第二部 二十話〜二十一話間挿話 【無敵採取法】
ヒロシは光を上手く説得出来た事を喜んでいた。
光は今プレイの部屋で交渉中だ。
ヒロシ的には交渉が上手くいくかいかないかはどうでもよく、
猛毒の部屋から光が戻ってくるのが重要だった。
(よしよし♪策通りだね♪)
ヒロシはあらかじめ光へ毒を吸着する粘菌類を付与していた。
光へ付与した粘菌類はあらゆる毒を吸着して蓄える性質をしており、ヒロシはそれを利用してプレイの毒を回収しようとしていた。
(いやぁ、ホントならこんなやり方じやなくてちゃんとプレイと取引したいんだけどなぁ)
プレイとの取引はすでに試していた。
最初は魔王の為になると言って上手く口車に乗せようとしたが、あの後あっさり見破られてしまった。
そしてそれ以降一切の交渉に応じないプレイにヒロシはあの手この手で説得してみたが、上手くいかなかった。
光にはラボの機能では毒を制御出来ないと嘘を付いたが、
プレイの身体を解剖するだけならラボの魔力無効化機能を使えば容易く行える。
しかしヒロシは解剖よりもプレイもフォシュラやディロン達のように仲間に引き込めた方がより旨味があると判断した。
せめて仲間まではいかずとも毒を取引出来るくらいになればと思ったが、
魔力無効化機能を使っているとプレイは毒を出せず取引が出来ない、
しかし魔力無効化機能を使わないとこちらが毒にやられてしまう。
そもそも魔力を無効化しているだけでプレイは激怒し全く話し合いにならなくなる。
だから光が交渉役に最適なのだった。
(多少の嘘をついてでも光君にはプレイの毒を持ち帰ってもらわなきゃならない。
この後の策で必ず必要になるだろうからね)
ヒロシは傭兵街攻略の最終段階でプレイの毒が必要になると感じていた。
未だ詳しい策は決めれていないがベルゴールの作った街で彼と戦う以上、街にはない物が切り札になるはずだった。
(光君には悪いけどひとまず毒を持ち帰ってくれるドローン扱いさせてもらうよ。
その代わりベルゴールの呪縛から解き放つからね♪)
ヒロシはそんなふうに思いながら光が戻るのを今か今かと待つのだった。




