霊体としてつくことを決めたのであった。



隔日の更新を予定しています。

こちらの世界線と、10章までの世界線は、今のところ異なっています。




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