第二部 九話 【パーティー紹介とギルドへ】
光を発見した翌朝、コルリルは朝から張り切っていた。
(光君のスキルは凄いわ!あのスキルがあれば私達の盾役どころか、魔族との戦いにだってきっと役立つはず!
絶対絶対光君は仲間にしないと!)
光のスキルを見てからコルリルは興奮が冷めなかった。
コルリルが知る限りでは常時発動型のスキルは強力な物が多く、中でも光のスキルは群を抜いて強力だった。
(常時発動の無敵なんてあり得ない!
もし光君が優秀な戦士や魔術師なら絶対最強になれるのに!)
コルリルは光のスキルを素晴らしいと思う反面、光の戦闘に臆する性格はもったいないと思っていた。
(でもでも、ちゃんと訓練したりすれば感情のコントロールは出来るようになるはず!
私だって最初は戦闘するの怖かったけど慣れればいけたし光君もきっと大丈夫なはず!)
コルリルはすでに光の恐怖心をコントロールする訓練をいくつか考えていた。
しかし、訓練よりなにより光がパーティーに入ってくれなければどうしようもない。
(絶対光君を勧誘してみせる!そしたらきっと私達や人類の希望の勇者になれるはず!)
コルリルはそう意気込んで光の勧誘をしようとしたが、
リビングルームに入って飛び込んで来た光景は、
「あの〜ヒロシさん?もう良いでしょうか??」
「いや!ちょっ、ちょっと待って!もう少し!もう少しだから!」
ヒロシがヒカルの腕に注射針やナイフを使ってなんとか傷を付けようとしている姿だった。
「何してんですかぁぁぁ!?」
コルリルは絶叫して止めさせた。
「ごめんね光君?大丈夫だった?痛くない??」
コルリルはヒロシを光から引き剥がして光の介抱をしていた。
しかし、介抱とは言うが光の腕には何の傷もなかった。
「だ、大丈夫ですよ?スキルで僕はダメージ受けないので・・・
ちょっとびっくりしましたけど」
「本当にうちの勇者がごめんね?ちゃんと言って聞かせるからね??
ヒロシ様!もう止めて下さいね!?」
コルリルは光にはひたすら謝り、ヒロシは怒鳴りつけておく。
「いやぁ~本当に無敵なんだねぇ♪
注射針もナイフもラボのあらゆる機能でも絶対傷付かないなんて凄すぎだね〜
血液のサンプルが欲しかったんだけど無理ゲーかなぁ」
「ははは、すみません。
けど無理ゲーなんて言葉久しぶりに聞けて嬉しいです」
「フフフ♪でしょ?僕も久しぶりに使ってちょっと楽しいもん♪
やっぱり元の世界の事を知ってる人が居たら嬉しいなぁ♪
あ、思いのほか?安心感がパないんですけど的な??イェ〜イ♪」
「ハハハ、いやなんで急にチャラ男なんですか?」
コルリルは光に対するヒロシの対応に肝を冷やしたが、
二人は一晩経ちさらに意気投合しているようだった。
元の世界の話で盛り上がる二人を見てコルリルは安心出来た。
「まぁ光君が良いならいいですけど、
でも本当に無敵だなんて凄いね??
光君は戦うのは怖いかもしれないけど、そのスキルがあれば傭兵ギルドから引っ張りだこなんじゃない??」
「いえ、全然そんな事ないです・・・」
光はまだコルリルには慣れてくれてないようで俯いて何も話さなくなってしまった。
「あぁ〜あコルリルが怯えさせちゃった。
コルリルはすぐああやって人を怯えさせたり、
無視したり、理不尽に待たせたりして振り回す酷い妖精だからね??光君も気を付けなよ??」
「その言葉そっくりそのまま返しますよ!?
よくもまぁそんな事を言えたもんですね!?」
コルリルがヒロシに掴みかかり怒っていると、フォシュラが勢いよくリビングルームに入ってきた。
「朝からうるさい!廊下まで聞こえてたわよ!
ほら!朝ごはん作ったから食べなさい!!」
フォシュラは朝食を準備して持ってきていた。
簡単なサンドイッチから、魔獣卵の目玉焼きや魔獣肉のベーコン等かなり豪勢な朝食だった。
「わぁお♪フォシュラどうしたの?朝から料理なんて珍しいね?
しかもかなり美味しそうだ♪」
ヒロシがフォシュラの朝食を褒めると、フォシュラは照れたように赤くなりながら光の前まで行きふんぞり返った。
「な、なんですか??」
「あんたもこれ、美味しそうに見える?」
怯える光にフォシュラが問いかける、
光はゆっくりと料理を見て、フォシュラを見た、それを何回か繰り返した後に、
「お、美味しそうで、す」
と答えた。
フォシュラはますますふんぞり返った。
「それなら良かったわ!あんたには昨日助けられたからね!
そのお礼よ!存分に食べなさい!!」
フォシュラはそれだけ言ってリビングルームから勢いよく出ていった。
「わぁ〜フォシュラが料理なんて珍しいねぇ♪
しかも初対面の光君に♪」
フォシュラは料理は出来るが、最初はディロンやコルリルにしか作らなかった。
しかも作ってくれるのは稀で、特にヒロシには最近になるまでまったく作らなかった程だ。
ディロンによるとフォシュラは気を許した相手にしか料理はしないらしかった。
だから初対面の光に料理を作ったのはフォシュラなりにとても感謝している証ともいえた。
「光君?フォシュラはあれでも光君に感謝してるみたいだから無愛想なのは許してあげてね??」
コルリルはわかりにくい感謝の証を示すフォシュラをフォローする。
光は恐縮しているようだった。
「そ、そんな、全然た、大したことじゃないのに・・・」
しどろもどろになる光にヒロシがそっと耳打ちする。
「もしかしてこれが有名なツンデレじゃない??
って事はフォシュラは光君に・・・♪」
「いやいやいやいや!ちょ、ちょっと冗談はや、やめ止めてく、下さい!!」
光は真っ赤になってあたふたしている。
コルリルはツンデレが何の意味か分からなかったが、ヒロシが光をおちょくっているのはなんとなくわかったので止める事にした。
「ヒロシ様?光君が困ってるじゃないですか。
さぁ!せっかくフォシュラが作った食事が冷めちゃいますよ!食べましょう??」
「ふふふ♪そうだね♪
じゃあ光君?さっそくを頂こうか♪」
「・・・は、はい」
こうして三人で食事を始めていると、ディロンもやってきた。
「おはよう、さっき聞いたんだがフォシュラが朝食を作ったんだって?
俺も食べに来たぞ」
そう言ってディロンも食事を始めた。
食事途中ディロンはチラチラと光の方を見ていた、光は非常に落ち着かなさそうだった。
食事が終わり一段落着いた所でディロンがおもむろに光へ頭を下げた。
「すまない、光。
今朝フォシュラからちゃんと昨日の話を聞いたんだが、危ない所を助けてくれたんだな。
本当にありがとう、礼が遅れてすまなかった」
「止めて下さい!全然大したことしてないですから!
ぼ、僕はスキルでダメージ受けないから!だから本当に全然大丈夫ですから気にしないで下さい」
光はディロンに頭を下げられ非常に恐縮していた。
しかしディロンも態度を変えなかった。
「いや、いくらスキルがあるとはいえ、お前が妹を助けてくれたのは事実だ。
ありがとう。本当にありがとう」
「いやいや、本当に大丈夫です大丈夫です!」
しばらくの間同じやりとりが繰り返された後ディロンが切り出した。
「良かったら礼をさせてくれないか?
俺に出来る事ならなんでもするぞ?」
ディロンの申し出を光は必死に断った。
「いやいや!本当に大丈夫です!
お礼なんて要らないですよ!本当にありがとうございます」
ひたすら下手に出る光にディロンはさすがに苦笑していた。
「謙虚なやつだな、じゃあ何かあればいつでも言ってくれ。
俺は妹を助けてくれたやつを必ず助けるからな」
ディロンはそう言って席を立った。
コルリルはフォシュラの為に頭を下げて感謝出来るディロンをかっこいいと改めて感じた。
「ディロンさんかっこいいなぁ〜妹の為に!って感じが本当に良いお兄さんって感じで良いなぁ」
「ふふふ♪じゃあ僕がコルリルのお兄さんになってあげようか??」
ヒロシがふざけて言ってくるのでコルリルは嫌そうな顔をして距離を取った。
「そんな嫌がらなくて良いのに♪
さぁ!光君!食事も終わったし今日はどうする??
一度街に帰るかな??」
「そうですねぇ・・・キノコは採取出来ましたから一度依頼達成報告に戻ろうかなぁ?」
「あ!じゃあその時に傭兵ギルドに話つけてあげるよ!ちゃんと抜けさせてもらってからうちに来れば良い♪」
光は改めてヒロシから誘われ俯いてしまった。
「ヒロシ様?まだ光君はパーティーに入るって言ってないですよ。
そんなに焦らせたら可哀想です」
コルリルは光が圧力を嫌がりパーティー入りを避けてしまうんじゃないかと思い心配になった。
「あ、大丈夫ですよ。焦ったりじゃなくて、
その、僕なんかを誘って下さるのはとても嬉しいんです。
本当に有り難いんですけど、まだ皆さんの事もよく知らないですし・・・
すみません!散々もてなしてくれたのにこんな事言ってしまって」
光はまだコルリル達の事をよく知らないから二の足を踏んでいるようだった。
それならとコルリルはある事を思いついた。
「じゃあ今日はパーティー皆とゆっくり過ごしてみたらどうかな?
そうしてみて、私達の事もよく知ってもらってからもう一度パーティーの件考えてみて??」
コルリルの提案にヒロシは乗り気になっていた。
光は少し考えてから、
「それじゃあよろしくお願いします」
と頭を下げて了承してくれた。
まずは朝食の礼も兼ねてフォシュラの所に向かう事になった。
ヒロシはさっそくラボを開きフォシュラの元へ繋げた。
「さぁ行こうか光君」
「え?あの、これってもうすぐフォシュラさんの所に着くんですよね??」
「ん?そうだよ?どうかした??」
「いや、もし向こうが都合が悪かったり、僕達が急に行ったら不味かったりする場合もあるんじゃないかと思って・・・」
光はフォシュラの都合を考えて急に行く事を躊躇しているようだが、
ヒロシはお構い無しだった。
「大丈夫大丈夫♪いつもこうして呼んだり行ったりしてるし平気だよ♪
まぁもし某アニメのし◯かちゃんみたいな事になったら光君がお湯かけられてね♪」
「・・・勘弁してくださいよ・・・」
光は真っ赤になって俯いてしまった。
コルリルには何のことか分からなかったが、とりあえずヒロシの頭に魔術で石をぶつけといた。
三人でフォシュラの元へ移動するとフォシュラは訓練中だった。
ラボの訓練場、
ヒロシが高低差のある大きな部屋を作り、外から岩やら木をたくさん運び入れて仕上げた部屋だった。
フォシュラはそこで身体強化魔術の訓練をしていたようだった。
「なによ?あんた達揃ってなんの用?訓練場使うの?」
「いやいや、フォシュラに会いに来たんだよ♪」
ヒロシはニコニコしながらフォシュラに話かける。
この二人も以前程はぶつからなくなってきていたが、まだちょっとした事でケンカになるのでコルリルは警戒していた。
「あのねフォシュラ!光君が私達の事をよく知らないからパーティーに入りづらいみたいなの。
だからお互いによく知り合いたくて今日は来たんだ。
あと、朝食ありがとう!すっごく美味しかったよ!」
「あ、そう。
別にいいわよ?何でも聞いてちょうだい」
フォシュラはあっさりしていたが、朝食を褒められて嬉しそうだった。
「何が聞きたいの?私の事?魔術の事?経歴とか趣味とか?」
フォシュラは光を真っすぐ見つめながら問いかける。
光は真っ赤になって俯いてもじもじしていた。
「あ、あの、その、ち、朝食、美味しかったで、す。
あ、ありがとう、ご、ございます」
光はそれだけ言って頭を下げた。
「別にいいわよ、あれくらい誰でも作れるわ。
それより聞きたい事は何??」
フォシュラはまた食事を褒められて嬉しそうだが、同時になかなか質問しない光にイライラしてきているようだった。
「えと、その、あ〜、え〜」
光はまだ質問を考えれていないようであたふたしていた。
ヒロシはそんな二人を見ながらポロッと言った。
「ハハハ♪まるでお見合いだね♪」
「み!見合い!?そ、そんな事ないですよ・・・」
光は見合いと言われびっくりして尻すぼみにボソボソと喋って俯いてしまった。
「なによ?あたしと見合いじゃあ嫌なわけ??
てかあんたちょっとはこっち見なさいよ!」
フォシュラは俯いている光の顔を無理やり自分に向けさせた。
光は真っ赤になってしどろもどろになっていた。
「す、すみませんすみません!ごめんなさい」
「なんで謝るのよ?!さっさと質問しなさいよ!」
「か、勘弁してください・・・」
フォシュラに顔を掴まれたまま光は涙目になった。
見ていられなくなってコルリルは間に入った。
「フォシュラ、離してあげて?
きっと光君は照れてるんだよ?人見知りだし、フォシュラ可愛いし多分恥ずかしいんじゃないかな?」
コルリルの言葉に光は更に真っ赤になった。
「なによあんた私が可愛いからそんな真っ赤になってるの?」
フォシュラは光を離し呆れたようにしている。
フォシュラは確かに可愛い、顔立ちは刺激的な美人といった感じでベースは良いし、
ツインテールの髪型もばっちり似合っている。
こう見えて普段から身だしなみもしっかり整えているし、
コルリルからみてもはっきり可愛いと言える女の子だった。
「てか私が可愛いならコルリルも可愛いじゃない?
コルリルにはあんた真っ赤にならないのは何でよ??」
フォシュラに問われ光はビクッ!とした。
「え?あ、いや、コルリルさんは、妖精・・・」
「なによ!妖精だから可愛いくないっての!?私の友達をバカにしたら許さないから!」
怒りを見せたフォシュラに光が慌てて弁明する。
「ち、違います!コルリルさんも、か、可愛いです!
た、ただ僕のこ、好みがか、褐色肌のじ、女性なので!あ、もちろんフォシュラさん自身もか、可愛いです!
・・・あ!」
光は思わず口走ってしまい口を押さえて真っ赤になっていた。
フォシュラはそう言われて嬉しそうにして自分の肌を撫でた。
「なんだ、あんたこの肌が好きなんだ♪
しかも私も可愛いって思ってるんだね。
ありがとう。
コルリルも良かったわね?あんたも可愛いってさ」
「うん♪可愛いって言われて嬉しい♪
ありがとう光君!私も嬉しいよ?」
そう言ってフォシュラとコルリルは光に笑いかけた。
光はもう真っ赤になり過ぎて爆発しそうな感じだった。
「・・・コルリルもフォシュラもえげつな〜」
傍観していたヒロシがボソッと呟いた。
結局その後は光が照れてしまい何も質問できなかったので次はディロンの所へ行く事になった。
先程と同じようにラボで移動するとディロンは武具の手入れをしていた。
「ん?なんだ?何かあったのか?」
コルリルは先程フォシュラにした説明をディロンにも行った。
ディロンはすぐ理解し手を止めこちらを向いてくれた。
「よくわかった、では何でも聞くがいい」
ディロンにそう言われてまた光は困っていた、どうやら互いを知る為の質問するのに慣れていないらしかった。
コルリルは手助けすることにした。
「ディロンさんは凄腕の戦士だから戦士としての心得とか聞いてみたらどうかな??」
「戦士の心得か・・・
例えば戦場での立ち回り方、
強敵相手の戦い方、
あとは野戦をするにあたっての様々な知識だな。
しかしなぁ・・・」
ディロンはつらつらと様々な戦場で役立つ知識を上げてくれるが、
「光?お前には必要ない知識ばかりだろう?」
「え?いや、そんな事は・・・」
ディロンは渋い顔で困っていた。
コルリルは何故ディロンが光に教えてあげないのか分からなかった。
「ディロンさん?どうして光君に教えてあげないんですか?」
「それはなコルリル、光のスキルのせいだ」
コルリルはそう言われてもピンと来なかった。
そんなコルリルにディロンはゆっくりと説明してくれた。
「光のスキルは無敵のスキルだ、
絶対ダメージを受けないのだからな。
そんなスキルがあるのだから戦い方も限定されてくる。
まず敵の攻撃を避ける必要がない。
どんな攻撃に対しても回避しなくて良い、防御すら要らない、
なら常に攻撃し続けるスタイルが光には合っている、というかそのスタイル以外を取る意味はないな」
「な、なるほど?じゃあディロンさんも攻撃は得意ですからちょうど良いのでは??」
コルリルの質問にディロンは首を横に振る。
「俺のはあくまで回避や牽制を混ぜ込んだ一般的な戦い方だ。
光の場合は違う、攻撃しかしなくて良いし、むしろ敵の攻撃に対してカウンターをガンガン狙うのが理にかなう。
自分を犠牲にした戦い方こそ光に一番合う戦い方だろう。
俺にはそんなやり方は教えれない」
ディロンにそう言われ光はまた俯き何も言わなくなった。
「さらに言うなら光の体格と俺では膂力が違う。
光は学ぶならスピードで翻弄して相手の急所を的確に狙う暗殺者のようなやり方が良いだろう。
それならむしろヒロシの方が戦い方を教えるに適しているはずだ」
ディロンはそう言って戦い方の指導は断った。
コルリルは残念に思ったが、専門家のディロンの判断を信じる事にした。
「ディロンたらケチなんだから♪じゃあせめて野戦のやり方を教えてあげたら?」
「うむ?それならばお安い御用だ」
ヒロシに言われディロンは野戦の仕方を指導してくれるようだった、
山での食物の採取の仕方や、
方向を見失った時にどうするか、
水を浄水するやり方等を教えてくれた。
「まぁこんな知識も無敵の前では対して意味はないがな、
なにせ空腹も疲労も感じないのだから。
しかし、お前以外のパーティーをその知識で助けれる場合がある、だから覚えて損はないぞ?」
「はい!あ、ありがとうございます!」
光は最初こそ大柄なディロンに少し怯えていたが、
今はかなり気を許せたようだった。
「うむ、またいつでも聞きに来い」
こうしてディロンとの話も無事終わった。
ちなみにヒロシはずっとディロンの武具にアレコレ細工をしようとしてディロンに嫌がられていた。
こうしてコルリル達はディロンとフォシュラへの話は終わりまたリビングルームに戻ってきていた。
「さぁ光君?二人の話を聞いてどうだった?僕達のパーティーに入りたくなっただろう?」
ヒロシに問われ光は自信なさげに話しだした。
「み、皆さんが良い人なのはわかりました。
け、けどやっぱり僕なんかが皆さんの役に立てるとは思えなくて・・・」
光はまだパーティーに入るか悩んでいるようだった。
コルリルは何か光を決心させる方法がないか考えてみた。
(うーん、フォシュラともディロンさんとも仲良く出来てる感じしたんだけどなぁ??
もしかしてまだ人見知りしてるのかなぁ?
けど自分が役に立たないとか言ってたし、自尊心が低いからかな?)
コルリルは色々考えてみた結果、光に自信を付けさせる事にした。
「光君?光君は本当に凄いスキルを持ってるんだから自信持ってよ!
私達は光君が仲間になってくれたら凄く嬉しいし助かるよ??
苦手な戦闘はゆっくり訓練したら良いからね?だからちょっと前向きに考えてくれないかな??」
コルリルは出来る限り優しい口調で話した。
光に安心感を持ってもらいたいが為だったが、光には響かなかったようだった。
「・・・はぁ、まぁ、はい、けど・・・」
もじもじと煮え切らない様子の光にコルリルはさらに声をかけようとしたが、
「まぁまぁ!コルリル落ち着いて♪
とりあえずそろそろ依頼報告をしようよ?
それからギルドの退会についてもちょっと聞きたいし♪
まだパーティー入りするかは決めなくて大丈夫だから、とりあえずギルドに話だけしにいこう♪」
ヒロシは突然そう言ってラボの出口を開けた。
ヒロシは戸惑う光を連れて無理やり外に出る。
コルリルは慌てて付いて外へ出た。
「ヒロシ様!?」
出口はギルドの裏手に通じていた。
薄暗い路地には誰もおらず、表通りからは賑やかな声が聞こえてくる。
「よし!今はちょうどお昼頃だから食事がてら行こうか♪
フォシュラの朝食以降何も食べてないからねぇ♪」
ヒロシは光を連れてつかつかとギルドの表へ向かう。
コルリルはヒロシに付いて行きながら尋ねた。
「ヒロシ様?もし先日の傭兵さんたちがいらしたらどうなさるつもりですか?」
「ん?まぁ、相手次第だけど向かってきたらまた投げるかな!」
「絶対揉め事になるので止めて下さい・・・」
コルリルは無駄だとは思いつつヒロシに釘を差しておいた。