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第二部 三十一話 【大会議2】

「ではさっそく紹介させていただきます♪」


ヒロシは大会議を始めるにあたり、まずは観客の紹介をすることにした。

大仰な素振りで客席へ手を振る。


「まずはこちら、ご観客様の一人、

かつては傭兵街を支配していた主!

ベルゴール様です!」


そう言われ紹介されたベルゴールはまだあのオーダースーツを被っていて、

顔は老人、身体は女性の奇妙な出で立ちだった。


「・・・何なのこれ?」


戸惑うベルゴールを無視してヒロシは紹介を続ける。


「続きましてはそのベルゴール様の腹心の部下、ベルワンヌさん!」


ベルワンヌは先ほどラボを開きヒロシが無理矢理連れてきたのだった。

そのせいかかなり動揺しており、ベルゴールを見て、周りを見て、またベルゴールを見てを繰り返していた。


「こ、これは一体??ベルゴール様?あ、あのこれは・・・

そのお身体は一体??」


ヒロシはベルワンヌの動揺っぷりを楽しく見た後紹介を続けた。


「続きましては、三魔将の一人!魔族のプレイです!」


紹介されたプレイは客席に特別に作られたガラスケースに入れられて激しく怒りながら座っていた。


「・・・貴様!私を見世物にするとは必ず殺してやる!!」


プレイはヒロシを睨みながら毒を吐くがヒロシは涼しい顔でやり過ごした。


「以上が今回のご観客様です!

ではでは!皆さん楽しい大会議にしましょう♪」


ヒロシはパーティに向かって深々とお辞儀をする。

すると予想通りまずはコルリルが騒ぎだした。


「ヒロシ様!なんですかこれは!?何でベルゴールさんや、ベルワンヌさんを連れてきたんですか??

しかもプレイまで!」


「おい!妖精!お前に呼び捨て呼ばわりされるのは納得いかないな!

またボロ布にしてやろうか!」


プレイはコルリルに呼び捨てにされて、更に怒りを増していた。

コルリルはビクッ!として縮こまってしまった。


「はいはい♪プレイはどうせ何も出来ないんだから騒がない!

コルリル?今日の大会議にはこの3人も必要なんだよ♪だからわざわざ呼び出したんだ♪」


ヒロシはプレイを宥めつつコルリルに話しかけた。

コルリルは恐る恐るといった様子でプレイを見た。


「は、はぁ。プレイ・・・さんも今回の件に絡んでるんですか?」


「うん♪まぁまずは順序良く話すね♪

そもそも僕たちが今回傭兵街に来た目的は何だったかな?

はい!そこの不景気面のフォシュラ!」


いきなり指さされたフォシュラはムッとしていた。


「誰が不景気よ!私は普通に魔力切れでしんどいのよ!

・・・私達が傭兵街に来た理由?そんなのパーティの盾役を探しに来たからでしょ!」


「はい正解♪魔力切れの中お疲れ様♪

そう!僕たちは傭兵街に盾役を探しに来た♪

それで傭兵街に来てすぐベルゴール、君に呼ばれて面会した」


ベルゴールはヒロシに見られて身体を隠しながら俯いた。


「・・・そうね」


「ベルゴール、何故僕たちと面会したのかな?その理由は?

あ、嘘付いてもわかるからね♪」


ヒロシはそう言ってベルゴールをじっと見つめる。

嘘を見抜く術等なかったが、ベルゴールは見られているだけで萎縮して嘘をつく気力もない様子だった。


「・・・別に嘘は言わないわよ。

ただあんた達が街に役立つかどうか確かめたかっただけ」


ベルゴールは半ば諦めたように話しだした。


「はぁ、まずは最初新しい勇者が来たって聞いて光の場所を探させたの。

そしたらちょうど少し前に森へ依頼に出発してたから、あんた達とすぐ面会することにした。

街に勇者が2人なんてリスクでしかない、

けどあんたを見て、もしかしたら上手く使えば光より街の役に立つかもしれないって感じた。

だからあんたを留めて様子を見る事にしたの。

光には悪いけど、街の関所にあらかじめ光が帰ってきたら街へ入れないように新たな依頼を押し付けるように指示してた。

まぁ、意味なかったけどね」


ヒロシ達は光と会ったあとラボでいきなり街に移動したから関所は無視していた。

その後もラボ移動で移動したのでベルゴールの指示は無意味になっていたとヒロシにはわかった。


「なるほど!確かに街に2人も勇者が居たら魔族に襲われそうだよね~

実際君の気配が漏れたらすぐに魔族が来たし。

てかそもそも君は何故街を良くしたいの?君の目的は何?」


ヒロシに問われベルゴールは目をそらした。


「前にも言ったでしょ、私は生きたいの。

魔族とも魔獣とも人間とも戦いたくない。

戦争に利用されたくない、穏やかな暮らしをして生きたいだけ」


「それなら一人で森にでも籠ってたら?君の能力、物質を自由に作り出せる力があれば一人でも何も困らないだろ?」


ヒロシはわけがわからないという素振りを見せた。

ベルゴールは途端に怒り出した。


「あんたにはわからないわよ!

私は勝手に勇者にされて、

勝手に戦わされて、

勝手に期待されてうんざりなの!

勇者ってだけで命がけで戦うのが当たり前みたいに思われる、そうしない勇者は異端扱い。本当最低よ!」


ベルゴールは怒りに顔を歪ませながらヒロシに怒鳴る。

ヒロシはヘラヘラとしていた。


「ははは♪それならなおさら国から逃げて、黙って隠れてれば良いのに♪」


ヒロシの態度を見て客席のプレイが嘲笑した。


「はん!何にも知らん勇者だなぁ貴様は!

私達魔族には勇者の気配を探る術がある。

もし街でもない場所に勇者が一人で長時間いればすぐに襲撃をかけるに決まってるだろう!ハハハ!その奇妙な勇者の行動は理に叶ってるよ」


プレイはベルゴールの臆病さも笑いながら嘲笑を続ける。

ベルゴールは黙って目をそらした。


「うーん、けどベルゴールのその老人に化ける耐魔絶対防御機能付肌(オーダースーツ)があれば、一人で隠れてても問題ないじゃない♪」


「・・・私のオーダースーツは完璧の自信はあったけど絶対じゃないもの。

もし魔族が隠れた気配を探し出せるようになったら?

危険な魔獣や、ヤバい盗賊に襲われたら?

そんな事を考えたら一人でなんて暮らせない。

けど街で暮らせばずっと年を取らない私は怪しまれるし、その国の国政次第じゃまた魔族に襲撃されちゃう。

じゃあもう自分の国を作るしかないじゃない」


ベルゴールの諦めた態度とは裏腹に、発言自体は非常にアグレッシブな様子だ。

ヒロシは何となく質問してみた。


「・・・つかぬ事を聞くけど、ベルゴールって生前、つまり前世では何してたの?

てか何時代の人?」


「はぁ?何それ?私は普通のOLよ。

私は日本人で、東京で普通に仕事してた、ただのOL。

・・・はぁ~前世は良かったなぁ〜

日本全体が景気良くて、男も女も生き生きしてた。

男は金持ち目指して次々と起業したりバンバン新しい企画始めたり、

女はそんな男にモテようと派手に遊び歩いてた。

私もディスコで踊ったりさぁ〜はぁ~あ〜、

思い出したら前世に帰りたくなる!」


ヒロシはベルゴールの話を聞いて、

(なるほど!あの時代の人か!)

と納得した。

だからベルゴールは性格は保守的なのに行動は大胆という矛盾があったのだが、それで謎は解けた。


「ははは♪なるほどなるほど♪良くわかったよ♪

それで君は自分の街を作った、街は傭兵街にしてたくさんの傭兵達が常駐する街にした。

そんな街なら他国や魔族を来にくいもんねぇ♪

それで?ゆくゆくは街を更に拡大するつもりだったんでしょ?」


「何でわかるのよ?

そうよ、街をもっと大きくして、北大陸東側最大国のランスロを超える街にしたかったの。

そうすれば余程の事がない限り安泰だしね。

まぁランスロは良い顔しないけど、

実際今もランスロから使者が来て傭兵街をランスロの支配下に置こうとしてきてるくらいだし」


「ランスロ!?ランスロ国の人が傭兵街にいるんですか?!」


珍しくコルリルが大声を出して話を遮った。

ヒロシは笑いながらコルリルに向き直る。


「ははは♪コルリル?大声出してどうしたの?」


「だ、だってランスロ国は長年サイマールを狙ってたライバル国なんですよ!

私がいない間も侵攻があったみたいですし、まさか傭兵街まで侵攻してきてるなんて!」


コルリルはランスロ国に良いイメージを持っていない様子だった。


「あ〜、私達も盗賊してた時聞いた事があるわ。

ランスロ国は、色んな国や街を侵攻してるって。

それにあいつら前に見た事あるけど固くて嫌なのよね〜。

主の為に!みたいな騎士道精神丸出しでちょっと関わりにくい奴らよ」


フォシュラもランスロには悪いイメージがあるみたいで、兄のディロンも同じようだった。

光だけは初めて聞いた!みたいな感じでキョトンとしているのがヒロシには可愛く感じれた。


「・・・なるほどなるほど、それならアルケインの事は黙ってるか」


ヒロシは小声でボソッと呟き、今はパーティにはアルケインと親しくしているのは黙っておく事にした。

まぁアルケインはこちらと親しい関係である意識はないかもだが。


「ははは♪じゃあ話を戻すね〜♪

ベルゴール?君は自分の安全の為に街を良くしたかった。

その為に僕の力が利用出来ないかと思ったわけだ♪

けど僕達にあの筋肉おじいさんをぶつけて殺そうとしたよね?なんでかな??」


ヒロシに問い詰められベルゴールは目を伏せた。


「筋肉おじいさん?それは何だ??」


話を良くわかっていないプレイが口を挟む。


「あ、私達に急に襲い掛かってきた方の事です、確か・・・武相流の師範で名前は・・・」


「開白殿か!!」


律儀にプレイへ説明していたコルリルを遮り、ベルワンヌが声を上げた。


「ま、まさか開白殿を彼らに?!

ベルゴール様!それは真ですか?!」


ベルゴールはまた目を伏せ黙っている。

ベルワンヌはそれで真実だと受け取ったようでうなだれ椅子に深々と沈み込んだ。


「・・・バカな、開白殿に依頼するなんて、正気の沙汰とは思えん・・・」


「あ〜ベルワンヌ?あのおじいさんそんなに凄い人だったの?確かに凄まじい強さだったけど」


ヒロシはうなだれているベルワンヌに尋ねてみた。


「・・・あの方は北大陸で一番強いと言われている武術家です。

その実力は魔族達にも警戒されているとか・・・」


ベルワンヌはチラッとプレイの方を見た。

プレイは興味なさげな様子だった。


「ふん、なんだ要警戒者の事か」


「ん?プレイ?要警戒者ってなんだい??」


ヒロシはプレイに尋ねたが、プレイは鼻で笑い答えなかった。


「ふん、誰が貴様に教えるか。

・・・まぁ、私に言えるのは魔族が警戒している人間の総称が要警戒者というのだ。

ちなみに貴様は要警戒者と見なされていなかったがなぁ!!ハハハ!」


プレイは勝ち誇りヒロシを馬鹿にした。

ヒロシは逆に鼻で笑いながら言い換えした。


「はっ、その要警戒者でもない僕達に敗れたのはどこの誰だったかなぁ〜??」


プレイはヒロシを睨見つけたあと黙ってそっぽを向いた。

ヒロシは気にせず会議を再開した。


「よし!じゃあベルゴール?僕達を殺そうとした理由、話してもらおうか♪」


ヒロシ主催の大会議はまだ続く。

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