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第二部 四話 【傭兵の街と兵士商会】


コルリルはパーティーで会議をしたあと少しだけ休んでからヒロシと共に傭兵街へ向かっていた。


今回仲間勧誘にはコルリルとヒロシだけで行く事になった。

理由はフォシュラとディロンは元盗賊なので、異国とはいえ名前が知られていれば無用なトラブルを招きかねないからだ。

だからとりあえずコルリルとヒロシで街へ行き、フォシュラ達の手配が傭兵街まで回っていないか確認する、

大丈夫なら改めてフォシュラ達も仲間勧誘に参加するという段取りだった。


コルリルは少しばかり緊張しながら傭兵街へ向かってゆっくり飛んでいく。

ヒロシはニコニコしながら付いてきていた。


「・・・ヒロシ様は緊張しないんですか??

私は、傭兵さんだらけの街って結構緊張しちゃいます」


コルリルがヒロシに尋ねるも、ヒロシはあっけらかんとしていた。


「何で怖がるんだい??傭兵って言ってもただの人だよ??

三魔将プレイと互角にやりあったコルリルならただの傭兵なんて全く気にもならないでしょ??」


「強さの問題じゃありませんよ!

傭兵さんってちょっと怖いようなイメージがありますから・・・

だからちょっとだけ緊張するんです!

悪いですか?!」


コルリルは最後は気恥ずかしさから強気で言い返すが、

ヒロシは余計にニコニコした。


「フフフ♪コルリルったら可愛いなぁ♪

まぁ怖いなら僕の後ろに隠れてれば良いからね?

交渉とかは割と得意だからさ♪」


ヒロシはそう言って傭兵街へずんずん進んでいく。

コルリルは慌ててその背を追いかけた。



コルリル達は傭兵街付近の街道に着いた。

街道は二つに分かれており、右に行けば傭兵街の正面側、

大きな平原があり、奥の森から魔獣達がぞくぞくて現れて、平原で傭兵達と激しく戦っている。

こちらの道はそんな戦場の真っ只中にたどり着きそうだった。


左に行けば傭兵街の側面側、少し行けば断崖絶壁にたどり着く行き止まりのような道だった。


「うーん?ヒロシ様?これはどっちに行きましょうか??」


コルリルにはどちらに進めばよいか分からなかった。

右側の道だと戦場にたどり着いてしまうし、

左側の道は行き止まりのようだし、

コルリルにはどちらが正しい道か判断が付かなかった。


「うーん♪面白そうだし戦場方面にする??

死体とか拾えるかもだし♪

よし!右にしよう♪」


ヒロシはそう言って右側の道へ進もうとする。

こうなると止められないのはわかっているので、コルリルはため息を付きながらついていこうとした。

すると、


「お〜い!あんたら傭兵希望かぁ?!

違うなら左だ!左に行け!」


どこからか声が聞こえてきた。

コルリルは辺りを見渡すと、傭兵街の壁の上に兵士らしい人が立っており、

こちらに一生懸命手を振っていた。


「こっちだ!こっち!」


兵士らしい人は手招きし、左側の道を指差している。

コルリル達は顔を見合わせながら一応言われた通りに左へ進んでみる。

すると曲がり角からは分かりにくかったが、少し進むと壁に大きなドアが付いており、

何人かの人が前で入場待ちの列を作っていた。


「あぁ〜こっちの道だったか。

さっきの兵士さんに感謝だね♪」



コルリルとヒロシは列の最後尾に並ぶ。

列を作っているのは様々な人種の方達だったが、みんなお金持ちのオーラを漂わせていた。


(うわぁ~みんな凄い裕福そう〜

みんなお金持ちなんだろうなぁ〜

それに引き換え私達は盗品のお金しかないなんて・・・

はぁぁ〜)


コルリルは改めてヒロシが用意したお金は盗品だと思って気分が落ち込んだ。

コルリルは今まで盗みなんてした事なかったし、

一般的に悪事と言われるような事もした事なかった。

だからこの盗品のお金は非常に使うのが嫌だった。

しかし使わなければ仲間の勧誘どころか、旅の継続すら怪しくなる。

背に腹は代えられないとはいえ複雑な気持ちだった。


「どうしたのコルリル?

まるで自分達だけ盗品を使おうとしてる小悪党みたいで嫌だぁ!って顔して♪」


「・・・まさにその通りの事で落ち込んでいるんですよ!」


コルリルは意地悪なヒロシを怒鳴りつけてなんとか気持ちを奮い立たせた。



入場の列は順調に進んでいき、コルリル達の番になった。

壁に作られた扉の前で兵士達から質問を受ける。


「次の方。

え〜入場希望は二人だけですか?

入場理由はなんですか?」


コルリル達はあらかじめ打ち合わせをしていた。

勇者が嫌われていたのはサイマール内だけだった。

傭兵を集めるに当たり勇者の名前は良い看板になると判断していた。

つまり、


「はい!私は召喚士のコルリル、

こちらは勇者のヒロシ様です。

私達二人は旅の仲間になってくださる方を探してこの街まで来ました」


コルリルは包み隠さず自分達の素性を打ち明けた。

ヒロシが勇者だとバレたらややこしくなる時もあるだろうが、

今は仲間を集めるのが先決だったのであえて名乗った。


「え?勇者??ちょ、ちょっとお待ちを」


兵士達は慌ててその場から立ち去り扉の内側に消えた。

しばらくして、先程の兵士より階級が上と思われる年配の兵士が現れた。


「待たせたな。

私がこの部隊の指揮を執っているハン兵長である。

それで?君達が勇者だという一行かな??」


ハン兵長はコルリル達を疑いの眼差しで見つめてきた。

やはり勇者だとはすぐには信用されないようだった。


「私達は本当に勇者パーティーです、

その証拠に・・・

ヒロシ様、スキルを見せてあげてください」


「はいはい♪」


コルリルに言われヒロシはラボを発動させた。

ラボの連続使用で周囲を瞬間移動に近いスピードで動き回る。


「ほい!はい!やぁ!」


ヒロシはテキトーな掛け声と共にラボから出たり入ったりしてアピールする。

ハン兵長はその様子を驚いたように見つめ、何も言わなかった。


「こ、こちらが我らが勇者ヒロシ様のスキル、【ラボ】です、

私達が勇者パーティーだと信じてくれましたか??」


コルリルが確認するとハン兵長はコルリルをじっと見つめ見定めだした。


「・・・スキルは本物のようだ、

よかろう、お前達の入場を許可する」


「ありがと・・・」


「ただし!」


コルリルは礼を言おうとしたがハン兵長に遮られてしまった。


「お前達にはこの街の長に面会してもらう。

面倒だろうがスキルの力を持っているなら長が危険視するのもわかるだろう??

だから悪いが協力してもらうぞ?

付いてくるのだ」


ハン兵長はそう言って扉の内側へ向かって歩き出した。

コルリルは慌ててヒロシを連れ扉の中に入り、ようやく傭兵街の中に入れた、



傭兵街は外から見ると防御壁に覆われた無骨な街に見えたが、

中は普通の街だった。


サイマールの王都のように店が立ち並び、住居があり、人々が行き交いする普通の街並みだった。


(へぇ?中は普通の街に見えるなぁ。

傭兵の街って言うからにはかなり荒れてるのかなぁ?って思ってたけど普通じゃん)


コルリルは少し安心出来たのでハン兵長に話しかけてみた。


「ハン兵長さん?ちょっとお聞きしても良いですか??」


「なんだ?悪いが立ち止まるつもりはない。歩きながら話せ」


ハン兵長はツカツカ歩きながらもコルリルに答えてくれる。


「あ、大したことじゃないんです。

ただ傭兵街ってもっと殺伐としてるのかと思ってたので・・・」


「ふん!意外と綺麗にしてる、と言いたいわけか。

他所から来る者は皆、傭兵街をまるでならず者の集まりのように思い訪れる、

しかし!この街は正しく管理され洗練された街だ!」


ハン兵長は熱く語りだした。


「傭兵街は三つの区画にわかれている。

お前が見た地区は商業地区。

傭兵達は傭兵地区、

そして長やスカウト達は管理地区にいる。

商業地区は主に傭兵達が戦で使う道具や装備を整える為の店が多くあり、

他にも食事場や、治療院等、戦に必要な設備が備わっている。

また、その商業地区で働く職員や商人達の家もあるので街としての部分はこの地区が担っている。


傭兵地区はまたあとで見に行けば良い。

まぁだいたい想像の通りだ。


そしてここからが長達が住む管理地区だ」



ハン兵長はそう言って手を広げコルリル達に管理地区を披露した。

コルリル達はいつの間にか管理地区に着いていたようで、

そこはまさに高級住宅街といった風情だった。


見るからに高そうな住宅が立ち並び、

道は綺麗な石で全て舗装され、(商業地区の道は土のままだった)

道行く人達も品が良さそうな方達ばかりだった。


(うわぁ、お金持ち達だあ〜

ちょっと気後れしちゃうなぁ)


「コルリルどうしたの?

周りはお金持ちばかりで自分達浮いちゃうんじゃないかって心配そうな顔して?」


「その通りですから黙っててください・・・」


コルリルはヒロシのうざ絡みに呆れてしまった。


「どうだ!これが我が街自慢の街並みだ!

見事な高級感溢れる街並みだろう?

さぁ!付いてこい!長がお待ちだ」


ハン兵長はひとしきり管理地区を自慢したあと再び歩き出した。

そしてしばらく歩き、着いた館はもはや家というより半分城のような大きさの建物だった。


「さぁここが長がいる館だ。

私はここまでだ!入るが良い!」


ハン兵長に促されコルリル達は門を開け、館の敷地内に入る。

中に入ると執事やメイド達が待っており、コルリル達に頭を下げ挨拶した。


「お待ちしておりました。勇者パーティー様ですね。

どうぞこちらへ、話が主がお待ちです」


コルリル達は案内されるがまま館の中に入る。

コルリルは緊張してきた。


「ヒ、ヒロシ様?本当に交渉はお任せして大丈夫ですか??」


緊張してヒロシを頼るコルリルをヒロシは笑って見ていた。

ヒロシは全く緊張していないようだった。


「ハハハ♪コルリルったら緊張しちゃって♪

大丈夫だよ♪僕に任せてね♪」


緊張していないヒロシを見てコルリルはヒロシが凄いのか、ちょっと抜けてるのか分からなかったが、とりあえず頼ることにした。


「で、ではお任せします」


二人は館の応接室に通されそこで待つように言われた。

応接室は革張りの椅子や、大理石の机があるいかにも応接室といった部屋だった。


ヒロシはすぐに椅子に腰掛けリラックスしだした。コルリルも一応その隣に座りながら待つことにした。


「ねえ、コルリル?この街をどう思う??

なーんか色々ややこしそうな雰囲気しない?」


ヒロシはニヤニヤしながらコルリルに質問してくる。


「そう思うなら何でそんなに嬉しそうなんですか・・・

私は別に気になりませんでしたけど??

傭兵地区をまだ見てないですし、

仮に何かあるとしても、私達の目的には関係ないですよ」


「うーん♪そうだといいけどねぇ♪」


ヒロシは意味深に笑っているがそれ以上何か言う前に長がやってきた。


「いやはや!お待たせしてすみませんな、

なにしろこの通りの老体なもので、家の階段すらなかなか動きにくくてねぇ。

あ、申し遅れました、私がこの街の町長をしているベルゴールと申します」


ベルゴールと名乗った老人は、確かにもうかなりの高齢に見えた。

腰は曲がり身体も小柄になり、

頭頂は禿げ、残る髪は真っ白だった。

顔はシワだらけで鼻ばかりが高く、

目が悪いのか、眼鏡をかけているがそれでも見えにくいような様子を見せていた。


「こ、こんにちは!

私は召喚士のコルリルと申します。

こちらは勇者ヒロシです。

本日はお招き頂きありがとうございます!」


「いえいえ、こちらこそ急にお呼び立てして申し訳ない。

ですが久しぶりに勇者様がいらしたのだから是非とも自分の目で見てみたくてね」


コルリルとベルゴールはお互いに挨拶を交わしながらもベルゴールの目はヒロシに釘付けだった。

ヒロシもそれをわかっているのか、しっかりとベルゴールの目を見つめ返し挨拶をする。


「始めまして♪僕が勇者ヒロシです。

この度はお招きいただきありがとうございます。

お気に召すか分かりませんがお近付きの印にこちらをどうぞ♪」


ヒロシはそう言ってラボから酒瓶を取り出してベルゴールへ渡した。

ヒロシの表情はにこやかな笑みを浮かべており親睦を深めようという意思がはっきりみえた。

コルリルはヒロシが交渉する為に準備をしていた事に驚いた。


「おやおや、これはご丁寧にどうも」


ベルゴールはヒロシから受け取った酒を見てはいるが、意識は常にヒロシへ向けられていた。


(この人ずっとヒロシ様を観察してる。

勇者がそんなに珍しいのかしら??)


コルリルはベルゴールの言動を少し変に感じたが、

ヒロシはそのまま会話を始めた。


「それではベルゴール様、本日お招き頂いたのは僕達がこの街に危険かどうか調べる為ですね?」


ヒロシは笑顔を崩さず対応している。

ベルゴールも笑顔で応じており表面的には穏やかな話し合いだ。


「ハハハ、いやお恥ずかしい、勇者様を調べるなんて事は失礼にあたるのはわかるんですが、

勇者様の力を使えば街に良からぬ事も出来ますからな。

小心者で申し訳ないが一応街へ来られた勇者様には私が直にお話させてもらっているんです」


「なるほど、でも僕はこの通り温和で、争いを好まない性格をした優しい勇者ですよ♪

街にはパーティーに戦士を入れたくて寄らせてもらっただけなんです

だから良い仲間が見つかればすぐにお暇しますから♪」


ヒロシはあえて本題を早く話しベルゴールの意図を探ろうとしているようだった。

ただし虚実は織り交ぜてだが。


「なるほどなるほど。

勇者様が我が街で仲間探しをしてくださるとは光栄ですな。

勇者様の仲間を街から出したとなれば非常に喜ばしいです」


ベルゴールはそう言いながらもずっとヒロシを観察しているようだった。


「しかし、仲間探しとは非常に難しいもの。

なにせ戦場で命を預けるのですからな、自分の命を預ける仲間を探す、これは今日明日でおいそれと決めるわけにはいきますまい」


ベルゴールもヒロシの誘いに乗り話題を進めていく。


「そこでヒロシ様にご提案があるんですがよろしいでしょうか??」


「さて?どんな提案でしょう??」


ヒロシは自分の意思は明かさずベルゴールに話させようとしていた。

コルリルはハラハラしながら成り行きを見守るしか出来なかった。


「なに、簡単な事です。

この街の【兵士商会】にご加入頂けませんか??」


「兵士商会?」


ヒロシはきょとんとしている。

どうやら兵士商会を知らないようだった。

しかしコルリルも詳しいわけではないので黙っていた。


「おっとと、これは失礼しました。

異世界から来られた勇者様には聞き慣れない言葉でしたね。


簡単に説明しますと兵士商会とは傭兵達の共同組合の事ですよ。

傭兵達は命がけで戦い雇い主の命を遂行します。

その際事前に依頼内容や報酬は全てすり合わせ取り掛かるのですが、

雇い主によっては急に依頼内容を変えたり、報酬を少なく見積もったりとあくどい事をする輩がいるんですよ。

逆に傭兵の方も雇い主に反抗したり、仕事中に略奪行為を働いたりするバカも現れたりするわけです、

兵士商会はそんな不届きな者達から健全な会員を守るための組合なわけです」


「なるほど、それは立派な組合ですね。

それで?どうして僕に加入してほしいんですか?」


ヒロシが鋭く質問する。

ベルゴールはにっこりと微笑んでいた。


「まぁそんなに警戒なさらないで。

理由は単純、お金です。


兵士商会の予算は会員達の組合費と、

依頼主へ傭兵を紹介した時に、依頼主から支払われる斡旋料で運営されています。

その斡旋料が勇者様ともなると非常に高額になるんですよ。

なにせ勇者様の傭兵なんてごく僅かしかいらっしゃらないですからね。

たいていの勇者様は国に雇われますから」


そう言ってベルゴールはヒロシをさらに見つめる。

その眼差しには何か含みがあるようにコルリルは感じた。


「ヒロシ様のスキルは転送系と聞いております。

それは非常にレアなスキルです。

使い方は様々な事が浮かびますね、

ヒロシ様一人で大量の物資を安全に輸送したり、

はるか遠くまで要人を一瞬で移動させたり、

・・・傭兵の軍団を敵国に出現させたり。

いやはや!夢が膨らむ素晴らしいスキルですねぇ」


「・・・それは光栄です。ありがとうございます」


ヒロシは言葉では丁寧だが、ベルゴールに対し明らかに警戒を強めていた。

コルリルも話が妙な方向に進んでいるので警戒を強めた。


「いや!もちろんヒロシ様が加入してくださればです。

気に入らなければ残念ですが私としては諦めます。

ですが考えてみてください。


兵士商会に加入して頂けたらヒロシ様には特別にこちらの管理地区に住居を提供しましょう。

さらに毎月の組合費の免除、

医療施設の無償化、

組合からヒロシ様に特別手当として、毎月50トロ支払います。

さらに依頼があれば依頼料は三割増しで支払わせて下さい。

どうです?この条件なら一年も居ればちょっとした領主にもなれる金が貯まりますよ??

是非検討して頂きたいですな」


コルリルはあまりの待遇の良さにさらに警戒を強めた。


(いやいや!怪しすぎるから!なんなのこのおじいさん!)


コルリルは最初はベルゴールをただの老人と思っていたが、

今は歴戦の交渉の場を潜り抜けてきた猛者に感じていた。


「ヒ、ヒロシ様?ど、どうしましょう??」


コルリルはヒロシにどうするか尋ねるが、ヒロシは黙ったまま何も言わなかった。


「まぁ急いで答えを出さずとも良いではありませんか?

どうせ仲間を探すには何週間かかかるでしょう?

でしたらその間ゆっくりと考えて下され。

その間滞在するホテルは私の方で用意させて頂きましたからな」


ベルゴールはにっこりと微笑みヒロシの反応を伺っている。

ベルゴールはゆっくり考えろとは言うが、

宿を用意され、

多額の報酬をチラ見せされ、

穏和な口調でありながら実際はグイグイ距離を詰める交渉術にコルリルはかなり困惑していた。


(え〜宿まで用意するとかなんて周到なの?

本気でヒロシ様を引き込む気じゃん)


コルリルは困惑していたが、

ヒロシはにこやかな態度のまま誘いに乗っていた。


「それはそれはありがとうございます。

では今日はそちらで休ませてもらいます。

コルリルもそれで良いよね??」


「あ、はい、わ、私は大丈夫ですよ?」


コルリルは意外とあっさりしているヒロシに拍子抜けしつつ了承した。


「よかったです。では今日はこのあたりで。

あ、ホテルまでは私の執事のベルワンヌがご案内いたします。

さらに明日からの街中観光にも役立てて下され、彼はよく出来る男ですからな」


「何から何までありがとうございます、

ではこれで失礼します」


そう言ってヒロシは立ち上がり出口までツカツカと歩いていく、

コルリルは慌てて付き添うが、後ろを振り返るとベルゴールが真っすぐヒロシを見てニヤァと笑っていた。

コルリルは恐怖を感じ慌てて館から飛び出した。

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