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第二部 十話 【勇者の契約と物見遊山】

コルリル達は再び傭兵ギルドを訪れた。

先日と変わらずギルド内は傭兵達が楽しげに酒盛りをしていたが、

コルリル達が現れた瞬間、シンと静まりかえった。

どの傭兵も胡乱げな顔でコルリル達を睨んできており、中には慌てて誰かに知らせに行く素振りの傭兵も居た。


(うわぁやっぱり警戒されてるよぉ、

そりゃあれだけ騒げば無理ないよねぇ)


コルリルはあからさまに警戒されている事に怯んだが、当のヒロシはまったく怯まずカウンターまでツカツカと歩いていった。


「すみませんー?依頼の報告をしたいんですけど良いですか??」


ヒロシは今日も不機嫌そうな受付嬢に話かける。

受付嬢はダルそうにしながら応対してくれた。


「・・・なんすか?」


「あ!僕じゃなくて彼なんだけどね?キノコ採取依頼の終了報告だよ♪」


ヒロシはそう言ってギルドの入り口で縮こまっている光を指さした。

ギルドの傭兵達は一斉に光に注目した。


「おい、アレって・・・」


「あぁ、例の勇者だ」


「縮こまりやがってダセェな」


傭兵達は口々に光の悪口を言い合っている。

光はさらに小さくなってしまった。


「・・・何の依頼ですか?」


「彼が受けたキノコ採取の依頼だよ♪

ほら♪キノコはこの通り♪♪」


ヒロシはカウンターにキノコをバラバラと出す、

受付嬢はあからさまに嫌そうな顔をした。


「ここで出されても困るんですけど?」


「あ!あと聞きたい事があるから偉いさん呼んでよ♪

多分君じゃ話にならないからさ♪」


ナチュラルに煽っていくヒロシにコルリルは肝が冷えた。


「ヒ、ヒロシ様!そんな煽らないで!」


小声でヒロシに注意するがヒロシはまったく聞いていないようだった。


「ほら?早く手続きして上司呼んできなよ?

受付すらまともに出来ないんだからそれくらいテキパキやりなよ??」


「・・・少々お待ち下さい」

 

受付嬢は怒ったように不貞腐れ去っていった。

周りの傭兵達の目も厳しくなっている。

コルリルはドキドキして倒れそうだった。


(やばいって!傭兵さんも受付嬢も皆怒ってるし!

それでこの間の槍使いが来たら皆から袋叩きにされるかも・・・)


コルリルが心配するのをよそにヒロシは気楽な様子でギルド内をウロウロしていた。


「それにしても汚いギルドだなぁ・・・

衛生感も何もないな・・・」


そんな事をブツブツ呟きながらウロウロするヒロシを傭兵達はさらに厳しい目で見つめていた。

少ししてから受付嬢が戻ってきた。

背広を着た背の高い鳥族の男性を連れている。

彼が上司らしかった。


「すみません、お待たせ致しました」


「ホント待ったよ〜?お客を持たせるなんて接客がなってないんじゃあない〜??」


ヒロシは大して待ってもないのに大げさな身振りをしながら彼らを批判した。


「・・・大変申し訳ありません、私はこちらのギルドの管理者をしておりますテーヴァと申します。

ご要件をお聞かせください」


テーヴァと名乗ったギルドの管理者はヒロシに冷たい視線を送りながら頭を下げた。

ヒロシはニヤニヤしている。


「君が管理者?そうは見えないくらい小物感出てるけどねぇ?

まぁいいや、要件は単純だよ♪

あそこにいる勇者光をギルドから抜けさせてやってよ?

僕のパーティーに入れて旅に行くからさ♪」


ヒロシは事前の話ではまだ引き抜きの話はしないと言っていたのに、いきなり本題を話しだした。

光は驚いて何も言えない様子だし、

コルリルも驚きと、失礼な態度ばかりするヒロシに対する不信感が表れていた。


(何なの今日のヒロシ様?いつにもまして失礼だし、今日は引き抜きの話はしないはずなのに・・・)


コルリルがモヤモヤしている間にも話は進む。


「引き抜きですか?アレを?本気ですか?」


テーヴァは苦笑しながら光を見て、またヒロシを見る、

ヒロシはニヤニヤしながら見つめ返していた。


「うん♪だからギルドから抜けるのにはいくら掛かるかなぁ?って思ってさ♪」


「・・・残念ですが、アレはギルドからは抜けれません」


テーヴァは冷たく言い放った。

ヒロシはニヤニヤを止め真顔になる。


「・・・は?なんで?」


「あの勇者は契約により街の主であるベルゴール様に仕える勇者となっております。

この契約は魔術契約です、契約が果たされない限りいくら払おうがギルドから絶対抜けれません。

長期間の貸与となれば可能ですが、

ちなみにアレも一応勇者なのでかなり法外になりますが」


最後の方は笑いながらテーヴァは嫌らしく話す。

周りの傭兵達も光に対して同じような態度だ。


「ふーん、ちなみにその契約って?」


「それはベルゴール様しか知りません。

まぁ勇者様々は多分契約書もまともに読めないでしょうからわからないんでしょうが」


テーヴァは光に聞こえるとわかっていながら笑いながら言い放つ。

光は真っ赤になって俯いてしまった。


「光君?大丈夫?あの人の言う事は本当にそうなの?」


コルリルは優しく光に尋ねる。


「ほ、本当で、す。

ぼ、僕け、契約書とか、よ、くわからなくて、

街にき、来たときになんか、書類た、たくさん書かされたけど、た、多分それかも?

ベルゴールさんからは、

その、街で暮らす為のお金が最初にかかるから、

ギルドで、働いたらそのお金を帳消しにするって言われてて、

その、いくらかとかは全然知らなくて・・・」


光はボソボソと答えてくれた。

周りの傭兵達は

ダセェ!

と笑いながら光をバカにしている。

光はもう消え入りそうになっていた。


「・・・なるほど、よくわかった。

じゃあベルゴールに直接尋ねるからもういいや♪

いこう?コルリル、光君」


光はそう言ってギルドから立ち去ろうとする。

コルリルは俯いたままの光を連れそってヒロシに続く。


「よろしければそんなクズより優秀な傭兵を紹介いたしますよ?

まぁ気弱なザコが好みでしたらソレが一番オススメですが」


立ち去ろうとするコルリル達へテーヴァは小馬鹿にした様子で酷い言葉を投げてくる。

周りの傭兵達もゲラゲラ笑いながら同じような事を浴びせてくる。

光は俯いているが涙目になっているのはコルリルにも容易に想像出来た。


「早く行きましょう?こんなとこ嫌です」


コルリルはヒロシを急かしすぐにギルドの外へ出た。

コルリル達が外へ出た瞬間ギルドからは爆笑の笑い声が響きわたる。


「・・・嫌なギルド、もう来たくないですね」


「そう?僕はこれからしょっちゅう来るつもりだけどね♪」


「それってどういう・・・??」


コルリルが尋ねようとしたらヒロシがポケットから小さな赤い玉を取り出した。

それを突然空中に放り投げると、


バァァァン!


玉は凄まじい爆音を出して弾けた。


「きゃぁぁ!な、なんですかそれ?!」


「これ?この間見つけた鉱石の核だよ?

火の自然魔力を帯びた鉱石を核だけ取り出して加工したんだ♪

ちょっと魔力を与えたらさっきみたいに爆音を立てて爆発するんだよ♪

けど音だけで破壊力はまったくないから安心してね♪」


ヒロシの説明を聞いてコルリルはヒロシがまたわけのわからない研究をしていた事を知ったが、

その音を出すだけの石を何故今使ったのかはわからなかった。


「はぁ、けど何で今使うんですか?」


コルリルが尋ねると同時にギルドから騒然とした声が響いてくる。


「おい!今の音なんだ?!」


「あ?!てかテーヴァさんどこ行った?」


「お、俺みたぜ!()()()()()()()()()()

テーヴァさんをモヤの中に引きずり込んだんだ!」


「はぁ!?街に魔獣がいるってのか?!」


「てかさっきの音と関係あんのか!?

とにかく探せ!すぐこの辺に居るだろう!」


程なくしてギルドから慌てた様子の傭兵達が飛び出してきた。

皆周囲を見渡しながらあちこちに走り去っていく。


「・・・ヒロシ様?もしかして何かしました?」


コルリルは何があったのか全て読めてヒロシに尋ねた。


「サァ?ボクワカンナイ♪」


ヒロシはそう言ってしらばっくれたままコルリルがどんなに追求しても決して話さなかった。




それからコルリル達はギルドから立ち去り管理地区に来ていた。

コルリルはテーヴァはヒロシが拉致したに違いないと思っていたが、ヒロシが口を割らないので確かめようもなかった。


「・・・それでヒロシ様?今からどうなさるつもりですか?」


コルリルはヒロシに腹を立てていたので冷たく尋ねるがヒロシは涼しい顔をしていた。


「さぁ?どうしようかなぁ??

光君はどうしたいかな?」


光は尋ねられビクッと肩を震わせヒロシを見つめ返した。

ヒロシに対して恐怖心を抱いているようだった。


「え、あ、その、ど、どうしましょうか?」


「ハハハ♪なんで怯えてるのさ♪

大丈夫♪行方不明のテーヴァさんはきっと生きてるよ♪

何日か後にひょっこり見つかるんじゃない?」


笑いながら話すヒロシに光は怯え距離を開けた。

コルリルですらヒロシに対し恐怖心が少し出た。


「・・・ヒロシ様もう一度聞きますがこれからどうなさるんですか?

光君は契約を解除しないと私達とは行けませんよ?

・・・光君が来たいならの話ですが」


コルリルはもう光が仲間になるのは無理だと半分諦めていた。

光は今もびくびくしながらヒロシを見ている、

ここまで怯える相手の仲間になるはずがないからだ。


「あ、それなんだけど、光君は契約内容を覚えてないんだよね?」


「は、はい」


「なるほどなるほど♪まぁやり方はあるか・・・

それじゃ今からベルワンヌさんに会いに行こうかな♪

ちょっと聞きたい事があるから♪

コルリル達はちょっとゆっくりしててよ♪」


ヒロシはそう言うとラボを開き消えてしまった。

残されたコルリルと光は顔を見合わせるしかなかった。


「・・・ごめんね?光君。

うちの勇者めちゃくちゃでしょ?

怖がらせちゃったね」


コルリルはとりあえず光にヒロシの言動を謝罪する。


「あ、いえ、大丈夫です」


光は相変わらず下を向いてコルリルとは顔を合わせてくれない、

今は怯えもあるのでなおさらだった。


「んと、光君?とりあえず座ろっか??

多分ヒロシ様しばらく戻らないから」


コルリルは近くのベンチに光を誘う、光はびくびくしながらも従い、ベンチに二人並んで座った。


「ハハハ、私にはちょっと大きいベンチみたい!ほら!間から落ちちゃいそう!」


コルリルはふざけてベンチから落ちそうになってみるが、光は『・・・ははは』と愛想笑いしかしてくれなかった。


(ん~~!空気が重い!光君なんにも話さないし・・・

ん~~あ!そうだ!)


コルリルは光に気付かれないようこっそりと無詠唱で魔術を使った。

使った魔術はヒーリングウィンドウ、本来は癒しの香りで高ぶった気持ちを抑える魔術だが、

コルリルは魔力を調整して和やかな雰囲気を出せるような香りが出る魔術にして発動させた。


「光君?良かったら待ってる間に、私とお話しないかな??」


コルリルが優しく提案すると、光はあっけなく頷いた。


(よし!ちゃんと無効化されず聞いてるみたいね♪)


コルリルは内心でガッツポーズしながら話しだした。


「じゃあ、光君さっきは大丈夫だった?

あのギルドの人達に色々言われてたけど・・・」


「大丈夫です、あれくらいいつもの事なんで」


光は少し切なそうに話していた。


「いつもの事って・・・

あれはあんまりだよ。

光君頑張って依頼達成したのに皆でバカにして酷いよ」


「僕が悪いんです、弱いし怖がりだし、役に立たないから仕方ないんです」


「そんなのおかしいよ!」


コルリルは光の言葉に思わず強く言い返してしまった。

光は困ったように笑っていた。


「だ、だって、光君には無敵のスキルがあるんだよ?

そのスキルがあれば誰にも負けないのに、なんで皆で光君をバカにするのか私にはわからない!」


コルリルの言葉に光は驚いたような顔を見せ、少し考えてからゆっくり話しだした。


「・・・僕の居た世界ってこちらの世界よりずっとずっと平和だったんです、

コルリルさんは召喚士ならご存知ですよね?」


光に突然問われコルリルは戸惑った。


「う、うん、色んな勇者様から聞くけど魔族も魔獣もいない平和な世界なんだよね?」


「はい、もちろん戦争や差別みたいな悲しい事もたくさんありますけど、

少なくとも僕の周囲はずっと平和な世界でした。

そんな世界だからか、僕は命を奪う事に凄く抵抗があるんです」


光は魔術の影響からか怯えたりせずゆっくり自分の気持ちを話してくれていた。

コルリルは光の話を真剣に聞いた。


「あの、ディロンさんって戦士の方が言う通りで、

僕は自分が攻撃されるのも怖いですが、

生き物を傷付けるのが一番怖いんです」


光はそう言って自嘲気味に笑った。

コルリルは黙って続きを待った。


「僕は今まで自分の爪先くらいの虫くらいしか殺した事がありませんでした。

手のひらサイズの生き物を殺す事すらまったく想像していなかったです。

けど、この世界に来てからは否応なしに生き物を殺すように強いられます。

しかも魔獣だけじゃなく人間まで攻撃しなければならない事がありますよね」


勇者は場合によっては人を殺さなければならない場面も出てくる、

コルリルもそれは良くわかっていた。


「それが僕には出来なかったんです。

どうしても生き物を殺せなかった、

魔獣も魔族も人間も。

殺せない傭兵なんてこの世界じゃいらないでしょう?

だから僕は役立たずなのでバカにされても仕方ないんです」


光は諦めたように言ってそれっきり黙ってしまった。

コルリルは光の話を聞いてもう光を仲間にするのは止めようかと考えた。


(光君優しい人なんだなぁ。こんな人に傭兵や勇者なんてさせたらダメだよね・・・)


しかしコルリルは色々悩んだ末にある提案をした。


「ねぇ?光君?良かったら私達のパーティーに来ない?

盾役じゃなくて単純に仲間として」


「え?」


「光君はこのまま傭兵を続けていける?

私にはそれは辛そうに見えるの。

だから私達と一緒に来れば戦わずに済むしどうかな?

光君にはヒロシ様のラボで皆のサポートをしてくれたら良いと思うし」


光はコルリルの提案にとても戸惑っている様子だった。


「け、けど僕はスキル以外はまったく何にも出来ませんよ?

料理も武具の手入れも何も出来ないです、

そんな、僕が居たら邪魔になるんじゃ・・・」


「大丈夫、そんなのはゆっくり覚えていけば良いからね?

契約の事だってヒロシ様なら何か策を考えてくれてるはず、だからちょっと考えてみて??」


「・・・わかりました、ちょっと考えてみます」


光はかなり悩みながらもしっかり答えてくれた。


「ありがとう光君!」


コルリルは光が戦いから抜けれる手助けを出来た気がして嬉しかった。



それからコルリルは光と他愛ない事を話しながら少し待った。

すると突然ラボが現れヒロシが帰ってきた。


「いや〜お待たせお待たせ♪用事終わったよ♪」


ヒロシは上機嫌な様子だった。

ヒロシにしては早めに帰ってきてくれたのでコルリルは意外に思った。

ちなみに光はヒロシに怯え下を向いて固まってしまっていた。


「おかえりなさい、早かったですね?」


「うん♪ベルワンヌさんにちょっと話があっただけだからね♪

光君の契約について聞いてきた♪」


ヒロシの言葉に光も反応した。

ヒロシからは距離を取りながらも目線はしっかりとヒロシに向けている。


「結論から言うと契約内容はベルゴールにしかわからないみたいだ。

けどおそらく街の為に尽くすような内容の契約だったみたいでね?

僕の予想通りなら光君はいくらお金を積んでも解放されないだろうね」


「そ、そんな・・・」


コルリルは意気消沈した。

ヒロシの話が本当なら光を解放する手段がないからだ。

街の為に尽くすなんて曖昧な契約内容を履行するのはコルリルには不可能に思えた。


「まぁまぁコルリル心配しないで♪

僕に策がある♪心配いらないよ♪

あ、ちなみにだけど光君はどうしたいの?

契約解除したい?僕達の仲間になりたい?

今のままが良い?どうかな??」


光はヒロシに問われまた俯いて考え込んでしまった。

コルリルは光が困惑しているのが感じられた。


「わかるよ?自分じゃ決めれないんでしょ??

日本人の優柔不断な所だねぇ♪

ま!光君はゆっくり考えててよ♪こっちはこっちでゆっくりやるからさ♪」


ヒロシは光の気持ちを見透かしたように笑っていた。

光は何も言わず黙ってしまった。


「さてさて、じゃあ僕は戦場に行ってくるよ♪コルリル達は展望台から見てて良いよ♪」


「はい?戦場ですか?な、なんでですか??」


コルリルはヒロシの急な戦場行き宣言に戸惑った。


「戦場でやることがあるんだよ♪

こっちの声も聞こえるようにするからコルリル達は展望台からゆっくり見学してね♪」




ヒロシはそう言ってさっさと準備を始めた。

コルリル達を展望台に送り、

山でゴブリン達にしていたラボを使った通話機能を使い、

自分は戦場に移動していった。

もうコルリルと光は展望台でただ観ているしか出来なかった。


「ヒロシ様どういうつもりなんだろうね?」


「さ、さぁ?僕にも何がなんだかわからないです・・・」


コルリルと光はヒロシの謎行動に戸惑いながらもとりあえず見て見る事にした。


ヒロシは戦場の入り口に現れた。

ゆっくり歩きながら戦場をぶらぶらしている。

戦場ではたくさんの傭兵達が魔獣と戦っている、

皆必死で戦っている中ぶらぶらと歩き回るヒロシの姿はかなり異様だった。


「ヒ、ヒロシ様何してるの?!危ないじゃない!」


ぶらぶら歩き回るヒロシに魔獣が襲いかかるが、ヒロシは反撃せずラボを使って躱すだけだった。

ヒロシは真剣に戦う傭兵達のそばでまるで観光客のように振る舞ったり、

死んだ魔獣や傭兵をしげしげと眺めたり、

命がかかった戦場を物見遊山で楽しむ姿は端から見ても苛立ちを感じさせた。


そしてぶらぶら歩き回り、戦っている傭兵達に話かけだした。


「ねぇ?何その武器の扱い方?下手すぎない?もうちょっと上手く使えないもんかなぁ??」


「あぁん!?てめぇ何なんだ・・・!

ちっ!」


ヒロシに煽られた傭兵は怒り出すが、魔獣が迫ってくるのでヒロシに構っている暇は無さそうだった。


「そんな戦い方じゃ早死するね♪弱いんだから早く帰りなよ?」


ヒロシは戦っている傭兵を煽りちらしてまたぶらぶらと歩き回る。

あちこちで同じように傭兵達を煽り、苛立

たせていく、

次第に戦っている傭兵達はヒロシの存在を疎ましく思ったようで、傭兵同士で結託してヒロシを襲おうとしている様子だった。


「ヒロシ様!傭兵さん達めちゃくちゃ怒ってますよ!早く逃げてください!!」


コルリルが叫ぶと同時にヒロシはラボで移動し展望台に現れた。


「ただいま〜♪いや〜皆怒りまくってたねぇ♪」


「ヒロシ様!何のつもりですか!?あんなに傭兵さん達を怒らせてどうするんですか!?」


「まぁまぁ♪これが策の一つだよ♪明日の朝はメインの傭兵達を怒らせにいくから任せて♪♪」


「はい?!」


コルリルはヒロシの意図が読めなくてどうしたら良いか分からなくなった。


(何なの!?一体何がしたいの??今までで一番意味わかんないんだけど!?)


コルリルはただただ困惑し、

光はヒロシに引いている。

ヒロシは満足気だが、今のところ仲間探しはまったく上手く行かないままだとコルリルは絶望するしかなかった。

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